先週までで、西洋音楽史のまとめが終わったんですけど。
それから、ジャズの歴史か、ロックの歴史かをまとめたいな、と思っていたんですが、ジャズとかロックとか、ジャンルごとじゃなくて、もっと、複数のジャンルをまとめて、歴史ではなく、年表みたいにすれば、今の時代、インターネットですぐ音楽を聴けるし、聴き比べができて面白いのでは? というふうに思いついたんですね。
よく歴史の本で、ある年に世界と日本それぞれ何が起きたか比べられる年表がありますよね。ある同じ年にどういった出来事が起きたか世界と日本で比べられる年表の、音楽版というのがあれば面白いな、と。ただし、日本の音楽と世界の音楽を比べるのではなく、同じ年に発表されたクラシック (現代音楽) とジャズ、ポップス、ロック、ヒップホップを比べる、みたいな。
それを年表にしてしまうと、インターネット上で見るのは厳しいものがありますので、1 つの記事につき、1 年ずつ、同じ年に発表された音楽を、ちょっとまとめて、聴き比べられるようにしてみようではないかと。
と言うのを思いつきまして、今回から、「20世紀を聴き比べる」と題してですね、1 記事につき 1 年ずつ、ある年に発表された音楽を聴き比べることのできるシリーズを始めます。
第 1 回目の今回は、1901 年です。
目次
1901 年のクラシック音楽
まずはクラシック。いざ書こうと思って調べてみると、けっこうややこしくて、作曲年なのか、出版年なのか、初演なのかによって、年が違いますね。そのあたりは、括弧内に注釈しています。
- シベリウス「交響曲第 2 番」(完成。初演は 1902 年)
- ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」 (1900 〜 1901 年に作曲、全曲初演が 1901 年)
- エルガー「威風堂々」 (最も有名な「第 1 番」が 1901 年の作曲。第1 〜 4 番は1901年から1907年にかけて作曲され、第 5 番は 1930 年の作曲)
シベリウス
シベリウス (1865 〜 1957) は、フィンランドの作曲家。ヘルシンキの北、ハメーンリンナの軍医兼開業医の家に生まれました。3 歳で父を失いますが、親戚の援助でヘルシンキ大学に進学し、同時にヘルシンキ音楽院でバイオリンを学びました。ただ、大学での学業は 1 年で中止し、音楽に専念することになります。音楽院在学中にピアノの教授ブゾーニ、作曲家アルマス、画家のヤーネフェルト兄弟らとグループを結成し、ヤーネフェルト兄弟の妹アイノと後に結婚しました。
フィンランドはフィン人が国家を形成する前にスウェーデン人によって属領化されましたが、1809 年にロシア帝国内の自治大公国となってからフィン文化が呼び覚されました。シベリウス自身はスウェーデン語系の家庭に生まれ育ちましたが、妻の家の影響でフィン文化にのめり込むことになりました。
シベリウスは 23 歳で音楽院を卒業、ベルリンに留学し、翌年にはウィーンにも留学しました。室内楽の習作から管弦楽に着手し、1892年、フィン文化の粋「カレワラ」を題材に求めた「クレルヴォ」交響曲を発表し、これが高評価を得ました。名声を獲得したのは、交響曲第 1 番を発表する前、交響詩「トゥオネラの白鳥」、そして「レンミンカイネンの帰郷」でした。交響曲第 1 番が発表されたのは 1899 年、そして、1901 年には、1902 年に初演された交響曲第 2 番が完成しました。
1901 年のポピュラー音楽
つづいて、ポピュラー音楽。
こちらも、作曲年なのか、出版 (発売) 年なのか、あるいはレコーディング年なのか、あるいは流行年なのか、が、1 つの楽曲において異なっていて、なかなか単純には言えません。
また、1901 年ピンポイントとなると、確証的な資料が手元になくてですね…
とりあえず、以下の 3 サイトから、「流行した」上位 3 曲を紹介します。() 内は確認できた作曲年。
「The World’s Music Charts」より
- Sousa’s Band「Stars & Stripes Forever」(1896)。言わずと知れた「星条旗よ永遠なれ」。国際楽譜ライブラリープロジェクトによる楽譜は「The Stars and Stripes Forever (Sousa, John Philip) 」
- Sousa’s Band「American Patrol」(1885)。フランク・W・ミーチャムによる作曲。グレン・ミラーの録音 (1942) も有名。日本では 1967 年に NHK『みんなのうた』でも放送されましたね。
- Cal Stewart「Uncle Josh’s Huskin’ Bee Dance」(1901)
「playback.fm」より
- Sousa’s Band「Stars & Stripes Forever」(1896)
- Sousa’s Band「American Patrol」(1885)
- S. H. Dudley「When Reuben Comes to Town」。S. H. Dudley はアメリカのシンガー。「When Reuben Comes to Town」は 1901 年にレコーディング。
「MusicVF.com 」 より
- Harry Macdonough & Grace Spencer「Tell Me, Pretty Maiden」
- Byron G. Harlan「Hello Central, Give Me Heaven」。1901 年に出版されたティン・パン・アレイ音楽。
- Harry Macdonough「The Tale of the Bumble Bee」
1901 年の日本音楽
ちなみにですが、1901 年の日本音楽としては、瀧廉太郎関連の以下の楽曲がありますね。
- 「荒城の月」(作曲)
- 「箱根八里」(1901 年に発行された『中学唱歌』収録)
- 「お正月」、「雪やこんこん」が収録された『幼稚園唱歌』(発行。「瀧廉太郎の『幼稚園唱歌』―歌詞と音楽からの考察―」も参考に)