音楽ファンの間ではすっかり、風営法ではなく「違法ダウンロード刑罰化」が話題の中心です。何だか残念です。
と、いうことで、ネットで見かけました「違法ダウンロード刑罰化」関連の記事の紹介です。やはり、反対、というか、法案の通し方に疑問を投げかけているようです。
音楽・動画の違法ダウンロードに2年の懲役・200万円以下の刑罰
音楽業界からの圧力を受け、自民、公明両党は2011年11月7日、インターネットを通じた音楽や映像ファイルの違法ダウンロードに対し、2年以下の懲役か200万円以下の罰金を科す法案をまとめていました。この法案に民主党に協力を求め、2012年の通常国会で成立を目指していたのですが。
消費税増税を目指す野田民主党は、ここでも自民党・公明党案を丸呑みしてしまいました。
一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU 代表理事津田大介氏ら)は6月4日、反対声明を発表しています(プレスリリース(MIAU))。その骨子は
1)摘発されるのは理解していない子どもたちです
2)適法・合法の区別をつけることができません
3)捜査権の乱用を招くおそれがあります
4)慎重な議論が必要ですという点です。
4)については、今回の法改正はもともと、違法ダウンロード刑事罰化の内容を含まない閣法による改正案に、野党が議員立法による修正案と して提出するとし、本来であれば、文化庁の審議会を通じて有識者や当事者間で議論を行い、パブリックコメントで国民の意見を反映し、正当なプロセスを経て慎重な意志決定を行うべきだとしており、今回の法改正は常道を逸脱している
としています。
私が法律家として問題にしたいのは特に4)の点です。
2010年1月より施行された著作権法では、私的な目的により、音楽ファイルなど違法アップロードされたコンテンツをダウンロードすることは違法となっていましたが、これに対する罰則は設けられていませんでした。
今回の修正案では、これに2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金を科します。これはかなりの重罰です。
ダウンロード刑事罰化の対象となる違法著作物をユーザーが 区別することができないために、私的違法ダウンロードに刑事罰を導入することは、インターネットの利用に萎縮効果があるという問題があります。
まかり間違ったら、YouTubeで削除前の動画を視聴しても、懲役2年にされるかもしれませんよ。
と、いうことで、やはり或る法案を成立させるために別の法案を妥協する、その「政局」のために「違法ダウンロード刑罰化」法案が利用されているようです。
「違法ダウンロード = 減収の主要因」は時代錯誤
政局の利用のために法案が妥協的に通過してしまう、というのは政治素人のワタシとしても疑問があります。これに加え、もし、音楽を初めとするエンターテイメント業界が「違法ダウンロード = 減収の主要因」として捉えているのであれば、以前から指摘している通り、かなり時代錯誤な考え方だと思います。
音楽における「楽曲」ふくめ、とにかく「記録する」ことで作品を作り上げ主な収益につなげるというビジネス・モデルは、もはやワタシには過去の産物に思えます。それ以外の、「記録しない」方法でのビジネス・モデルを模索するべきです(それが「生演奏」なのかどうかは分かりませんが)。たとえその新たなビジネス・モデルが、一時期のように高利益をあげないようなそれだとしてもです。
それでもとにかく CD やダウンロード音源を売りたい、楽曲を売りたいのであれば、曲間に、もしくは間奏に、企業の名前でも歌っているトラックでも作ればいいのではないですかね?