現在, 初心者向けにラップの歌詞の作り方についての文章を書いているところです. わたし自身, ラップについては初心者なのですが, 初心者なりに, 効率の良い日本語ラップの歌詞の作り方を手順化しているので, それを文章化しよう, というのが動機です. んが, なかなか完成する目処が立たず, このままではフリースタイルラップの流行のビッグウェーブに乗れないまま, 3 年後くらいにひっそり公開することになってしまいかねません. ということで, Radio Edit , 要するに細かいところは置いといて, オイシイところだけ 1 記事にして公開することにしました.
なお, Full Length ver. は,
0. はじめに
1. 1 小節に何音入るか
2. 既存のラップ曲の替え歌を作る
3. 既存のラップではない曲をラップ曲にする
4. オリジナルのラップ曲を作る
の 4 記事構成になる予定です. いまんところ, 2. の途中まで執筆しています. いつ完成することやら.
この記事では, いつか完成するであろう Full Length ver. の「3. 既存のラップではない曲をラップ曲にする」「4. オリジナルのラップ曲を作る」の要点のみを簡単にまとめてあります. 多分. 簡単だと思う.
すでに酔っ払っている状態で執筆しているので, 何回繰り返したかはわかりませんが, 細かい点については今回, 棚上げしてあります. その細かい点というのは, 以下などです.
- 韻を踏むとは何か
- 1 小節に何音入るか
御託はえいわ, さっさといこう.
さて, 初心者のためのラップの歌詞の作り方 ( Radio Edit ) という, 要点をまとめた本記事のさらに要点をまとめると, 以下の通りになります.
1. テーマを決める
2. 文を書く
3. 文のなかから韻になっている箇所を探す
4. 文のなかから韻になっている言葉を見つけたら, その韻になる言葉を頑張って探す. 思いつく
5. 韻になる言葉が思いつたら, テーマから逸れない程度に, 韻になっている言葉の前に, 8 〜 10 文字程度で, すでに書いてある文の 1 節を選んで配置する
では順番に説明しましょう.
テーマを決める
特に初心者のうちは, テーマをしっかり決めてから歌詞を書いた方がいいでしょう. テーマはなんでもかまいませんが, 自分にとって身近な, 関心のある, 書きやすいテーマがいいと思います. US のイカツいラッパーみたいな「やんちゃ」なテーマの方がカッコイイかもしれません. しかし, 「やんちゃ」に縁のない人間が, これらをテーマにしても, 説得力がなく, カッコイイものになりません. 説得力のある歌詞を書くためにも, 身近な, 関心のあるテーマを設定しましょう.
文を書く
テーマを設定したら, そのテーマについての文を書きましょう. 韻とか歌詞っぽいとか, そういうのは一切気にする必要はありません. 分量としては, かなりざっくり言えば, ごくごく簡単な日本語ラップの場合, 1 拍に 4 音 ( 俳句の五・七・五みたいなもんです. 詳細は Full Length ver. で ) 入りますので, 1 verse = 16 小節 ( この変の言葉が分からない場合はインターネットで検索してください ) で 3 verse の歌詞を書く場合, ひらがなにして 4 × 4 × 16 × 3 = 768 文字が目安でしょう. 実際は, hook が入ったり, また, 息継ぎがあったり, あとまあ, いろいろありますので, ひらがなで 768 文字というのは, 本当にほんの目安です. とりあえず漢字が入ってもいいので, 400 字詰め原稿用紙 1 枚半か 2 枚くらい書いとけばいいんじゃないっすかね, 余計なものはあとで削ればいいですし.
あと, 文を書く際に, 論理展開とか, 文脈とか, そういう細かいことを考える必要はありません. ほとんど箇条書きでもかまいません. テーマに沿った言葉をワードか何かに 700 字から 800 字どんどん書き出すだけでいい. 文字数のカウントは, ワードか何かの文字数カウントツールを使えば効率的です.
