ラップを作るときに欠かせないのが印象的な「フック」です. フックとは, J-POP で言い換えれば「サビ」に当たります. フックを印象的にできるかどうかは, ラップがかっこよくなるかどうかにとって欠かせない要素です.
フックは J-POP のサビのようなものですが, しかし少し違います. ラップにおけるフックは, J-POP のような, 覚えやすい・印象的なサビである場合と, そうでない場合があります. 「そうでない場合」というのは, フックにおいて印象的なフレーズを「喋る」場合です. しっかりしたメロディーとして採譜しにくいと言い換えてもいいでしょう.
「メロディー型フック」と「喋り型フック」
たとえば, しっくりくる・適切な例がぱっと思い浮かびませんので, ぱっと思い浮かんだもので説明すれば, Black Eyed Peas「Where is Love ?」は, フックが J-POP のサビのような印象的なメロディーになっています.
対してたとえば M.O.P「Ante Up」なんかは, フックで「Ante Up」と歌うのではなく, あくまで「喋る」ことをしています.
つまり, ヴァースもフックも喋ってる, 採譜しにくい, 純度 100 %に近いラップというわけですね.
ここでは,「What is Love?」のようなフックを「メロディー型フック」,「Ante Up」のようなフックを「喋り型フック」と名づけましょう.
ボーカロイドで「喋り型フック」を作ろう
さて, ボーカロイドでラップを作る際に困るのは, 後者の, 喋り型フックの方です. 運良く印象的なフレーズをボーカロイドに喋らせることでフックを作ることに成功しても, いわゆる「パンチ」の効いたものにはなかなかなりません.
そこで, ミキシングによる調整が必要になってくるかと思います. というのも, たいていのラップのフックは, 喋り型・メロディー型に関わらず (ラッパーがソロの場合は)「ダブル」というレコーディング手法を用いているからです (複数人によるラップの場合は, その複数人がユニゾンで発声して「パンチ」を効かせます). しかし, ミキシングなどでダブルをボーカロイドできれいに作ったところで, それはいわば「擬似ダブル」です. ラップのフック特有の, 少しずつタイミングがずれて同じフレーズを喋る, というのとはちょっと違うように聴こえてしまいます.
そこで, ノートの配置にまで戻って工夫すると, 喋り型フックをよりパンチの効いた仕上がりにできるはずです. 具体的には, フックでは, リズムを変えずに, 音程を喋り型・オクターブ上下型・メロディー型の 3 つをそれぞれ作り, 同じタイミングで発声するようにします.
なお, ボーカロイドでのラップの基本的な作り方は, 以下をご参考ください.
では, 現在制作しているトラックから, フックではないですが, そのように作っている箇所のスクショを載せましょう.
- 喋り型
- オクターブ上下型
- メロディー型
この場合のメロディー型については,「Lil Yachty っぽいフロウをボカロで作ろう!?」をご参考ください.
- 3 つの型の重ね合わせ
このように, 喋り型, オクターブ上下型, メロディー型の 3 つを同じリズムで, 同じタイミングでラップさせることで, 擬似ダブルとはまた別の方法で, パンチの効いた喋り型フックを作ることができます.