ボーカロイドラップの作り方「2.4 ボーカロイドを喋らせる(トークロイド入門 その2)」

ボーカロイドにラップをさせる、いわゆる、「ボカロラップ」あるいは「ボカラップ」を作るための手順・法則を、自分なりにまとめたものです。詳しくは、コチラを参考にしてください。

また、全体の目次は、コチラになります。

さらにまた、「ボーカロイドラップの作り方」に関連した音源を、bandcamp で公開中です。合わせて、御参考ください。

前回はコチラ

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2.4 ボーカロイドを喋らせる(トークロイド入門 その2)

では、前回の応用として、「Yo!」より長いセリフを、ボーカロイドを喋らせてみましょう。もう少しトークロイドらしくなります。ミクちゃんに喋らせるセリフは、『ゆるゆり』の登場人物である、杉浦綾乃のセリフ、「罰金バッキンガムよ!」です。なぜこれを選んだかは、察して下さい(笑)

さて、「罰金バッキンガムよ!」を実際に作っていきましょう。最初は音程を一定にし、リズムだけを確認しながら、ノートを配置します。

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ここから、「罰金バッキンガムよ!」と喋っているようにノートを配置させます。と、次のようになります。

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全ッ然杉浦綾乃ちゃんっぽくないんですが(笑)、まあ、ここでは、トークロイドをどうやって作るかの基本を説明する、決して、初音ミクに杉浦綾乃らしい「罰金! バッキンガムよ!」を喋らすことが目的ではない、ということで、お許しください。

ノートの配置を「Yo!」に比べると、いきなり難易度が高そうです。しかし、基本的には、前回のトークロイドの4つの法則に則っています。

2.4.1 アクセント

上図の「罰金! バッキンガムよ!」のノートの配置をこれから順番に説明していきますが、その前に、日本語のアクセントをボーカロイドで再現するにあたっての、わたしなりの考えを述べることにします。

アクセントには第1アクセント、第2アクセント、非アクセントがあります。これをボーカロイドで再現するためには、第1アクセント = 8度、第2アクセント = 4度、非アクセント = 1度というふうにノートを配置させます。個人的には、第1アクセント = a♯3、第2アクセント = d♯3、非アクセント = a♯2 に配置すれば、初音ミクを人間らしい発音に近づけることができると感じています。このことから、先述のトークロイドの4つの基本のうちの1つ、「「1度 – 4度 – 8度」の関係を保つ」〔以下、「1 – 4 – 8 の法則」〕が導き出されます。

では、「罰金! バッキンガムよ!」のノート配置について、順番に説明していきましょう。[asp]については、前回説明した通りです

まず、「罰金」の部分からみていきましょう。「ば」は下がって聴こえますので、先ほどの「Yo!」と同じ要領で、「ば」を「ば」と「ー」の2つの歌詞で再現します。d♯3 を発音の起点として「ば」と歌詞入力した場合には、「1 – 4 – 8 の法則」により、「ば」の次の「ー」は、4度下の a♯2 です。つづいて「っきん」ですが、「きん」は、わたしには第一アクセントに感じます。つまり、「1 – 4 – 8 の法則」の「8」に当てはまります。「っ」も、「ば」より「き」の方が音程が上に感じますので、ポルタメント効果を狙って、「ば」の次の「ー」= a♯2 よりノートの音程を上げましょう。そこで問題になるのが、「き」と「ん」を同じ高さの音程にした場合、機械的に聴こえてしまうということです。これを回避するために、「ある音のまとまりの次の音を、強調したいときは少し音程が上がり、強調しないときは少し音程が下がる」の法則を使います。

2.4.2 イントネーション

その具体的な手順の説明の前に、日本語の「イントネーション」をボーカロイドで再現するにはどうすればいいのかを、簡単に説明しましょう。

ここでわたしが「イントネーション」と言っているのは、一音の中にも、音程の変化が見受けられる、この程度の意味だと思ってください。この音程の変化を、いま仮に、「↑」「↓」で表現するなら、例えば「おはよう」は、「お↓ は↑ よ↓ う↓」になるでしょう。これの「↑」「↓」は、すでに「Yo!」で説明した通り、歌詞「ー」で再現します。「お」「は」「よ」「う」の音程を再現した各ノートを分割し、分割したノートの後半部分に、「↑」なら前半部分より高い音程の「ー」を、「↓」なら前半部分より低い音程の「ー」を歌詞入力します。どのような音程で「ー」を入力すれば良いのかというと、2つのパターンがあります。

