10 月よりスタートするアニメ『ゆるゆり』3 期. 『ゆるゆり』は, 純度の高い百合作品であると同時に, 卓越したユーモア性を併せ有つクオリティの高い作品ですが, アニメ関連でリリースされる音楽もまた作品に負けじと劣らず高クオリティです. わたしは, 『ゆるゆり』がきっかけでアニソンの世界を知ったと言っても過言ではありません.
ということで, 前回に引き続き, 現在リリースされている『ゆるゆり』関連のベスト 50, およびそのレビュー, 30 位 〜 21 位です.
前回はコチラ。
いま気付きましたが, 記事のタイトルに「1 期・2 期」と入ってますが, 1 期・2 期以外も入ってますね.
そういう細かいところはいいとして, 音楽レビューという文章ジャンルの性質上, これ以降は本当に気持ちの悪い駄文が並んでいますので, ブラウザを閉じていただけると幸甚です.
30. じゃんぷ!
The Clash の「I Fought The Law」と Ramones の「Blitzkrieg Bop」をミックスさせたイントロに, ロックを「ロール」させれば, ごらく部がポップにジャンプしてくれる. 3 期アナウンスのないなか, そして『テ・ウ・ガ♪』以降目立った音楽のパッケージリリースのないなか, 発表されたベストアルバムの初回特典に収録されたこの楽曲は, アニメとしての『ゆるゆり』はもう実現しないのではなか, というファンの心境を軽く裏切り, 楽しく, 分かりやすい. 楽しさはすでにごらく部およびゆるゆりの楽曲の特徴であったが, 期待された「新曲」としては分かりやすく, そして歌いやすくないか, というのが初めて聴いたときの率直な感想である. しかしいま振り返ってみると, この楽曲の「分かりやすさ」は, 次の新曲「大冒険」以降のごらく部の音楽性の転回の示唆であった. この時点で既に, ごらく部はポスト 1 期・2 期への転回の準備をしていたのだ. 同時に顕著に聴き取れるのは吉川ちなつの声の変質だ. この変質は. もう 1 期・2 期の頃には戻れないのではないか, 3 期など夢のまた夢なのではないかという不安を覚えさせた ( いまとなれば杞憂なのだが )
29. え〜る♪ ゆるゆり★ライブすたぁ〜ず ! – バージョン
2012 年の冬コミでリリースされたこの楽曲は 2 バージョン存在し, 『テ・ウ・ガ』に収録されているのが「ゆるゆり★ライブすたぁ〜ず ! – バージョン」で, 『ゆるゆりずむ♪ 2』に収録されているのは無印である. この「ライブすたぁ〜 ず!」ver. と, 無印 ver. の違いは, 後者のボーカルがごらく部の 4 人であるのに対し, 前者のボーカルは『ゆるゆり』のメインキャストであるという点だ. 要するに「ライブすたぁ〜 ず!」ver. は, ごらく部, 生徒会, そしてみらくるんという, 総勢 9 人の「オールスター」による歌唱を楽しめるのだ. 当然, 推されるべきは「ライブすたぁ〜ず!」ver. だ. しかしどうしてもこの楽曲を推しることはできない. それには理由がある. 確かに, ミドルテンポで派手なホーン・アレンジに, 応援歌の歌詞, 要所要所に挿入されるキャラが想定されたセリフ, そして何よりブリッジで高らかに謳い上げるミラクるんパートでのカタルシス…, そう, これは完全に「終わらせにきた」感のある楽曲なのだ. 2 期終了次点で最後のオリジナル・アルバムである『テ・ウ・ガ♪』に収録され, その後にベスト盤が出たことで「終わった感」は加速した. それもいまは杞憂なのだが.
28. ごらく部、愛と勇気と希望と友情のテーマ
小西康陽から大事なモノを骨抜きにしたかのようななんちゃって渋谷系っぽいミドルテンポのファンクに, 完全に勘違いされたライミングも何もないラップ ( ? ) が乗り, サビで 4 つ打ちのディスコへと昇華される. この楽曲が発表された時点で, それまでのごらく部にないタイプの楽曲だったのだが, しかしほとんど「歌の無茶振り」に近い秀逸なキャラソンを通過した彼女たちは本当に軽やかに歌い上げる. 特にラップ ( ? ) パートは決して簡単ではないはずなのだが, むしろ余裕で楽しんでいる感すらある. そして要所要所に挿入されるセリフは, 1 期 OP・ED 曲も豊富で, 物語に沿っている. アニメが放送され, 原作が進み, キャラソンも一段落し, 制作者がしっかり物語を消化していることが分かる. ところで到底ラップとは言えない何かの A メロだが, いちおうフロウを特徴付ければ, ゆかちんは抑揚が少なめで少し英語っぽく, 若干不安定だ. ゆかちん以外は日本語の発音をしっかりするタイプ. リズムに注目すれば, みかしーは少しもたつき気味. 各キャラの性格がフロウに表れていると言える.
