えー, 「ところで」の前後で非常に落差というかなんというか, まあ, 単に差なんですが, 差が大きいタイトルなんですが.
8 月 31 日は, 8 年前の 2007 年に初音ミクが発売された日. つまりお誕生日です！ ミクちゃんお誕生日おめでとう！ いつも変なラップばかりさせてゴメンなさい…, 初音ミクがボーカロイド界隈を dis りまくるとか, 初音ミクが初音ミクを dis りまくるとか, あとなんか単に気に入らない界隈を dis るとか, ほんとゴメンなさい！ これからも頑張ってラップしてね！
あ, ふつうのラップも書いてます.
ふつうの歌モノはまだ書いてません.
ここでミクちゃんとわたしみたいなテーマで書き始めるとまた前置きが長くなるのではしょりますが, いや書きたいんですが, またの機会に.
さっそく本題に入りましょう.
ミクちゃん, その誕生以来, さまざまな角度から論じられていて, その論じられ方が玉石混淆, な感じなんですけれども, 学術論文おいてもちょいちょいミクちゃんの名前を見かけます. 今回は, 昨年の 8 月 31 日から今日までの約 1 年間, 初音ミクがテーマの学術論文, それだけではちょっと寂しい結果になってしまうかもしれませんので, ボーカロイドおよび歌声合成がテーマの学術論文, これらを集めてみました. 調べ方は簡単. cinii で検索しただけです.
ほんとは今日に合わせて楽曲を書きたかったんだけど. 間に合わなかった！！！！！ ので, こんな記事でお茶を濁します.
1. 初音ミク
1.1 批評
- 岩撫 優作「ボーカロイドおよび初音ミクに関する分析と今後の発展の予想」( 早稲田社会科学総合研究 別冊 2014年度学生論文集, 2015 / 6 )
- 木村 直弘「初音ミクは浮遊する―神話装置としての冨田勲《イーハトーヴ交響曲》―」( 岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要, 2015 / 3 )
- 浅見 吏郎「初音ミクと電子音楽」( 札幌大学総合論叢, 2015 / 3 )
- 川﨑 悠圭「舞台上に降り立つVOCALOID : 「女優」としての初音ミクは存在しうるか」( 日本学報, 2015 / 3 )
1.2 技術
- 竹本 拓真, 馬場 隆, 服部 篤志, 片寄 晴弘「VOCALUMPET: トランペット型リアルタイム歌声シンセサイザ」( エンタテインメントコンピューティングシンポジウム, 2014 / 9 )
- 竹本 拓真, 馬場 隆, 片寄 晴弘「Miku Miku Face：HANAUTAUと立体顔形状ディスプレイを用いたバーチャル「初音ミク」」( エンタテインメントコンピューティングシンポジウム, 2014 / 9 )
1.3 マーケティング
- 斉藤 明「サービス・ドミナント・ロジックにおける価値共創概念と市場創造 : 「初音ミク」という市場創造を中心として」( 情報文化学会誌 2014 / 8 )
あまり学術系とは言えない記事を除くと, 論文数はぜんぶで 54 件. そのうち 7 件がこの 1 年なので, まだまだミクちゃんは注目されているといえるでしょう.
このなかで読んどくべきなのは, 木村 直弘「初音ミクは浮遊する―神話装置としての冨田勲《イーハトーヴ交響曲》―」です. 木村は岩手大学教育学部で音楽学が専門を専門とし, シェンカー理論や宮沢賢治などについて大変興味深い論文を多く残しています. テーマ的には, めまぐるしくうつりかわるボカロ界隈にとっては若干古い感じがしないでもないですが, しっかりとした批評がなされ, お手本的な 1 本と言えるのではないでしょうか.
また, 技術系の「HANAUTAU」を応用した 2 論文も面白いですね. 特に「Miku Miku Face」の方は, 現状では初音ミクのライブはあらかじめ用意されたモーションを流すだけだけれども, これが実現すると, 裏でリアルタイムで人間が操作できてコールアンドレスポンスなどまさに「ライブ」が可能だと. 夢の技術！ 実現するのでしょうか. わかりませんが, こうした地道なの, 大変面白いです.
さて, これだけでは少し寂しい気がしないでもないので, cinii で「 vocaloid 」および「歌声合成」で検索してみました.
2. 「 vocaloid 」の検索結果
- 岩撫 優作「ボーカロイドおよび初音ミクに関する分析と今後の発展の予想」( 早稲田社会科学総合研究 別冊 2014年度学生論文集, 2015 / 6 )
- 王 杲, 高橋 光輝「“VOCALOID CHINA PROJECT”の事例分析による中国のキャラクタービジネス環境の可能性と現状報告」 ( 研究報告デジタルコンテンツクリエーション. 2015 / 1 )
- 竹本 拓真, 馬場 隆, 服部 篤志, 片寄 晴弘「VOCALUMPET: トランペット型リアルタイム歌声シンセサイザ」( エンタテインメントコンピューティングシンポジウム, 2014 / 9 )
えー, この 1 年で公開されたのが 3 本, そのうち 2 本が初音ミクとのかぶり, うち 1 本は現状では有料公開, ということです. …, 次にいきましょう. 歌声合成で検索してみましょう.
と思ったのですが, ヒットは 2 件. いずれも技術系の論文で, 現状では有料公開です.
ちなみに, この 1 年に限らなければ, vocaloid は, ぜんぶで 50 件, 歌声合成はぜんぶで 90 件ヒットしました. 初音ミクは 54 件のヒットで, そのうちかぶりもあるでしょうから, 論文では vocaloid よりも初音ミクという言葉の方が注目されている, あるいは使われている, と. けっこう面白いですね.
歌声音声の方が多いのは, 単に初音ミクの発売よりも前から, 研究がされてきたからでしょう. cinii の検索結果によると, 歌声合成がタイトルについてある最も古い論文は 98 年の「歌声合成システム」 のようで, この論文によると, 日本語の歌声合成の試みは 94 年に報告されています (「日本語テキスト音声合成を利用した歌唱合成システム」). この辺の話は詳しい方がいらっしゃると思いますので, これ以上深くは突っ込みませんが.
と, いうことで, 以外とけっこうミクちゃん関連の論文はあって, なかには「それはどうなん wwwww」みたいなものもありつつ, 技術的な試みや批評はいまなおつづいているようです. 最後に. 手前味噌ですがわたしもいちおう, ミクちゃんとラップというテーマで, 昨年文章を書きました.
- ボーカロイドラップの作り方 ( リンク先 別 web サイト )
ミクちゃんラップさせたい！ あるいはミクちゃんを喋らせたい！ という方は参考になるかと思います. 読みにくいですが.
