「 Xtra Peace 」一覧

近世の音楽思想(6) カントの音楽美学

音楽を聴くとき、私たちは何を感じ、どのようにその美しさを理解するのでしょうか? 音楽の哲学史シリーズ「近世の音楽思想」の今回の記事では、Stanford Encyclopedia of Philosophy の「History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800」の項目を参考に、イマヌエル・カント Immanuel Kant (1724-1804) の音楽に対する考え方を探ります。デカルト René Descartes 、ライプニッツ Gottfried Wilhelm Leibniz 、ルソー Jean-Jacques Rousseau といった哲学者たちに続いて、著作『判断力批判』Kritik der Urteilskraft (1790) および『実用的見知における人間学』Anthropologie in pragmatischer Hinsicht (1798) を通じて、音楽の美学においてカントがどのような位置を占めるのかを見ていきましょう。

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近世の音楽思想 (5)ルソー、和声、模倣

音楽の哲学史シリーズの「近世の音楽思想」。今回はジャン=ジャック・ルソー Jean-Jacques Rousseau の音楽に対する見解と、彼の思想が当時の音楽界に与えた影響について詳しく見ていきます。前回は、近世における音楽思想として、デカルトやライプニッツの思想、そして音楽における模倣と表現の対立に焦点を当てました。今回は、ルソーの音楽へのアプローチと、彼が生涯を通じて追求した音楽の表現力と哲学について深掘りします。参考は Stanford Encyclopedia of Philosophy の「History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800」の項目です。

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近世の音楽思想 (4) 模倣から表現へ

前回までで、フィレンツェ・カメラータからメルセンヌ、デカルト、ライプニッツに至る近世の音楽思想を探求してきました。今回の章では、18世紀を通じて模倣から表現へと移行する音楽思想の発展に焦点を当てます。

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近世の音楽思想(3)メルセンヌ、デカルト、ライプニッツ

前回の記事までで、ティンクトリスやザルリーノの音楽思想、そしてフィレンツェ・カメラータについて考察しました。今回は、近世音楽思想のさらなる探求として、音楽における感覚と合理性の探求に焦点を当て、メルセンヌ、デカルト、ライプニッツの貢献を詳しく見ていきましょう。参考は Stanford Encyclopedia of Philosophy の「History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800」の項目です。

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近世の音楽思想 (2) フィレンツェ・カメラータの影響

前回の記事で、近世初期の音楽思想として、ティンクトリス Tinctoris やザルリーノ Zarlino の理論を掘り下げました。今回は、その続きとして「メロディと表現」に焦点を当て、特にフィレンツェ・カメラータ The Florentine Carameta の重要性と彼らが音楽に対して持っていた哲学的なアプローチについて詳細に説明します。主な参考先はこれまでと同様、Stanford Encyclopedia of Philosophy の「History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800」の項 です。今回の記事ではでは、メロディがどのように音楽の表現力を高めるのか、そしてそれがなぜ近世の音楽思想において重要なのかを探ります。

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近世における音楽思想(1) ティンクトリス、ザルリーノ

音楽は時として私たちの心を動かし、感情を揺さぶり、思考を刺激します。しかし、この強力な影響力はどこから来るのでしょうか? これまで「音楽の哲学史」シリーズでは、古代ギリシアの音楽思想から中世の音楽哲学に至るまで、音楽が持つ意味や役割について考察してきました。今回は、その続きとして、近世 (early modern) における音楽哲学の展開に焦点を当てます。近世において音楽思想は、音楽と感覚的快楽、そして表現の力が探求されるようになりました。では 15 世紀からの音楽に関する思考の変化を追いかけましょう(参考: History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800)。

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中世の音楽哲学(4)中世イスラム世界の音楽哲学

音楽と宇宙、そして人間の内面とはどういう関係性・・・、などというと、現代では荒唐無稽に思えますが、この問いに対する探求は、古代ギリシャ時代から続く音楽の哲学の歴史において重要なテーマです。中世では、この探求はさらに深化し、イスラム世界においても顕著な発展を遂げました。

本ブログの「音楽の哲学史」シリーズ、今回は中世の音楽哲学、特にイスラム哲学者たちの貢献に迫ります(参考: History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800)。

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中世の音楽哲学(3)リベラル・アーツの分類

「音楽の哲学史」を掘り下げるこのシリーズの「中世」では、これまでにアウグスティヌスやボエティウスの貢献、そしてキリスト教における音楽思想の基礎を概観してきました。しかし、音楽がどのようにして中世の学問体系の中で位置づけられ、その意義がどのように変化していったのか、という点についてはまだ深掘りしていません。そこで、今回の記事では、「音楽とリベラル・アーツの分類」というテーマを探ります。音楽がリベラル・アーツの一部としてどのように扱われ、その中でどのような役割を果たしたのか、そしてそれがなぜ重要なのかについて、見ていきましょう。

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中世の音楽哲学(2)音楽、哲学、そしてキリスト教

音楽と哲学とは、表面的には異なる分野に思えるかもしれません。しかし、古代から現代に至るまで、これら二つの領域は密接に関連してきました。特にキリスト教の登場は、音楽理解においても転換点をもたらしました。では、「キリスト教思想が中世の音楽哲学にどのような影響を与えたのでしょうか?」この問いを探求することで、音楽の持つ深い意味と、それが人間の精神性とどのように結びついているのかを探ります。

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中世の音楽哲学(1)後期古代から中世における音楽哲学: アウグスティヌスとボエティウス

本サイトではこれまで古代ギリシアの音楽哲学を紹介してきました。

ピタゴラスの宇宙の調和からアリストテレスとプラトンの音楽観まで、音楽が古代ギリシア社会においていかに重要であったかを見てきました。今回は、その旅を続け、後期古代から中世にかけての音楽哲学の発展を探ります。(参考: History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800)

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