Angine de Poitrine(アンジーヌ・ドゥ・ポワトリーヌ)徹底解説——仮面のマス・ロック・デュオが世界を席巻するまで

2026年2月、インターネット上の音楽コミュニティに一本の動画が投下されました。映っているのは、白黒水玉模様のコスチュームを身にまとい、巨大なパピエ・マシェ(張り子)マスクで顔を完全に隠した2人組。片方は変則的なダブルネック・ギターを奏でながら、素足のつま先でループペダルを操作し、もう片方は怒涛のドラムを叩き続けます。

投稿から一週間で200万回以上再生されたこの動画をきっかけに、カナダ・ケベック州発のロック・デュオ Angine de Poitrine(アンジーヌ・ドゥ・ポワトリーヌ) は、一夜にして世界規模の現象となりました。4月現在、KEXPへの動画再生回数は600万回超(一部報道では900万回近くとも)。Dave Grohl(Foo Fighters)が「完全に頭おかしい、最高だ」と絶賛し、ニューヨーク・タイムズが謎に迫る特集を組み、ツアーチケットは即完売——転売チケットは500ドル超まで高騰しています。

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音楽レビューという発火

レビューとは、評論とは、批評とは何か。 私は長いこと、それらの厳密なあり方にとらわれていました。

私の中にははっきりとした批評への考え方、評論への考え方というのがあって、それはある程度レビューと区別されて、そして多くの人の考える批評や評論とはまた別の何かです。それは平たく言えば内在的批評なのですが(ただし少々歪んだ)。

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脳と心を理解する新たな鍵: 「音楽」という科学的メタファー

私たちは日常的に、複雑なものを別の何かに例えて理解しようとします。「脳はコンピュータのようなもの」「記憶は引き出し」──こうした比喩は、科学の世界でも強力な役割を果たしてきました。では、もし脳と心を「音楽」に例えたとしたら、何が見えてくるでしょうか?

「Music as a scientific metaphor for mind and brain(脳と心のための科学的メタファーとしての音楽)」によれば、音楽は単なる比喩的な表現を超えて、脳と認知の働きを理解するための体系的な科学的フレームワークになりうると言います。2026年に学術誌『Neuroscience and Biobehavioral Reviews(神経科学・生物行動レビュー)』に掲載されたこの論文は、アグスティン・イバニェス(Agustin Ibanez)氏を筆頭著者とする国際的な研究チームによるものです。彼らはチリ、アイルランド、アメリカ、ドイツ、イタリア、スイスにまたがる研究機関から集まり、音楽が脳科学の新たなメタファーとして機能しうることを包括的に論じました。

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AIが音楽に「命」を吹き込む: 委譲された生命力という新たな理論的枠組み

「AIが作った音楽は本当に”生きている”のか?」

この問いを聞いたことがある方は多いと思います。人工知能(Artificial Intelligence)が生み出す音楽は、人間の魂がこもった芸術と呼べるのか──そんな議論がここ数年、音楽制作や哲学の世界で活発に交わされてきました。ところが、この問いの立て方そのものに根本的な誤りが潜んでいるとしたら?

カイロ(Cairo)在住の独立研究者ジアド・サラー(Ziad Salah)が2026年2月に発表した論文「How Non-Living Intelligence Brings Life to Music: A Philosophical, Cognitive, and Structural Analysis of AI-Created Sound」(邦訳:非生命的知性が音楽に命を吹き込む方法──AI創成音響の哲学的・認知的・構造的分析)は、まさにその問いの立て方を根底から刷新する野心的な理論を提示しています。

本論文が提唱するのが「委譲された生命力(Delegated Vitality)」という概念です。これは、音楽における”生きている感”が、演奏者や作曲者ではなく、聴き手の知覚プロセスの中に宿るという考え方を体系化したものです。AIが音楽を生成するとき、それは単なる統計的なパターンの再現ではなく、人間の認知システムを活性化させる構造的な「装置」として機能するのだ、と著者は主張します。

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音楽はなぜ、理解するより先に「効く」のか?: リコ・グラウプナー「物語を追い越す音」を読む

あなたにも、こんな経験はないでしょうか。はじめて耳にした曲なのに、気がつくと涙が滲んでいる。歌詞の意味もわからない外国語の音楽なのに、胸の奥が締め付けられる。あるいは逆に、理屈のうえでは「素晴らしい音楽だ」とわかっているのに、何も感じない。

音楽と私たちの感情の関係は、一見わかりやすそうで、じつはひどく謎めいています。「感動する曲には深い意味がある」「歌詞に共感したから泣けた」――そういった説明は直感的には納得しやすいものです。しかし本当にそうなのでしょうか。意味を「理解する」ことが、感動の原因なのでしょうか。

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リディアン・クロマティック・コンセプトはカルトなのか?

X(旧Twitter) で、酩酊状態でさささっとポストした内容に、菊地成孔さん(以下、直接の知り合いでもないのに「さん」付けはなれなれしいかな、と思い、菊地氏と表記します)からリプライをいただきました。

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Dilla Beat(Drunk Beat)理論化の歴史: グルーヴ感覚から数値へ

最近、Dilla っぽい Beat の作り方を教える機会がありまして、ただ、その作り方というのも、自分が 2012 年頃だか 2013 年頃だかにちょろっと小耳に挟んだものを、ずっと「そういうもんなんだな」と思って実践している内容で、それが本当に理論的に大勢の支持を得ているのかどうか、というのが、自分のなかでは疑問でした。

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音楽における主体性とは何か?: AI 時代のライブコーディングから考える

AIと音楽の融合は、我々の創作活動にどのような可能性をもたらすのか。その中でも「ライブコーディング」という即興性と技術が融合した音楽パフォーマンスの実践において、人間と機械の役割はどのように変化しつつあるのだろうか。

Anna Xambó & Gerard Roma「Human–machine agencies in live coding for music performance」(2024)によれば、ライブコーディングは、人間と機械が音楽制作の過程で協力し合う一つの舞台を提供する。この研究では、ライブコーディングにおける人間と機械のエージェンシー(主体性)の関係性を掘り下げ、その特性を明らかにしている。

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19 世紀における音楽の科学的分析: ヘルムホルツ、ウェーバー、シュトゥンプフが解き明かしたモーツァルト

音楽を「聴く」という行為は、私たちにどのような知識や感覚をもたらすのでしょうか? また、それを「分析」することで、作曲者の意図や楽曲の構造をより深く理解することができるのでしょうか?これらの問いは、音楽愛好家だけでなく、音楽学者や哲学者にとっても長年のテーマとなってきました。

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ファスト教養をファスト哲学でファスト批評: レジー『ファスト教養』書評

話題になってたし、読んだ、ていうか、オーディオブックで聴けるようになってたから聴いてみたいのですが。

三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』を読んだときもそうだったけど、このあたりの文筆家のものは自分は読まなくていいのだな、とというのが感想。

「ファスト教養」を槍玉にあげる本書が、ファスト的な読み物・内容なので、どうもそのあたり、読みながら違和感しかありませんでした。

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