新型コロナウイルスと「持続可能な音楽」について

(画像出典: https://en.m.wikipedia.org/wiki/Severe_acute_respiratory_syndrome_coronavirus_2#/media/File%3A2019-nCoV-CDC-23312_without_background.png)

新型コロナウイルス感染症拡大が、エンタメ業界に大きな経済的ダメージを与えています。音楽産業も例外ではありません。

「CD が売れなくなり、ミュージシャンの収入源はライブとグッズの販売がメイン」という議論すらされなくなってしまったほど、「ライブで稼ぐ」のが当然になった現在、ライブ・コンサートを開けない状況は、多くのミュージシャンにとって致命的でしょう。

東日本大震災の時も、それに伴う原発事故によって、電気を使用した音楽の存続の是非が問われました。その後、議論は時が経つにつれてなおざりにされていってしまいましたが、「原発事故と音楽」という問題では、「人を集める事は禁止」されていませんでした。電気さえ使わなければ、そして電力を仮に使っても自然エネルギーに依存していれば、人を集めてコンサートを開くことへ大きな反論はありませんでした。

今回、音楽産業が受けるダメージは、原発事故よりも大きいと言えるでしょう。そもそも、人を集めてはいけないのですから。人が集まらなければ、おカネになりません。

ネット配信で「投げ銭システム」を利用すればいいという案もあります。しかし、世界の電気消費量の推移を見れば、手放しで賛成はできません。仮に、先進国のミュージシャンの多くがネット配信に移行した場合、今度はそれこそ、深刻な電力不足問題が起こってしまうのではないかと心配してしまいます。

ちなみにですが、コンピューターは、焼肉ができてしまうほど、熱を発します。

なお、音楽制作と言うと、どうしても密閉された空間で行われると言うイメージがありますが、これも感染症予防に不適と言わざるを得ません。

けっきょく、スターを育て上げる大衆音楽およびそれを支えるシステムに持続可能性がなかったのでしょう。

一人(あるいは少人数の)スターを育て、何千人・何万人単位の人を集めて、カネを集める、大衆音楽のスター・システムは、感染症の蔓延には非常に弱い。生物は、同じ種を大量に集めた場合、疫病のリスクが高まる
ります。人間はこれを、家畜や穀物・園芸作物などを育ててきた歴史を通じて学んできたはずです。ヒトも例外ではありません。

スター・システム構築のために音楽を道具として利用するシステムを「音楽」と粗雑にも呼んでしまうのであれば、そのような音楽に持続可能性はないでしょう。そのような音楽は「危機下では不要」です。

幸いなことに音楽の在り方は、大衆音楽やスター・システムだけではありません。また、風通しの悪い密閉されたスタジオだけが音楽制作の場ではありません。音楽の在り方は多種多様です。もっと小規模・少人数で、開放的に、日常的に楽しめるような音楽の在り方だってあります。

音楽は私たちの身体に、生物的に仕組まれています。私たちは音楽から逃げることはできません。このまま感染症が拡大し、もし大衆音楽・スター・システムが限界を迎えたとしたら、そのときは、きっと、その状況に応じた、新しい音楽の在り方が生まれるでしょう。

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