ボーカルにフォーカスがされた前作『The Shakes』から約 1 年. 7 月 1 日に日本先行リリースされる Herbert の新作は, 人体の音をサンプリングしたかなり彼のキャリアのなかでも実験的な作品になりそうです. ていうかなってますね. 現在, サンクラで公開されているプレイリストを聞く限りでは.
Herbert とサンプリング
Herbert はこれまでも, サンプリングを駆使した作品をリリースしてきました.
『Plat du Jour』( 2005 ) では,「食とグローバリズム」をテーマに, 食品の流通過程を音楽にし,ほとんど同じテーマで「豚」にフォーカスを当てた『One Pig』( 2011 ) では, 豚の音をサンプリングして最高のエンターテイメント作品に仕上げています.
こういったガッチガチのサンプリング音楽だけでなく, 正統派ジャズに取り組んでいる作品においても, サンプリングが取り入れられています.
「音楽制作におけるハーバート一身上の契約書」
また, サンプリングへの徹底は, ( 『Scale』以降, ゆるく運用されていますが, )「契約」というかたちで書面化されています. 少し長いですが, 引用します.
Personal Contract For The Composition Of Music – <音楽制作におけるハーバート一身上の契約書> [Incorporating The Manifesto Of MISTAKES] – <「誤り、手違い」への声明文を含む>
何時もオリジナルで在るために、その目的、必要、そして願いの書面
1.すでに存在しているサウンドの使用は不可とする。
A.ドラムマシーンの使用は不可。
B.プレ・セット、プレ・プログラムのキーボード・サウンドの使用は不可。2.制作過程の開始時期に集めたサウンド、又は、そのアーティストが保管する過去 に未使用のサウンドのみ、サンプルとして使用出来る。そしてそのサウンドの オーダーやマニプレイションは、楽曲制作の最も重要な作業として扱われるべきである。
3.他人の音楽をサンプリングすることは特に禁止とする。
4.人間の声以外は、生楽器のサウンドの複製は禁止とする。経済的、そして 身体的に可能である限り、本物を使うこと。
5.一般的に「アクシデント」として認識されている事柄は奨励される。更に、音楽 制作における意図性、計画性、と同等に扱われるべきである。
6.新しい楽曲の制作開始前に、ミキシング・デスクをリセットしてはならない。 これは、新しいサウンドにランダムなeqやfxを施すためである。楽曲の オーダーやレコーディングが始まってはじめて、ミキシング・デスクは通常を使用する。
7.全てのfxのセッティングは自ら行うこと。プレ・セット、又は、プレ・プログラム されたパッチの使用は不可とする。
8.それぞれの楽曲に使用された全てのサウンド、そしてその提供元は、1年以内に matthewherbert.comにて公開される。
9.それぞれの楽曲に使用された全ての機材の詳細は、1年以内に matthewherbert.comにて公開される。
10.全てのサンプルは、楽曲の完成とともに削除される。
11.リミックスは、原曲を制作したアーティストから供給されたパーツと、そのパーツ が収められたメディア、及び、パッケージのみを使用して完成する。
( 参考: http://www.hmv.co.jp/artist_Herbert_000000000139492/biography/media_all/, http://matthewherbert.com/about-contact/manifesto/ )
新作『A NUDE』は,『Plat du Jour』『One Pig』と並ぶ, 現代の最高のサンプリング音楽作品になっています. が, サンクラに公開されているプレイリストの URL にはまだ「demo」の文字が. フィジカル媒体で最終的な音源を早く聞きたいですね!