「 コラム 」一覧

AI が実現する音楽産業の持続可能な未来

人工知能(AI)と音楽エコシステムの組み合わせが描く未来は、技術とクリエイティビティの融合により、音楽産業に前例のない変革をもたらすことが予想されます。この変革は、新たな創造性の可能性を開く一方で、アーティスト、プロデューサー、消費者、そして社会全体に、未知の課題と倫理的な問いを投げかけます。今回の記事では、音楽産業におけるAIの役割とその影響、そして未来に向けた展望について、Martin Clancy『Artificial Intelligence and Music Ecosystem』(2023) の Guy Morrow による書評を参考にしながら深掘りします。

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音楽のDNA: 伝統音楽を通じて見る文化間の架け橋

音楽は、人々の間の見えない絆を織りなし、世代を超えて文化を伝える手段です。それは、特定のメロディーやリズムに込められた歴史と伝統によって、異なる文化圏間での共有された経験を生み出します。しかし、異なる文化の伝統音楽がどのようにして互いに関係しているのか、その「音楽のDNA」を科学的に解析し理解する試みは、一体どのような洞察をもたらすのでしょうか?

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ポピュラー音楽の歌詞は過去50年間でどのように変化してきたのか

音楽は私たちの日常生活に欠かせない要素であり、歌詞は音楽を聴く際に重要な役割を果たします。しかし、歌詞の内容、その時間的進化、そしてジャンル固有の変動に関する複雑な関係は、まだ完全には理解されていません。この記事では、「ポップ音楽の歌詞は過去50年間でどのように変化してきたのか?」という疑問に答えるために、さまざまな歌詞の記述子を使用して、西洋のポピュラー音楽の英語歌詞のダイナミクスを調査した研究「Song lyrics have become simpler and more repetitive over the last five decades」(DOI: https://doi.org/10.1038/s41598-024-55742-x)を紹介します。

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ゲーム音楽における音楽性と、ミュージッキングの概念

音楽ゲームにおける音楽性とは、どのようなものでしょうか? 恥ずかしながらいままでこの観点を持っていませんでした。音楽ブログの管理人をしておきながら、です。

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ギャングスタ・ラップを通じて見る若者の世界観: 反抗、現実、そしてアイデンティティ

音楽は、しばしばその時代の社会状況や若者の心情を反映する鏡とされます。例えばギャングスタ・ラップは、社会的な不平等や差別、貧困といった厳しい現実を背景に、その生の声を伝えることで知られています。しかし、なぜ多くの若者はこれらのメッセージに強く惹かれるのでしょうか? 本記事ではドイツの論文「The Good, the Bad, and the Narrative: How Youth Experience the Gangsta in Rap Music」を参考に、若者がこの音楽ジャンルをどのように受け止め、自己表現の手段としているのかを探ります。ということで基本的に調査内容などはドイツだということをご留意ください。

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音楽と権力の交錯:1928〜1942年の中国大陸における政治化された旋律

音楽と政治の絡み合いは、しばしば直接的な影響を互いに及ぼし合う複雑な関係を築きます。特に、政治的イデオロギーや運動が、音楽を自らのメッセージを広め、人々を結束させるための有力な手段として活用するケースは数多く存在します。「音楽と政治の関係」というテーマは、このような相互作用に光を当てるものです。今回取り上げる「中国大陸における音楽の政治化(1928〜1942)」という論文は、1928年から1942年にかけての中国大陸での音楽と政治の密接な関係性、特に中国共産党が音楽をどのように政治的ツールとして利用したかを詳細に探ります。この時期は、中国共産党が文化や音楽を利用して自身の政治的影響力を拡大した歴史的な背景がある重要な時期です。

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響き渡る旋律の教訓: プラトンから現代へ、音楽が感情と認知に与える影響

音楽は、単に耳に心地よいもの以上のものです。それは私たちの感情を揺さぶり、認知プロセスを刺激し、創造性を喚起する力を持っています。しかし、この音楽がもたらす内面的な影響は、どのように科学的に解明されているのでしょうか?そして、この音楽の力は古代から現代に至るまで、どのように認識されてきたのでしょうか?

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イラン、メタル、表現の自由

音楽と表現の自由が直面する挑戦は多岐にわたりますが、宗教的規範や国家による厳格な統制が存在するイランのような社会では、これらの挑戦はさらに複雑なものとなります。今回は、イランの宗教的規範下でのメタル音楽の現状を通じて、音楽がいかにして表現の自由を模索し、そして保持しようとするのかに焦点を当てます。

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分析的聴取と美的体験: 音楽批評の新たな地平

音楽を聴く行為は、ただ楽しむだけでなく、演奏や作品に対する深い理解を促進するものです。しかし、音楽批評の分野では、どのようにしてこれらの体験を評価し、表現するかが常に問題となっています。「分析的聴取」と「美的体験」とは、音楽批評においてどのように結びつくのでしょうか?このブログ記事では、「Analytical Listening and Aesthetic Experience in Music Criticism」(2024) という論文に基づき、この疑問に対する新たな視角を探求します。

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