27. Eかげん☆YUI かげん
結衣はキャラソンに恵まれているとは言い難い. 現に今回の 50 選では, 先に言ってしまうが, 結衣のキャラソンはこの楽曲だけだ. 主な原因は結衣の物語上での立ち位置にあると思う. すなわち彼女は静かなツッコミキャラ, あるいは振り回されキャラで, 自ら何か強い属性を発揮しているとは思えないからだ. この点には議論の余地があろうが, キャラソンの良し悪しが物語から一定以上は影響 を受けていると想定すれば, あながち大きく外れてはいないだろう. そのようなキャラであれ, 物語が進行するに連れ, 徐々に拭いきれない特性が蓄積される. その結晶がこの楽曲だ. ハードロックが基調で, 歌詞は物語とリンクし, サビ後のシャウトからが程よく照れを含み抑制された #津田美波さんの力強い歌声 #津田美波さんの力強い歌声 #津田美波さんの力強い歌声 #津田美波さんの力強い歌声 #津田美波さんの力強い歌声 #津田美波さんの力強い歌声 #津田美波さんの力強い歌声 #津田美波さんの力強い歌声 #津田美波さんの力強い歌声 #津田美波さんの力強い歌声 #津田美波さんの力強い歌声 #津田美波さんの力強い歌声 #津田美波さんの力強い歌声 #津田美波さんの力強い歌声 を聴くことができる.
26. ゆりゆららららゆるゆり大事件
すべてはこの楽曲から始まった. 執拗にタイトルがリフレインされるリフに始まり, 間奏に挿入されるキャラのセリフ, 意味不明な歌詞, そのドタバタ感を「桜」という一言でサビでまとめ上げる…, この楽曲は, いまだ歌詞における物語からの吸収を見出しにくいものの, 「『ゆるゆり』ミュージック」の本質を既に衝いている. さて, 『ゆるゆり』がなぜ神作品なのかは, この 1 期の OP 曲に隠されている. タイトルからわかる通り, またイントロのフックの歌詞から分かるように, 『ゆるゆり』は「大事件」なのだが, 何が事件なのか.その答えはフックの次のメロディーにある. このシンセのメロディーは,ヘンデル《メサイア》の「ハレルヤ・コーラス」から引用されている. いや, 作者が意図したかどうかは分からない, しかし作者の意図性は, この一致の前では無効だ. 要するにこの楽曲は,『ゆるゆり』という大事件を讃える曲で, 讃えられた対象であるところの大事件 = ゆるゆりは, キリストの神に等しいことを表している. もっと問おう. なぜ「大事件」なのか. それはもちろん, 『ゆるゆり』が同性愛を扱っているからだ. 同性愛の作品を讃える曲が, キリストを讃える曲から引用されていること. これが大事件なのだ.
25. ゴゴゴゴごらく部
「大冒険!」は特定のアニメが出自の声優ユニットが, 他アニメの OP のタイアップ曲をリリースするといういう極めて特殊な例であり, そのタイアップゆえ, 音楽における『ゆるゆり』要素がほとんどなく, 楽しめるのはただごらく部の 4 人がいつもと違う衣装の MV でただかわいい, この点のみであった. 既に何度も述べた通り,「大冒険!」はごらく部における本質的な音楽性の転回であり, その転回とは「歌いやすい」「子ども向け」であった. このカップリングは, 「大冒険!」のカップリングなのであるが, 転回で犠牲になった, 言い換えれば「大冒険!」で封印されてしまった, それまでのごらく部の楽曲の特徴が全部ぶっこまれ, 極端に凝縮され, 噴出している. チップチューンばりに刺さるシンセに, もうほとんど曲中の寸劇・セリフと見分けがつかないキレ気味の歌唱がたたみかかる曲調はほとんど「コア」であり, 間奏の調子外れのリコーダーのラインで前衛の域へ近づく.そしてこれ以降, 最新シングルまで, ドタバタ歌唱は影を潜めることになる. なんて思いながら聞いているんだけど, ちなつの声が違うんだよなあ, ってのが本当にずーっと気になるんだよなあ.
24. うちを芯まで漬け込んで
正直に言うと, あまり千歳が好きではない. アニメ 2 期終了以降の原作での千歳は好きだが…, また正直に言おう. 豊崎愛生もそんなに好きではない. アニメ『けいおん!』がいくら名作でも, いくら 1 st アルバムで CHARA, つじあやの, コトリンゴといった錚々たるメンバーが楽曲提供したくなるような声の持ち主でも, なんかやっぱちょっとあざとすぎじゃないですか. さらに正直に言おう. それでも千歳のキャラソンは,『ゆるゆり』のなかで最もハズレがない. どれも聴き応えがある楽曲ばかりだ. よく声優がソロデビューした際, 渋谷系がなんだかんだあーだこーだとふだんアニメなんか見ないヤツが高評価したがるが, 声優の歌の魅力はキャラソンにこそ宿るのだ. 豊崎愛生もその例外ではない. この楽曲は, 意味深なセリフから打ち込み主体のディープファンクのようなトラックが始まり, 抑え込まれたメロディラインを囁きに近くも要所要所で喉を使った力強さを帯びる千歳の声がなぞる, のだが, オチが曲の最後に言われるのだが, ゆるゆりあんはこう言うのだ. 「知ってた」, と. 予定調和な歌詞内容に, つかみどころのない歌唱とメロディが不思議な雰囲気の 1 曲.