(1) 「Yo!」のような短い場合や、「罰金」の「ば」のようにとにかく強調したい場合は、「1 – 4 – 8 の法則」を適用させる

(2)強調したくない場合、或る単語のなかで微妙なイントネーションを再現した場合は、前半部分よりも半音上下に「ー」を配置させる。が、「ー」をどのように半音上下に配置させるかにも、注意が必要。ノートを分割し、後半部分を「ー」にした場合には、「ー」を「1 – 4 – 8 の法則」に適用させる。例えばいまみている「罰金」の「き」= a3 は、「き」と「ー」に分割した場合、「ー」= a♯3 の方に「1 – 4 – 8 の法則」が適用され、「ば」= a♯2 の5度上になるのは、「き」ではなく、イントネーションを再現するために挿入された「ー」= a♯3 となる

ただ、この「ー」でのイントネーションの再現は、あまり用いすぎると、ボーカロイドの音声が濁り、いわゆる「滑舌が悪く」聴こえてしまいます。「ー」を使わなくても人間に近い発音のトークロイドができた場合は、使わない方がいいでしょう。

2.4.3 同じアクセントが続く場合

では、「同じアクセントの音が続く場合に、どのようにノートを配置すればいいのか」の話題に戻りましょう。

「き」と「ん」は同じ「第一アクセント」に聴こえますが、これを同じ音程にすると機械的に聴こえてします。それを解決するのが、「ある音のまとまりの次の音を、強調したいときは少し音程が上がり、強調しないときは少し音程が下がる」の法則です。まずイントネーションですが、「き」も「ん」も「き↑ん↑」のように感じます。「き↑ん↑」は微妙なイントネーションだと感じますので、それぞれのノートの次の半音上に「ー」を配置させます。つづいて、「き」よりも「ん」を強調した方が、迫力のある「罰金!」に聴こえると思います。なので、「ある音のまとまりの次の音を、強調したいときは少し音程が上が」るを適用させ、「き」よりも「ん」を半音上げます。そこで、既に「き」はノートが「き」に対して「ー」が半音上になるように分割されていますので、「ん」は、「き」の次の「ー」と同じ高さの音程になります。最後に、「ん↑」のイントネーションを再現するために、「ん」= a♯3 のノートを分割し、後半の歌詞を「ー」と入力した上で、「ー」と歌詞入力されたノートを半音上げます。このようにすると、4つのノートが3つの半音が連続して上がるように配置されることになるでしょう。ここで問題になるのが、この4つのノートをどのように配置させるか、です。いまみている「罰金」の「きん」は、実際には3つ連続の半音ですので、この音程をどのように配置させるべきなのか。わたしが作った範囲では、いまのところ、どんなに長い単語でも、同じアクセントが4つ以上続くことはありませんので、半音の連続が「2つ続く場合」「3つ続く場合」「4つ続く場合」の3つのパターンに分けて説明しましょう。

(1)半音の連続が2つ続く場合は、2つ目を「1 – 4 – 8 の法則」に適用させ、1つ目を2つ目より半音上下させる。これは、「イントネーション」の作り方と同じです。

(2)半音の連続が3つ続く場合は、2つ目を「1 – 4 – 8 の法則」に適用させ、1つ目と3つ目を、2つ目より半音上下させる。例えば、あるアクセントが3つ連続で d♯3 に聴こえ、かつ、強調されていないように聴こえた場合(「少しずつ下がる」の法則を使う)、これを再現するには、e3 – d♯3 – d3 という順番で下げます

(3)半音の連続が4つ続く場合は、2つ目もしくは3つ目を「1 – 4 – 8 の法則」に適用させる。例えば、あるアクセントが4つ連続で d♯3 に聴こえ、かつ、強調されていないように聴こえた場合、e3 – d♯3 – d3 – c♯3 か、f – e3 – d♯3 – d3 という順番で下げます。「1 – 4 – 8 の法則」を2つ目に適用するか、3つ目に適用するかは、ここはもう、いまのわたしに言えるのは感覚の問題だ、ということで、実際に聴いてみて判断してください

ということで、「罰金」の「きん」は4つのノートに分割され、かつ、半音の連続が3つ続くように、かつ、「き」より「ん」を強調させたいので、「き」= a3 「ー」「ん」= a♯3、「ー」= b という配置になります。

