バロック音楽(3)ヴェネツィア派・ナポリ派

西洋音楽史、バロックの3回目です。前回、「オペラの誕生」をテーマにバロックの声楽について取り上げましたが、

バロック音楽(2)オペラ
西洋音楽史、バロックの2回目です。 前回はコチラ。 バロック音楽(1)バロック時代の概要 今回は、バロック音楽の特に声...

今回は、オペラがどのように発展したのかについて取り上げます。

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1.ヴェネツィア派オペラ

フィレンツェで生まれたオペラは、イタリア各地で作曲・上演されるようになりました。

1607年、マントヴァで初演されたモンテヴェルディ Claudio Giovanni Antonio Monteverdi《オルフェオ》L’Orfeo は、この時期のオペラの傑作だと言われています。

開幕前の序曲風トッカータや、リトルネッロつき有節アリア、登場人物を描き分ける伴奏楽器の割り振りやエウリディーチェの市を告げる死者の歌の突然の店長、苦悩を表す下降半音階などが、登場人物の真理に密着した音楽表現だとされ、以後のオペラに大きな影響を与えました。

※トッカータ toccata: 主に鍵盤楽器による、速い走句(パッセージ)や細かな音形の変化などを伴った即興的な楽曲

当時ヴェネツィアでは、16世紀以来の協奏様式の声楽や器楽から、オペラへと音楽活動の中心が移行しました。

ヴェネツィアではオペラが、貴族の嗜みから一般人の楽しみとなりました。世界最初のオペラ劇場と言われるサン・カッシアーノ San Cassiano が建設されたのもヴェネツィアです。また、サンティ・ジョヴァンニ・エ・パロオ Santi Giovanni e Paolo 、サン・モイゼ San Moise などのオペラ劇場も建設されました。

モンテヴェルディ没後は、カヴァッリ Pietro Francesco Caletti-Bruni が台本作家のファウスティーニ Giovanni Faustini と組み、名作を残しました。

カヴァッリより後の作曲家としては、
  • ロッティ Antonio Lotti
  • カルダーラ Antonio Caldara
  • チェスティ Marc’ Antonio Cesti
  • ヴィヴァルディ Antonio Lucio Vivaldi

らが、ヴェネツィア派で挙げられます。

2.ナポリ派

18世紀前半、ナポリが、イタリア国内のみならずヨーロッパのオペラ界の中心地になったと言われています。

A.スカルラッティ Alessandro Scarlatti の活躍した時代に音楽様式が整備されました。

  • ダ・カーポ・アリア da capo aria の確立
  • イタリア風序曲の確立
  • レチタティーヴォ recitativo とアリア aria の分化

が推進されました。

※レチタティーヴォ: 叙唱、朗唱と訳されます。オペラ、オラトリオ、カンタータなどの中に置かれ、まず歌を用いた、概して大規模な組曲形式の作品の中に現れる一種の曲。通常は、個人的な感情の独白や、状況説明、ストーリーの紹介などの場面に採用されるため、当然ながら、多くの場合はアリアなどの旋律的な曲の間や前に置かれることになります。

レチタティーヴォとアリアの分化に関しては、
  • レチタティーヴォ = 話し言葉に近づく。劇を進行させる。
  • アリア = 情緒的な性格を強める。歌手の声の魅力や技巧の見せ場となる。

というふうに分化しました。

ダ・カーポ・アリアとは、A – B – Aの3部分(つまり大雑把に言えば、楽曲の「初め」と「終わり」が「似ている」ということです)から成立し、A部分の反復では自由な装飾が加えられました。

アリアには一般的な器楽伴奏に加え、独唱声部に匹敵するほどの重要な旋律を演奏したり、間奏を引き立てたりするヴァイオリンやオーボエなどのオブリガート(必須の独奏声部)が加えられたりすることもありました。

アリアの歌い手には、美しい声と優れた技巧が求められました。このため、ベルカント唱法 Bel Canto が発達し、去勢男性歌手であるところのカストラートのアイドル歌手がもてはやされるようになりました。

※ベルカント唱法: 声楽用語のひとつ。定義付けの乏しい用語ですが、大体においてイタリア・オペラにおけるある種の理想的な歌唱法を指します。

また、A.スカルラッティ《災い転じて福となる》(1687)以来、「急 – 緩 – 急」の3部から成立するイタリア風序曲が一般的になりました。

【参考文献】

  • 片桐功 他『はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』
  • 田村和紀夫『アナリーゼで解き明かす 新 名曲が語る音楽史 グレゴリオ聖歌からポピュラー音楽まで』
  • 岡田暁生『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏』
  • 山根銀ニ『音楽の歴史』


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