23. Bitter Sweet ぱらどっくす
京子とちなつのデュエットソング. アレンジは, EDM 調の耳の痛い潰れたシンセの間を, ディストーションギターが埋める, アニソン・キャラソンによくある王道パターンだ. フックのメロディラインが, ブルースからガレージロックに至るまでの外れ気味の喋り調で楽しい. この「外れの気味の喋り調」は, この楽曲以外でよく聞かれる要所要所に挿入されるセリフとも違う, この楽曲ならではのメロディーラインだ. この楽曲では, セリフ部分はほとんど聴かれず, その代わりに「外れの気味の喋り調」が終始挿入される. 歌唱における声質・表情に耳を向ければ, 歳納京子はいつものソロソングのような陽のエネルギーに満ち溢れている. 一方のちなつは, ソロソングにあるような表情の豊かさはなく, 終始, 迷惑そうに歌っている…, というふうに曲は進んでいくのだが, 一瞬, 歳納京子が「男の子」の顔をみせる. いや, 「女の子」の顔と言おう. 要するに天然のタラシのセリフなのだが, 「手をつなごうよ」. このとき, ちなつの歌唱はそれまでただの迷惑だったのだが, 戸惑いに変わる. この戸惑いこそ, 百合なのだ. この戸惑いのあとにちなつは即否定する. これがオチであり, これがコメディであり, これが『ゆるゆり』である.
22. Miracle Duet
京子と綾乃のデュエットソング. 歳納京子は本当に天然のタラシで, 結衣という本妻がありながら, 彼女本来のぐいぐい引っ張っていく魅力で周りの女の子をどんどん落としていく, タイプの女子中学生だ. 曲調自体は, 高速 4 つ打ちのダンスチューンでどうってことのない楽曲なのだが, まるで 2 人がカラオケをしているような内容になっている. 驚かされるのは, 歌唱のリズム感だ. ふつう, このような楽曲の場合, セリフはあくまで「ガヤ」的な要素で, 要するにおまけ的な要素なのが, この楽曲の場合は楽曲の本質部分にまで食い込んでおり, その為に喋りのトラックに乗らないリズムと歌のトラックに乗ったリズムが混在しているのだ. こうしたリズムの面白さが, 2 人がカラオケをしているような雰囲気を生み出しているのだが, 作品のキャラ同士の絡みだけだけでなく, 声優同士の絡みと想像すると, さらにあじわいぶかい. つまり, 歳納京子専用声優と揶揄されている後輩のゆかちんが, いまや初音ミクによって「世界の」といっても差し支えのない藤田咲を煽る構図…, 想像しただけで最高ですね. しかもこの構図は 2 次元ではなく, 現実なのだ. この楽曲は, 千歳のメガネを具現化するのだ.
21. 魔女っ娘ミラクるん♪
この楽曲は突然現れた. OP 曲より ED 曲よりメロディアスなサビ, 「コレこそ魔法少女アニメの王道的主題歌!」と視聴者に捏造させるのに充分な完成度, そのような完成度の高い楽曲が, 劇中作の主題歌という衝撃. この楽曲は突然現れ, そして衝撃を与えたのだ. 衝撃は, 楽曲について知る度に強度を増していった. 前情報なしに観れば, ミラクるん登場時点で, 誰しもミラクるんの声優「も」るみるみだと思うに違いない. というのも, ミラクるんは作中の架空の, つまり二重の架空性を有したキャラでなのであるが, るみるみの演じる吉川ちなつに似たキャラだという設定だからだ. しかし ED のクレジットで視聴者は, ミラクるんの声優が竹達彩奈だということを知り, 衝撃を受ける. 竹達彩奈かよぉおお!? である. さらにキャラソン・シリーズのリリースに先立ち, コミケでミラクるんの主題歌, つまりこの楽曲が発売されるのを知れば, フルバージョンが存在することに衝撃を受ける. 衝撃は, ごらく部のライブに竹達彩奈がミラクるんの衣装で登場した瞬間に最高潮を迎える. おい, ありなのか. もう 23 歳やぞ, 七森中の制服は百歩譲って, 魔女っ娘の衣装はないやろ…
いかがでしたか? いかがでしたか? じゃねえよ!!!!! ていう感じですが, 次回は 20 位から 11 位です!!!!!