2.4.4 「文」(あるいは文節)を作る

ここまでで、「罰金」という単語はできました。つづいて、「バッキンガムよ!」を作り、「文」にしましょう。ここで、「罰金!」と「バッキン」が同じだからと言って、全く同じノート配列にしてしまっては、機械的に聴こえてしまいます。そこで、「ある音のまとまりの次の音を、強調したいときは少し音程が上がり、強調しないときは少し音程が下がる」法則を適用させます。

「バッキンガム」の「ば」は、「罰金」の「ば」と同じように聴こえますので、「強調しない」と判断し、「音程を下げ」ます。つまり、「罰金」の「ば」が d♯3 ですので、「バッキンガム」の「ば」は d3 になります。

「バッキンガム」の「きん」は、「罰金」の「きん」より、強調したいところですので、「音程を上げます」。また、「バッキンガム」の「きん」は、「罰金」の「きん」に比べ、「き」より「ん」の方がより強調されているように、かつ、イントネーションが「き↑ん↑」に聴こえますので、「き」「ー」「ん」「ー」の4つのノートで表します。

「ガム」の「が」は、「バッキン」の「ば」と同じアクセントに聴こえますが、これも「ば」より強調しましょう。ということで、「が」を分割した後半の「ー」を、「ば」の半音上に配置しました。

「むよ」は、非アクセントなので、「1 – 4 – 8 の法則」の「1」に当たります。「む」のイントネーションは「↓」ですので、「む」を分割した後半の「ー」を、「が」を分割した後半の「ー」の4度下に配置します。「よ」は、発音の最初は「む」よりさらに聴こえますが、発音の最後は上がって聴こえ、かつ、より強調したいところなので、「ー」を「1 – 4 – 8 の法則」の「4」と「8」に配置します。その際、「よ」よりも「ー」を強調したいので、「少しずつ上がる」の法則を適用させます。

これで完成です(ちょっと最後の説明が雑ですみません!)! というかコレがトークロイドの作り方の基本で、これを使えば日本語らしい発音のラップが作れます!(2回目) ここまでの「トークロイド」の技術をしっかり習得できれば、あとは簡単です!

2.4.5 トークロイド作成の基本法則まとめ

念のため、ここまで出てきたトークロイド作成の法則を、もう1度まとめましょう。けっきょく6つくらいになってしまいました。

トークロイドの基本法則

(1)5度の音程に注意する

(2)ある音のまとまりの次の音を、強調したいときは少し音程が上がり、強調しないときは少し音程が下がる

(3)発話の最初は音程が立ち上がるように、最後は音程が急落するように

(4)アクセントは、第1アクセントを8度で、第2アクセントを4度で、非アクセントを1度で再現する。「「1度 – 4度 – 8度」の関係を保つ」= 「1 – 4 – 8 の法則」

(5)イントネーションは、ノートを分割し、「ー」で再現する。

(5-1)イントネーションを強調したい場合は、「1 – 4 – 8 の法則」を適用させ、分割されたノートの前半より「ー」を上下させる

(5-2)イントネーションを強調したくない場合は、分割されたノートの前半より「ー」を半音上下させる

(6)2音以上同じアクセントが続く場合、徐々に強調させたい場合は半音ずつ上げ、強調させたくない場合は半音ずつ下げる

(6-1)半音の連続が2つ続く場合は、2つ目を「1 – 4 – 8 の法則」に適用させ、1つ目を2つ目より半音上下させる。これは、「イントネーション」の作り方と同じ。

(6-2)半音の連続が3つ続く場合は、2つ目を「1 – 4 – 8 の法則」に適用させ、1つ目と3つ目を、2つ目より半音上下させる。

(6-3)半音の連続が4つ続く場合は、2つ目もしくは3つ目を「1 – 4 – 8 の法則」に適用さる

この法則に従っても、上手くトークロイドを作成できない場合は、イントネーションやアクセントの聴取を間違っているか、もしくは、この法則が間違っているということになります。それで、最後の最後でブチ壊すようなこと言いますが、この法則をガッチガチに守らなくても、「ちょっと不自然だな?」と思ったら、半音程度上げ下げしてもかまいません。あくまで、「トークロイドの基本法則」ですので。

では、トークロイドについての説明はこれくらいにして、次から、残り3つのラップの型、「オクターブ上下型」、「基音一定型」、「喋り型」の作成方法を説明していきます。と言っても、あとは本当にあっさりです。

次回はコチラ。

  • ボーカロイドラップの作り方「2.5 オクターブ上下型」
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