音楽への人文的アプローチにコンパクトな良書: 椎名亮輔 (編)『音楽を考える人のための基本文献 34』

音楽関連の書籍を専門的に扱う出版社, アルテス・パブリッシングから, 『音楽を考える人のための基本文献 34』っていうけっこう気になるタイトルの新刊書が発売されました (タイトルが本サイトのサブタイトルと被ってるんですけどねぇ… こっちがパクってるみたいな感じになるんですけどねぇ… (笑)). 編著者は『音楽的時間の変容』(現代思潮新社),『狂気の西洋音楽史』などの著書のある音楽学者の椎名亮輔 (同志社女子大学). 

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書籍情報

  • タイトル:『音楽を考える人のための基本文献 34』
  • 著者: 椎名亮輔 (編)
  • 出版社: アルテス・パブリッシング
  • 発売日: 2017 年 5 月 30 日

本書は, 古代から現代までの, 音楽をテーマに扱った古典書のアンソロジーで, 34 冊のそれぞれの文献 (とその著者) の解説 + 引用が, 時代順に並ぶ, という構成になっています. また, 時代区分で分けられた章の合間合間に,「本書の使いかた」という短い文章がはさまれているのですが, ここでは編著者である椎名の音楽観が述べられている, ていう感じですかね (この椎名の音楽観がですね, なんともこの, ロマン主義で味付けした和風ベルクソン, ていう感じでなんともむつこくてどうも飲み込みにくかったですね. 音楽経験における「永遠の今」みたいなの, なんか, 苦手なんですよね, いや, 苦手になったというか). なんで「使いかた」になっているのか… よく分からない…

さて, その 34 冊 (人) のラインナップですが, 古代や中世, 近世こそ, プラトンやアリストテレス, アグスティヌス, そしてデカルトといった哲学者の名前が並んでいますが, 近代・現代になると, 音楽家の名前がほとんどになります. ですので, 哲学者が音楽をどう捉えたか, というものではなく, 音楽家による哲学的音楽観の紹介, という趣が強い.

もちろん, 時代を下るにつれ, 音楽に限らずあらゆる学問分野はその各内容が独立して専門化・細分化されますので, 古代は哲学者が考えていたことも, 現代では音楽家の専門になってなってしまった, と言えばそれまでですけれども.

ただ, 近現代でも, 音楽を主題として扱った哲学者 (美学が専門ではなく) もいますので, そういうのが入ってたらもっと面白かったんじゃないかな〜, と, 完全に個人的な意見ですね. これは. ジャンケレヴィッチとか, アドルのとかですね.

あとまあ, あの並びだったら, シェンカーが入っててもよいとは思ったんですけど, どうなんでしょう. チェリビダッケも.

と, 音楽について「考える」と言った場合, 思いつくアプローチ方法は人によってさまざまだとは思いますが, 『音楽を考える人のための基本文献 34』は, 人文系的なアプローチをするにはどうすればいいか, の, ヒント集になるかと思います.

そんな難しくないですしね. オススメです!

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