また文を書く代わりに, ラップではない歌詞や, 好きな本, インターネットの記事などなど, 自分のオリジナルではない文を原稿用紙 2 枚文程度, 借用する, という方法もあります. 文章の要約に自信がある場合は, こういった借用の方が効率的かもしれません.
文のなかから韻になっている箇所を探す
さて, テーマを決めて, 原稿用紙 2 枚分いくかいかないか程度の文を用意できたとしましょう. いよいよ少しずつ, ラップの歌詞らしいものを作っていく作業に入ります.
ここからは, 実際に例を挙げて説明します. 例として取り上げるのは, わたしのオリジナル楽曲の一部です (コチラ (Soundcloud) から再生してください).
この楽曲の歌詞のテーマは「ラッパーとしての初音ミクの自信にあふれる自己紹介」です. 歌詞以前の「文」は, 「みくみくにしてあげる」からの借用と, わたしのオリジナルが半々です. ここでは分かりやすく説明するために, 「みくみくにしてあげる」から借用した部分の「文」を,
ていうか「みくみくにしてあげる」の歌詞をラップ調にした部分を取り上げます.
まず, 「みくみくにしてあげる」の冒頭の歌詞をみてみましょう. そして, 韻になっている部分を探しましょう.
科学の限界を超えて私は来たんだよ
ネギはついてないけど出来れば欲しいな
「限界」の「かい」( kai ), 「私」の「たし」( tashi ), 「ついてない」の「ない」( nai ) が, 「ai」で 2 音, 韻を踏んでいます. ということで, 「ai」の韻になっている言葉を頑張って探しましょう.
文のなかから韻になっている言葉を見つけたら, その韻になる言葉を頑張って探す. 思いつく
まだまだ実例に沿って説明します. 「みくみくにしてあげる」の冒頭の歌詞から, 韻になっている部分「ai」が見つかりました. そこで, 「ai」で踏める言葉を探してどんどん書き出しましょう. ここはかなり, いわゆるクリエティヴで難しい作業です. なかなか進みません. が, ラップの歌詞を作る際の醍醐味のうちの 1 つです. ここを楽しめないと, ラップの歌詞を考えることに不向きなのかもしれません.
この難しい作業を解決するために, ふだんから, ライミングノートみたいなのを作るという策があります. 「ai」だったら, 「ai」で踏める言葉を思いついたときにどんどんメモする. 「on」だったら, 「on」で踏める言葉を思いついたときにどんどんメモするためのノートです. ノートの作成には, Evernote などを使うのが効率的かもしれません.
Evernote に「ライミングノート」というノートブックを作成し, そのなかに, 2 文字以上の韻ごとにノートを作成していく, といった方法です. なおわたしは作成していません.
話をもとに戻しましょう. 「みくみくにしてあげる」の冒頭の歌詞から, 韻になっている部分「ai」が見つかったのでした. そこで, 「ai」で踏める言葉を書き出す. その際に注意するのは, テーマや, 元ネタになる文 ( この場合は「みくみくにしてあげる」の歌詞」) に登場している言葉の意味になるべく沿った言葉を書き出すことです. しかしこれもまた難しい. 思いつかない場合は, なんでもいいから書き出しましょう.
ということで例えば, 「ai」で踏める言葉でかつ, 元ネタになる文に登場している言葉の意味になるべく沿った言葉であれば … ,
- 「到来」( tourai ) . 「来た」に意味が近い
- 「頂戴」( choudai ). 「ほしいな」に意味が近い
- 「破壊」( hakai ) . 「超える」に意味が … , まあ, 近いとは言えないけど採用
といったところでしょうか.
あとは, 元ネタになる文に登場している言葉の意味に近くなくても, 設定したテーマに沿っていそうな言葉, かつ,「ai」で韻を踏んでいる言葉などを探します.
- 「ゼロ年代」 ( zeronenndai ) . ミクちゃんが生まれたのは 2007 年.
- 「未来」( mirai ) . 初音ミクの名前の由来は「未来からきた初めての音」
あとは, 「歌いたい」とか, 「自由自在」とか.
