2020 年代の J-POP はヒットチャート上位でもひんぱんに転調するなど、かなり技巧的な楽曲が多いですね。テン年代以前にそのような楽曲がなかったのかというと、さすがに Official 髭男 dism「Cry Baby」(2021) みたいに極端なものはなかったかもしれません。しかし転調を効果的に使う楽曲は、J-POP ではそれほど珍しいものではありません。
例えばよくあるパターンが、最後の最後の大サビで、半音や全音、メロディーの形そのままに移調する、という転調パターンです。例えば宇多田ヒカル「First Love」(1999) がそうですね。
それ以外には例えば、A メロ、B メロときて、サビで転調する楽曲があります。大サビで転調する楽曲に比べると少ないですが、サビでガラッと雰囲気が変わるので、印象深いものが多いですね。
この記事では、 A メロ、B メロときてサビで印象深く転調する楽曲を集めています。
ただし、シングル曲かつ、また、初登場オリコン 20 位以内など、比較的メジャーな楽曲に限ります。
ちなみに、(1)「3 回目のサビで、歌メロはほぼそのままに半音上がる」とか、(2) 「一時的にノンダイアトニックコードを使う」とかもナシです。
主に、(3) A メロ、B メロときてサビで印象深く転調する楽曲を集めています。
(1) は例えば、宇多田ヒカル「First Love」(1999) のほかだと、Superfly「愛をこめて花束を」(2008、オリコン 13 位)ですね。(2) の例はたくさんあるので割愛します。
今回、対象になるのは主に (3) です(何にでも例外はつきものです)。(3) に当てはまるのは例えば米津玄師「パプリカ」(2018) です。
以下に集めた楽曲以外でも、転調が興味深い楽曲がありましたら、コメントいただければうれしいです。
それでは逆・時系列順に挙げていきましょう(※ 「ビルボード」は「Billboard Japan Hot 100」の週間順位です)。
- Official 髭男 dism「Cry Baby」(2021、ビルボード 4 位)
- LiSA「炎」(2020、ビルボード 1 位)
- 米津玄師「パプリカ」(2018、ビルボード 5 位)
- 西野カナ「Bedtime Story」(2018、オリコン 7 位)
- Aqours「MIRAI TICKET」 (2016、オリコン 3 位)
- 欅坂46「サイレントマジョリティー」(2016、オリコン 1 位)
- SHISHAMO「明日も」(2015、オリコン 15 位)
- AKB48「Everyday、カチューシャ」(2011、オリコン 1 位)
- AKB 48「ポニーテールとシュシュ」(2010、オリコン 1 位)
- ももいろクローバー「行くぜっ!怪盗少女」(2010、オリコン 3 位)
- 木村カエラ「Butterfly」(2009、iTunes ストア年間 1 位)
- 倖田來未「愛のうた」(2007、オリコン 2 位)
- モーニング娘。「そうだ! We‘re ALIVE」(2002、オリコン 1 位)
- 松本梨香「めざせポケモンマスター」(1997、オリコン 7 位)
- 安室奈美恵「Don’t Wanna Cry」(1996、オリコン 1 位)
- My Little Lover「Hello, Again 〜昔からある場所〜」(1995、オリコン 1 位)
- シャ乱Q「シングルベッド」(1994、オリコン 9 位)
- B’z「ZERO」(1992、オリコン 1 位)
- B’z「ALONE」(1991、オリコン 1 位)
- ユニコーン「働く男」(1990、オリコン 3 位)
補足の必要な楽曲もありますが、ひとまずリストとしてはこんな感じでしょうか。
サビでの転調ではありませんが、
- 中島みゆき「麦の唄」(2014、オリコン 5 位)
は A メロの途中で転調します。
以上に挙げた楽曲で網羅的だと言うつもりはありません。また、上記のリストに入れるかどうか迷った楽曲もありました。
例えば SixTONES「Imitation Rain」(2020、オリコン 1 位) はどうですかね …
これら以外にも、転調が面白い楽曲があれば、教えていただければと思います。
特に 2020 年代の楽曲について、情報をお待ちしております。
- 参考: https://sakkyoku.info/theory/modulation-japanese-songs/
- 参考: https://khufrudamonotes.com/a-lot-of-modulation
- 参考: https://music.studiorag.com/modulation-songs
また、転調のデータベースを作っている方もいますね。