バロック音楽(11)コンチェルト(協奏曲)

西洋音楽史、バロックの11回目です。

本サイトの西洋音楽史全体の目次はコチラです。

また, バロック音楽の目次はコチラになります。

前回は、バロック期に生み出された器楽ジャンルの1つである ソナタ sonata を取り上げました。

今回も、バロック期に生み出された器楽ジャンルを取り上げます。今回はコンチェルト  concerto です。

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1.語源

コンチェルトの語源は、イタリア語のコンチェルターレ concertare(共働する)と言われたり、ラテン語のコンケルターレ(競争する)です。

またコンチェルトは、17世紀初め、声と楽器のアンサンブル ensemble のことを指していました。

バロック期のコンチェルトには、コンチェルト・グロッソ Concerto Grosso と、ソロ・コンチェルト Solo Concerto があります。

2.コンチェルト・グロッソ

コンチェルト・グロッソは、複数のソリスト = コンチェルティーノ concertino と、リピエノ・オーケストラ ripieno orchestraが協奏する様式で作曲されました。

コンチェルティーノはふつう、トリオ・ソナタ風の3声部で、コンチェルト・グロッソは、もとは、大きなアンサンブル = リピエノ・オーケストラを指す言葉でした。

コンチェルト・グロッソの最初の作品は、コレッリ Arcangelo Corelli の〈合奏協奏曲集作品6〉です。

有名なのは、バッハ Johann Sebastian Bach 《ブランデンブルク協奏曲》Brandenburgische Konzerte でしょう。

3.ソロ・コンチェルト

ソロ・コンチェルトの始まりは、トレッリ Giuseppe Torelli《コンチェルト・グロッソ 作品8》のなかの、6曲のヴァイオリン・コンチェルトです。

これらの楽曲は、バロック・コンチェルトの基礎形式である急-緩-急の3楽章構成と、リトルネッロ形式 Ritornèllo(オーケストラで演奏するリトルネッロ(R)の間に、ソロのエピソード(E)が挟まれ、ロンド形式のように R-E-R と繰り返される形式)をすでに備えているそうです。

※ロンド: ロンド形式。ある同じ旋律(ロンド主題)が、異なる旋律を挟みながら何度も繰り返される楽曲の形式のこと。

ヴァイオリン・コンチェルトは、華やかな演奏技巧が人気を集め、コンチェルトの中心的ジャンルに成長しました。

トレッリの没後は、

  • ヴィヴァルディ Antonio Lucio Vivaldi
  • ロカテッリ Pietro Antonio Locatelli
  • テーレマン Georg Philipp Telemann
  • ピゼンデル Johann Georg Pisendel
  • バッハ
  • タルティーニ Giuseppe Tartini

らが、ヴァイオリン・コンチェルトを作曲しました。

4.オルガン、チェンバロのコンチェルト

コンチェルトの発展のなかで、様々な楽器がソロとして登場しました。しかし、チェンバロとオルガンは、通奏低音楽器としての役割が強かった為か、登場するまでに時間がかかったと言われています。

チェンバロ・コンチェルトの創始者はバッハ、オルガン・コンチェルトの創始者はヘンデルです


次回はバロック期の音楽における組曲を取り上げます。

【参考文献】

  • 片桐功 他『はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』
  • 田村和紀夫『アナリーゼで解き明かす 新 名曲が語る音楽史 グレゴリオ聖歌からポピュラー音楽まで』
  • 岡田暁生『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏』
  • 山根銀ニ『音楽の歴史』


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