西洋音楽史、ロマン主義の6回目です。さて、最重要人物とされる シューベルト Franz Peter Schubert に続いて、初期ロマン派を代表する音楽家が、1810年前後に生まれたメンデルスゾーン Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy 、シューマン Robert Alexander Schumann 、ショパン Fryderyk Franciszek Chopin です。
今回からこの3人の音楽家を取り上げることにします。先ずはメンデルスゾーンです。
1.生まれ、業績
メンデルスゾーンはハンブルクに生まれました。作曲だけではなく、指揮や教育においても大きな業績を残しました。
2.作品の特徴
メンデルスゾーンの作品の特徴は、古典派の伝統を受け継ぎつつも、ロマン的な情感を表現した、そのバランスにあります。
また、旅行先で出会った風景、季節、その土地々々の特有のものから受けた、感動や絵画的な情景を、音楽的表現にうつしかえることに優れていました。このような作品の例としては、交響曲第4番《イタリア》Italian や、交響曲第3番《スコットランド》Scottish が挙げられます。
3.交響詩の先取り
管弦楽曲は、交響曲5曲、協奏曲6曲などの他に、演奏会用序曲が数曲あります。演奏会用序曲としては《フィンガルの洞窟》Die Fingals-höhle が代表的で、交響詩の先取りとも言われています。
4.ピアノ曲
ピアノ曲《無言歌》Lieder ohne Worte は、8巻48曲から成る性格的小品です。1820年代から45年にかけて作曲されました。
5.声楽曲
声楽曲は、ヘンデル Georg Frideric Handel やハイドン Franz Joseph Haydn の伝統を継いだオラトリオ2曲の他に、宗教曲、歌曲などがあります。
【参考文献】
- 片桐功 他『はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』
- 田村和紀夫『アナリーゼで解き明かす 新 名曲が語る音楽史 グレゴリオ聖歌からポピュラー音楽まで』
- 岡田暁生『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏』
- 山根銀ニ『音楽の歴史』