Kllo が開示したエレクトニック系の可能性: Kllo『Maybe We Could』

一度あるジャンルが流行すると、そのジャンルのテンプレートが形成されて、そのテンプレに則った楽曲ばかりになってしまうのは、音楽の流行によくあることです。それが、クラブミュージックというか、ダンスミュージックというか、分かりやすく・例えば、EDM のサブジャンルといった場合にはなおさらなんですよね。というのも、DTM が発達しているから。EDM のようなエレクトロニックな音楽ジャンルの場合、DTM 、つまりパソコンを使用して楽曲を制作するのですが、そのとき、DAW (Digital Audio Workstation) というソフトウェアを使用するんですね。この DAW は、いろいろなソフトウェア会社からいろいろな種類のものが発売されているのですが、概ね、「テンプレート」が用意されています。ヒップホップ「風」のトラックを制作したい場合のテンプレ、ハウス「風」のトラックを制作したい場合のテンプレ、そして、流行りのEDM「風」のトラックを制作したい場合のテンプレ、というふうに。

ソフトウェアに既存のテンプレもありますが、ユーザーがテンプレを作って、それをインターネット上で共有する場合もありますね。ある DAW ソフトに、あるジャンルのテンプレートが入っていない場合。Tropical House を作るためのテンプレート、のように。

そうやってテンプレートがあれば、DAW ユーザーも音楽制作を効率化できますし、リスナーも好きな「雰囲気の」好きな「風の」音楽をたくさん聴く機会が増えますので、とても便利といえば便利。なんですが一方で、やはり、マンネリ化というか似たような楽曲ばかり聴いていると、どこかモノ足りない、飽きてしまうことがありますよね。

それでも、なかなか、突然変異的な、新しい音楽は、凝り固まってしまったジャンルからは発生し難いですよね。突然変異的に、新しい音楽が、あるジャンルから発生しても、その音楽が、多くのリスナーの支持を集めるかどうか、あるいはその後の主流になるかどうかは、分かりません。というかそういうふうに、多くの支持を集めたり、主流になったりする方がマレです。

ですが、あるジャンルに、マンネリやモノ足りなさを感じ、飽きそうなとき、突然変異的な楽曲に偶然出会うことは、とても魅力的な経験です。

オーストラリアはメルボルンを拠点に活動する Kllo が、7 月にリリース予定の『Maybe We Could』から先行配信している数曲は、エレクトロニック系という、凝り固まりやすいジャンルにおける突然変異的な音楽。アンニュイでどこか寂しげで、でも優しいコード感と歌声に、やや粗っぽい・懐かしさを感じるビートが特徴的。エレクトロニックのリスナーはこの音楽を喜んで迎えるべきですね。

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アルバム情報

  • タイトル: Maybe We Could
  • アーティスト: Kllo
  • リリース: 2020 年 7 月 17 日

トラックリスト

1. Cursed
2. Still Here

3. Insomnia
4. My Gemini
5. Somehow

6. Maybe We Could
7. Ironhand

8. 1 Up
9. A Mirror
10. Just Checking In

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