他にも, テーマに沿っていなくても, 元ネタにする文で見つけた韻になる言葉をどんどん書き出しましょう. 歌詞として採用するかどうかはあとで判断しましょう.「押韻に引っ張られて歌詞が書かれる」といった, 言わば中動態的な, 「降りてきた」的な, そういうのが期待できるかもしれないからです. 「ai」だったら, 「老害」「ザーサイ」「犯罪」「惨敗」「寛解」… んー, どれもテーマに合わないですね ( 笑 ) まあ, 書き出せるだけ書き出して, 歌詞に採用しない場合は, ライミングノートへ記録しておきましょう.
韻になる言葉が思いつたら, テーマから逸れない程度に, 韻になっている言葉の前に, 8 〜 10 文字程度で, すでに書いてある文の 1 節を選んで配置する
歌詞の元にする文から韻になっている言葉を見つけ, その韻になっている言葉を書き出せば, あとは, 書き出した韻になっている言葉の前に, 元にする文の部分を切り取って配置することで, ラップらしい歌詞になります.
実例でみていきましょう.
「みくみくにしてあげる」の歌詞の冒頭は, こうでした.
科学の限界を超えて私は来たんだよ
ネギはついてないけど出来れば欲しいな
そのうち, 「限界」と「ない」で韻が踏めている (「ai」) 部分を見つけることができました. そして, 元ネタの文意を崩さずにかつ, 「ai」で踏める言葉として,「来る」=「到来」, 「欲しいな」=「頂戴」などを思いつくことができました. これらの韻になっている言葉の前に, 元ネタの文の部分を切り取って配置します. まずは, これらの韻になっている言葉を, 縦に並べます. 1 行 = 1 小節が目安です ( シンコペーションなどは無視! また, 1 小節 = 16 音程度と先述しましたが, この楽曲は BPM = 160 くらい ( だった. はず ) ですので, 1 小節 = 8 音程度です. 詳しくは Full Length ver. で! )
限界
到来
ない
頂戴
次に, 文意を壊さない程度に, 元ネタになる文の部分を切り取って, 韻になる言葉の前に配置します.
科学の限界を超えて私は来たんだよ
ネギはついてないけど出来れば欲しいな
科学の限界
超えてわたし到来
ネギはついてない
出来れば頂戴
これで, 「みくみくにしてあげる」の歌詞の冒頭を, 小節の最後で「ai」で韻を踏めているラップらしい歌詞にすることができました! なお, 「Cute Ass」で「みくみくにしてあげる」を借用した部分は, 最終的には, 「破壊」や「未来」という言葉を使用して,
科学の限界
破壊し未来から到来
ネギはついてない
けど出来れば頂戴
という歌詞になっています. こういう感じで, 16 小節なり 12 小節なり 2 verse なり 3 verse なり分の歌詞を書いていけばけっこう効率的なはずです! 最初のうちは!!!
いかがだったでしょうか!?!?? いかがだったもクソもない! て感じですが. あと, わたし自身, 初心者というかしょせんボカロでラップをやっているニワカなので, まあ, やっぱいかがだったもクソもない! て感じですが. そういうのは勘弁していただくとして, 大事なのは, 韻になる言葉を先に書き出して, その言葉の前に, 1 小節 16 音 ( テンポが速い場合は 8 音 ) 程度になるように韻になっていない言葉を配置する. この方法をとれば, 1 行 1 行韻になっている言葉を考えながら歌詞を書くより, はるかに効率的にラップらしい歌詞を書けるはずです.
とりあえず, ラップという話題がホットなうちに一回公開したかった, というのがあったので, Radio Edit という感じで一気にここまで書きました. もうなんか疲れた. いろいろぽろぽろと不明瞭な点があるかもしれませんが, そういった点については, Full Length ver. に期待していただければと思います.
この記事が少しでも, ラップの初心者さんの歌詞を書く際の効率化に役立てばさいわいです.