感染症と音楽について考える: 2021 年ニューイヤー・エントリー

2021 年が始まって、2021 年における音楽の在り方について考えています。

ポスト・パンデミック時代における音楽の在り方
感染症を終息させるには、人の密集を避けなければなりません。これは、多くのファンから少しずつおカネを集めてまとまった収益を得る (=...
新型コロナウイルスと「持続可能な音楽」について
(画像出典: 新型コロナウイルス感染症拡大が、エンタメ業界に大きな経済的ダメージを与えています。音楽産業も例外ではありません。 ...

2021 年に迎えて、新年と音楽の関係性を考えるにあたり、やはり避けて通れないのは新型コロナウィルスの感染拡大です。特にライブ・パフォーマンスに対する感染症拡大の影響というのは大きくて、それまで普通にできていた演奏会、ライブ、コンサートといった催しが、できなくなってしまっていたり、規模縮小にならざるを得なくなっています。

コロナ禍において音楽産業はどこに向かうのか

音楽産業はこの状況をどうやって乗り越えるのかということなんですが、私が最初思っていたのは、お客さんをとても少なくして、その代わり一人当たりのチケット代をめちゃくちゃ高くするという、そういう解決策の方向になるのではないか、思っていました。昔のパトロンみたいなもので、プロの生演奏は金持ちの嗜みになっていくのではないか、と。例えばジャニーズのアイドルグループが、チケット 代 100 万円 / 1人で、すごく小さなライブ会場でコンサートをする、といったような。小さなライブ会場だと例えば、どうなんでしょうか、1 晩 500,000 円くらいで借りられたとしましょう。それに対して 100 万円のチケットを 20 人に売ったとしたら、一晩の売り上げがそれだけで 2,000 万円になるんですね。100 万円のチケット代が高いか、安いかなんですが、もう活動休止してしまいましたけど、嵐だったら逆に安いくらいではないでしょうか。小さなライブ・ハウスで嵐の生パフォーマンスを観覧するのに 1 人 100 万円のチケット代で、20 人限定。これは安いと思いますけど。ただ、日本人のなかで、嵐に 100 万円払える人数がどれくらいいるのか、ていう問題はありますね。100 人いたら 1 億、1,000 人いたら 10 億円ですか。こう考えたら、1,000 人なら、もしかしたら現実的な数字かもしれません。

ネット配信の強み

しかし、ライブ演奏産業はそういった方向には行きませんでしたね。チケット代を高額にして観客数を減らす方向へはシフトしませんでした。どちらかと言うと観客を多少は会場へ入れつつ、インターネット配信で、もっとマスにリーチする売り方にシフトしていきましたね。

個人的には、やっぱりライブ感というのはその場にないと体験できないな、と思うタイプでして。やっぱり映像で観て、何だかイマイチだな、と思っても、その場に行ったらすごく感動することは、結構あるんですよね。夏フェスなんかはやっぱりその典型で。映像で見ても人が何だかたくさんいるな、くらいにしか思わないんですけど、例えばフジロックのグリーンステージに実際に行ったりして、Chemical Brothers のパフォーマンスを夜、体験すると、とても感動するんですよね。もう10ナン年も前の曲になるけど、Star Guitar がフジのグリーンで流れると、そこで大勢で一緒に盛り上がったりすると、めちゃくちゃ感動するわけですよ。

そういった感動的な体験というのは、配信ではできないですよね。ただ配信にも配信の強みがあって、やっぱりライブチャットですよね。どういうわけか、ライブチャットってめちゃくちゃ楽しいんですよ。そして、ライブチャットは夏フェスではできないですよね。ライブ見ながらライブチャットができないですから。ライブチャットは、配信ならではの強みだと思います。だからあのライブチャットをするのに例えば、3 時間 2,000 円くらいであれば、もうちょっと安いですかね、1,000 円とか、ていう値段を払うのは、妥当だと思いますね。コンビニで売っているプリペイドカードで払える仕組みなら、中高生でも試聴できますし。

ニコニコ動画が流行った理由は分かりますね。ライブチャットは楽しいです。

ネット配信が突きつけた現実

それから配信主体になって判明したのは、ミュージシャンのリアルな実力というか人気というのがわかってくるということですね。つまり、CD の売り上げなんてもうとっくに人気のバロメーターとしては機能していないんですけど、サブスクの再生回数とか、YouTube の再生回数よりもリアルな人気度指数が、ライブ配信のライブ視聴者数だと思います。ライブ視聴者数が 100 万人にも 200 万人にもなるミュージシャンがいる一方で、あれ、意外と何千人規模だぞ、と思ってしまうような、かつて雑誌の表紙をばんばん飾っていたようなベテラン・ロックバンドなんかもいるわけですね。そういうのがバレてしまうんですね、ライブ配信だと。これはミュージシャンにとって、危機意識を煽ってそしてより良い音楽を作るそういうきっかけになると思うので、とても良いシステムだと思います。確かにライブの動員の人数って今までだとちょっと見えづらかったですよね。ドーム動員何万人とか言われても本当にその数字なのかどうかは、消費者には分からないわけですよ。ただ、ライブ配信のライブ視聴者数と言うのは、消費者に紛れもなくバレてしまうわけです。YouTube などのプラットフォーム側が操作しない限りね。YouTube はそんな操作はしないと思いますけど。だって操作したら YouTube 側が減収することは明らかですし。

それで、人は単純ですので、人気なもの、流行っているものにどんどん群れる習性がありますね。だからこれからもちろん、新型コロナウィルスの関係でライブ活動ができないからシビアだというのもありますけど、それに加えてライブ配信によって人気度がもろにばれるという点でもさらにシビアになってくると思います。ミュージシャンにとって、かなりシビアな時代が来ていると思いますね。一時期、CD が売れなくなって、音源配信が主流になりつつなったとき、シビアな時代になった、と言われるようになりました。それ以上ですよね。ストリーミングは大した収益にならず、ライブもできない。ライブ配信したら、人気度がモロにバレてしまう。人気のある若手には第チャンスですが、特にベテラン勢にとっては、意外と自分の人気がないという現実を目の当たりにさせられるかもしれません。

人気の流動性が加速度的に高まる

これは裏を返せば、新人やアマチュアであっても、配信動画の再生数が伸びさえするば、既得権益的なしがらみなしにすぐに人気者になれるということです。こういったことは、ここ 15 年位、特にニコニコ動画などが流行し始めた頃から、言われるようになった現象ではありますが、新型コロナウィルス感染拡大に伴って、ベテラン勢も否応なくライブ配信に参入するしかなくなった現状において、ますます加速するでしょう。

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