西洋音楽史、古典派の6回目です。全体の目次はコチラ。
古典派とは、ハイドン Franz Joseph Haydn 、モーツァルト Wolfgang Amadeus Mozart 、ベートーヴェン Ludwig van Beethoven の3人を指し、より厳密には彼らの活躍した時期でも1780年〜1820年を指します。前回は、この3人のうちモーツァルト、特に彼の生涯について取り上げました。
今回は、モーツァルトの声楽曲を取り上げます。
宗教曲
先ず、宗教曲ですが、その多くはザルツブルク時代に作曲されました。ミサ曲18曲(《孤児院ミサ》K139、《戴冠式ミサ》K317など)、典礼小品約20曲、宗教的ジングシュピールなど4曲が残されています。
- 《孤児院ミサ》
- 《戴冠式ミサ》
ウィーン時代にも宗教曲は残されていますが、教会音楽を作曲する義務から解放されたためか、数多くはありません。次の、
- 《大ミサ曲 ハ短調》K427 ※未完
- 《アヴェ・ヴェルム・コルプス》K618
- 《レクイエム》K626 ※未完
そして《フリーメーソンのための小カンタータ》K623 のみです。
ただ、1788年頃から没年まで、モーツァルトはかなりの程度教会音楽に関心を持ち、作曲に取り組んでいたのではないかとも言われています。作風はホモフォニー様式を背景にしたオペラ風の華麗な旋律を繰り広げる、古典派ミサ曲の典型ですが、ウィーン時代の作品では対位法様式の展開に優れていました。
劇音楽
11歳から没年にいたるまで、モーツァルト派劇音楽を作曲し、およそ20曲が残されています。
イタリア語のオペラ・ブッファとしては、
- 《みてくれの馬鹿娘》K51(12歳頃のの作品)
- 《フィガロの結婚》K492
- 《ドン・ジョバンニ》K527
- 《コシ・ファン・トゥッテ》K588
が挙げられます。
また、同じくイタリアのオペラ・セリアとしては、
- 《アルバのアスカーニオ》
- 《ルチオ・シッラ》
- 《クレタのイドメネオ》
- 《ティトゥス帝の慈悲》
が挙げられます。
ドイツ語のジングシュピールとしては、
- 《バスティアンとバスティエンヌ》
- 《後宮からの誘拐》
- 《魔笛》
が挙げられます。
その他に、演奏会用アリア(約60曲)、重唱曲/合唱曲(約20曲)、歌曲(約30余曲)、カノン canon (約30曲)が残されています。
次回は「古典派の音楽(7)モーツァルト: 器楽曲」です。
参考文献
- 片桐功 他『はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』
- 田村和紀夫『アナリーゼで解き明かす 新 名曲が語る音楽史 グレゴリオ聖歌からポピュラー音楽まで』
- 岡田暁生『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏』
- 山根銀ニ『音楽の歴史』