「 音楽の哲学・音楽美学 」一覧

中世の音楽哲学(3)リベラル・アーツの分類

「音楽の哲学史」を掘り下げるこのシリーズの「中世」では、これまでにアウグスティヌスやボエティウスの貢献、そしてキリスト教における音楽思想の基礎を概観してきました。しかし、音楽がどのようにして中世の学問体系の中で位置づけられ、その意義がどのように変化していったのか、という点についてはまだ深掘りしていません。そこで、今回の記事では、「音楽とリベラル・アーツの分類」というテーマを探ります。音楽がリベラル・アーツの一部としてどのように扱われ、その中でどのような役割を果たしたのか、そしてそれがなぜ重要なのかについて、見ていきましょう。

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中世の音楽哲学(2)音楽、哲学、そしてキリスト教

音楽と哲学とは、表面的には異なる分野に思えるかもしれません。しかし、古代から現代に至るまで、これら二つの領域は密接に関連してきました。特にキリスト教の登場は、音楽理解においても転換点をもたらしました。では、「キリスト教思想が中世の音楽哲学にどのような影響を与えたのでしょうか?」この問いを探求することで、音楽の持つ深い意味と、それが人間の精神性とどのように結びついているのかを探ります。

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中世の音楽哲学(1)後期古代から中世における音楽哲学: アウグスティヌスとボエティウス

本サイトではこれまで古代ギリシアの音楽哲学を紹介してきました。

ピタゴラスの宇宙の調和からアリストテレスとプラトンの音楽観まで、音楽が古代ギリシア社会においていかに重要であったかを見てきました。今回は、その旅を続け、後期古代から中世にかけての音楽哲学の発展を探ります。(参考: History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800)

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音楽、感情、および社会: プラトンとアリストテレスの視点

音楽は私たちの日常生活に深く根ざしており、その力は単に耳を楽しませることに留まりません。では、音楽が持つこの力は、どのようにして私たちの感情や社会に影響を及ぼしているのでしょうか?古代ギリシャの哲学者、プラトンとアリストテレスは、音楽が人間の感情を模倣し、その結果として社会にどのような価値をもたらすかについて、深い洞察を提供しています。本記事では、Stanford Encyclopedia of Philosophyの「History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800」を参考に、二人の哲学者がどのように音楽の社会的および個人的価値を理解していたかを解説します。

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音楽と数学、そして哲学の交差点: 古代ギリシアの音楽観

音楽と数学、そしてそれに哲学が絡み合うとどうなるのでしょうか?この質問に対する答えは、古代ギリシャ時代まで遡ります。音楽がただの芸術ではなく、数学や哲学と深い関連性を持っていることは、数千年も前から考えられてきました。この記事では、Stanford Encyclopedia of Philosophyの「History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800」を参考に、音楽、数学、哲学の三つがどのように絡み合っているのかを探ります。

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音楽と宇宙の調和:ピタゴラスとピタゴラス派の哲学

音楽と宇宙の秩序とは、一見すると全く異なる二つの領域です。しかし、古代ギリシャの哲学者、ピタゴラスと彼のフォロワーたちは、これらが密接に関連しているという画期的な考えを提唱しました。この考え方は、西洋の音楽思想において極めて影響力があり、今日に至るまでその響きを残しています。この記事では、Stanford Encyclopedia of Philosophy の項目「History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800」を参考にし、ピタゴラス派の音楽観に焦点を当て、その奥深い哲学と、後世に及ぼした影響について紹介します。

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音楽の哲学史への招待

音楽は、ただ聴くものではなく、考えるものでもあります。この芸術形式は、古代から現代に至るまで、人間の精神と文化に深い影響を与えてきました。しかし、音楽が持つこの深遠な力はどのように理解され、解釈されてきたのでしょうか?このブログ記事では、音楽に対する哲学的考察の豊かな歴史を探ります。特に、Stanford Encyclopedia of Philosophy の項目「History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800」を参考にしながら、音楽の哲学史の概要を紹介します。

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20 世紀の音楽思想(6) 分析美学と音楽: 「音楽の哲学」

本ブログの「音楽の哲学史」のシリーズ、今回でいよいよ最終回です。テーマは分析哲学による音楽へのアプローチ。

分析哲学の音楽に対する見解とはどのようなものでしょうか?そして、これが他の哲学的アプローチとどのように異なるのでしょうか?

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音楽美学者 Peter Kivy が逝去

こう書くと不謹慎かもしれませんが, いよいよ「音楽の哲学」という哲学の, 美学の, 動向の 1 つが歴史的なものになるのか, という感があります.

音楽美学者 Peter Kivy が 5 月 6 日に亡くなられました. 87 歳でした. ガンで闘病中だったとのことです.

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「音楽の良さ」は分からないけど, 誤魔化して納得する方法はある

先日, こういう記事を読みまして.

投稿者の方は, 歌詞が好きな曲 = 良い曲というのが基本で, 楽曲を構成している歌詞ではない要素についての良し悪しが分からない, 分かるとしたら,

「なんかいい感じ、くらいの感覚を良し悪しと言うのだろうか。爽快感とか?意外性?」

程度で, 音楽の良さを教えてほしい, という内容でした.

これは非常に興味深い, 面白い, といったら失礼にあたるかもしれませんが, いざ「音楽の良さ」について「語る」, つまり音楽以外の, 特に言語行為において説明しようとすると, なかなか難しい. 興味深い問いかけです.

ということで, 自分の考えていることを整理するためにも, 以下の文章を書いてみました. 続きを読む


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