一度あるジャンルが流行すると、そのジャンルのテンプレートが形成されて、そのテンプレに則った楽曲ばかりになってしまうのは、音楽の流行によくあることです。それが、クラブミュージックというか、ダンスミュージックというか、分かりやすく・例えば、EDM のサブジャンルといった場合にはなおさらなんですよね。というのも、DTM が発達しているから。EDM のようなエレクトロニックな音楽ジャンルの場合、DTM 、つまりパソコンを使用して楽曲を制作するのですが、そのとき、DAW (Digital Audio Workstation) というソフトウェアを使用するんですね。この DAW は、いろいろなソフトウェア会社からいろいろな種類のものが発売されているのですが、概ね、「テンプレート」が用意されています。ヒップホップ「風」のトラックを制作したい場合のテンプレ、ハウス「風」のトラックを制作したい場合のテンプレ、そして、流行りのEDM「風」のトラックを制作したい場合のテンプレ、というふうに。
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新世代ポップスとしての在り方のお手本: Mikael Temrowski『A Letter to My Younger Self』
音楽は、ポップスの在り方は、どんどん進化していっていて、ぼーっとしていたら時代に取り残されてしまいます。
続きを読むLil 農家、Tokyo Drift Freestyle「農道 drift」を公開
2018 年、セルフ・タイトルのデビューEP『Lil 農家』が局地的な人気を集めた Lil 農家。
しばらく音源のリリースが途絶えていましたが、コロナ禍の流行に乗って Tokyo Drift Freestyle である「農道 drift」を公開しました。
極上のアンビエント・ジャズ: Niño, Miguel Atwood-Ferguson『Chicago Wave』
現在進行形のジャズと言うと、日本のリスナーからしてみると、やはりどこか、テン年代以降は、Robert Glasperとの距離感、あるいは、Kamasi Washingtonとの距離感という観点からなかなか逃れられないでいるのではないでしょうか。
続きを読む僕たちは何度も同じようなガールズ・ロックに恋をする: Ribon Stage「Favorite Girl」
何度も何度も同じような音楽に恋してしまう(恋と言えるほど惹きつけられる) 経験は、ある程度履歴を積んだリスナーの誰しもが持っていると思います。どういったジャンルかは人によって違いますが、ガールズ・ロック好きなら、New York を拠点に活動するパンク・バンド、Ribbon Stage によって恋に落とされてしまうでしょう。何度目かの。
楽曲情報
- タイトル:「Favorite Girl」
- アーティスト: Ribbon Stage
- リリース: 2020 年 5 月 1 日
くすんだエレキギターのコードストローク、もたついたグルーヴ、そしてアンニュイで透明感のあるボーカル。そして 8 月リリース予定のアルバム『My Favorite Shrine』からの先行シングル「Favorite Girl」は 1 分半という短さ。何から何まで完璧ですね。
生演奏と多重録音が生んだ怪し過ぎる未体験 ASMR ソウル・ミュージック: NNAMDÏ『BRAT』
2014 年に発表した『Feckin Weirdo』での、当時のビートのトレンド取り入れつつも何段も突き抜けた怪グルーヴっぷりと、ASMR 的な効果のある緻密な多重録音で話題になった、NNAMDÏ。 続きを読む
ポピュラー音楽の境界を顕にするソウル: Moses Sumney『græ: Part1』
ふざけすぎ! だからクセになるヒップホップ: Digital Nas & Lil Yachty『The Lost Files 2』
出たての頃に比べてすっかり注目度が下がってしまった感のある Lil Yachty. 『Teenage Emotions』以降の Lil Yachty を見ていると, ヒップホップ・ゲームのなかで生き残ることの厳しさを, リスナー視点ではありますがひしひしと感じてしまいます. 続きを読む
ブラジルの女性歌手が挑戦する, トリリンガル・ミュージックの世界: Anitta『Kisses』
2010年代最後に花開いた 10 代の闇: Billie Eilish『When We Fall Asleep, Where Do We Go?』
ロサンゼルス出身の 17 歳, Billie Eilish. 2016 年に Soundcloud で公開した「Ocean Eyes」が注目を集めて以来, 彼女は次世代の音楽シーンの代表的な扱いを受けてきましたが, 3 月 29 日, ついにファースト・アルバム『When We Fall Asleep, Where Do We Go?』をリリースしました. 続きを読む