スーパーカー『Futurama』全曲レビュー: さよならジオシティーズ! 過去記事一挙転載(9)

ジオシティーズが… 終わってしまう… このままでは… 高校の頃にしたためていた音楽レビューが消えてしまう… なんとか救出しないと… とあたふたしていたのですが, パソコンを検索したら出てきました! ということで, せっかく発見したので,「さよなら, ジオシティーズ」と題して, 過去に書いた音楽レビューをこのサイトへ転載することにしました. 9 回目は, 2000 年 11 月にリリースされたスーパーカーのアルバム, 『Futurama』全曲レビュー. 文章はほぼそのまま!

ではどうぞ…!

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スーパーカー『Futurama』全曲レビュー

未来の展望。
前作、『JUMP UP』から、1年8ヶ月。
スーパーカーが世紀末に送り込んだ、
新世紀を鳴らす音楽の「発明」(始めての、全曲新曲!!)。
ナカコーが、雑誌のインタヴューで度々言っていた、
「何か、こう、光が射す感じ」。
そう、このアルバムには、ノイヂィ―な青春を切り捨てた、
純粋で、曇りのない音楽が確かに存在する。
スーパーカー、一足先に、すでに新世紀である。

Changes

先ず、何かが、始まるって言う、予感。
って言うか、驚き。
こんなんでいいのか?スーパーカー。
すごくいい意味で、ファンを裏切ってる。
多分、タイトルは、そんな所からきていると思う。

PLAYSTAR VISTA

ここで、初めて歌が入るんだけど、
歌詞がね、すごい。
はっきりいって、意味なんてないと思う。
「walk slowly」を、もっとゆっくり、宇宙で聴いてるような感じ。

Baby Once More

ベイビー、今度はよりかからないで愛そう

歌詞は、これだけ。
これはヘンな曲だ。
わけがワカラン。
途中の、なんかヘンな声は、
絶対にナカコーじゃないっていうのは、わかる。

ミキ、カワイイ。

White Surf style.5

疾走感。
静かな吹雪の中を、高速で走っていて、
雪とか、バンバン顔に当たってるんだけど、
全然、寒くも、痛くもない。
まさに、風色。

Star Fall

これも、宇宙を想起させる。
けど、歌詞は、恋愛がテーマ。

Aメロで漂って、サビで落ちるように流れていく。
さらに、曲の後半では、スピードも出てきて、
すごく気持ちがいい感じ。

けど、管楽器は、嫌い。

Flava

このアルバムは、全体を通して聴くと、
2部構成みたいになってて、
第1部は、すごく宇宙に漂っている感が、すごくでている。
この曲もそう。
それはきっと、メロディーの少なさに原因があって、
聞く人が聴けば、すごく退屈なんだろうけど、
難なく体にスゥっとはいってくる感じがして、
自分としては、すごく好き。
ダラッとしたいときに、Futuramaの1~7曲目までをかけてみ。
ダラッとなりすぎて、もう起き上がれなくなっちゃうかもよ。

SHIBUYA morning

宇宙、宇宙とか言ってたら、タイトルが、SHIBUYAだし。
ここまでが、第1部みたいな感じ。
流れで持ってきちゃう、みたいな。
これはなんか、タイトルがNumber Girlみたいだよねぇ。
Insturumental。

Easy Way Out

初期を彷彿させる。
初めて、生音が、バーンときたって感じ。
でも、まだ宇宙にいるんだけど。
これは好きな人がいっぱいいると思う。
ここから、歌モノが多くなってくる。
スーパーカー色、全開で。

Everybody On News

なんか、オモシロイ。
何の音かワカランような、そんな音が入っている。
聴いてて、とても新しいし。

Karma

アップテンポな曲。
ドラムンベースが、気持ちいい。
すごくアップテンポなんだけど、イメージは静止画像。
そこが、スーパーカーの魅力なんだけど。
何ていったらいいんだろう、とにかく、結構好き。

FAIRWAY

前曲と、間をいれずに。
シングルに比べると、ミキちゃんの声がよく聞こえる。
楽しくなれるよ、これ。
歌詞がすごく倦怠なのは、相変わらずだけど。

ReSTARTER

とにかく、宇宙船に乗って、何処まで行けるんだろう。
10~12までの流れは、
前半のゆっくりとした、気持ちのいい倦怠を一気に洗い流す。
もしも、ドラえもんがかなりイカシタ奴なら、
ノビタ君の机の中のタイムマシンは、こんな感じになってたろう。

A.O.S.A

でました。
スーパーカーの王道。
ナカコーの、かなりメランコリックな歌声が、
ジュンジのわかってるんだかわかってないんだかわからない歌詞に乗せられ、
もう何処までも沈んでいけそうな気分になれる。
これから、最後の曲まで、どんどん沈んでイきます。
こういうのが好きだから、自分は暗い性格なんだろうなぁ。

New Young City

アコギと、弦が、すごく気持ちいい。
タイトルは、ヤングなんて使ってるのに、
何?すごく暗くて、でも、
ただ暗いんじゃなくて、叙情的だから、かなり好き。
否定してます。歌詞が、すべてを。

Blue Subryhme

大丈夫か、ジュンジ。かなり、いかれた歌詞なんだけど。
でも、それすら壊してしまうんだけどね、ナカコーの歌声が。
これも好きだ。
最後の、ヘイ、ジェーンってところが、特に。

I’m Nothing

自分すら否定してしまったジュンジは、一体何を考えているんでしょうか。

結局は、何だか憂鬱で、何処となく倦怠なんだろうか。

ナカコーの態度を見ていると、
常に、何かをやってくれそうで、たまらない。
TVのインタヴューでは、ずっと下を向いて、
何かを聞かれれば、ボソボソと、「何でもいい」と言うだけ。

そんなナカコーの体から、
こんなに光が当たってしまった音楽が生まれたとは、
失礼だが、信じ難い所がある。

いや、そうじゃない。
普段、下を向いてボソボソとしている分、
音楽に対して、牙を剥くことができるのじゃないのだろうか。


(僕自身は、このアルバムを聞いて、宇宙旅行のような気分だった。1,2で地球を飛び出して、3~7まで漂って、8,9で一休み。10~12で今はワープ&タイムトラヴェル。着いた先は、13、14だったりして、段々宇宙にも、気持ちのいい倦怠が流れ始めるんだけど、15,16でそれじゃ駄目だと、再び旅に出て行く。全体的に、すごく空気が澄んでて、それが気持ちよさの原因だと思う。)

明らかに、このアルバムの中のナカコーは、牙を剥いている。
「俺はここまでできるんだ、おまえらはどうだい?」
表面は倦怠な素振りをしているのに、
中身は音楽で煮えたぎっていた。
素晴らしい才能を見せつけられた分、将来を心配するところまで出てくる。
しかし、それは、期待だ。
光を当ててしまった次は、一体何をしでかすのか。

ナカコーは、こう言っている。
「まだ光が当たっただけって感じ。
その光が何かは、よくわからない。」

スーパーカー、実は未完成だったりするから、とても怖い。

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