20世紀後半の音楽(9)オペラ劇場破壊論

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さて今回は、19世紀までにオペラと呼ばれていたジャンルが、第2次世界大戦後に創作されていったかを取り上げます。

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1.オペラ劇場破壊論

1960年代、オペラの伝統的な在り方、つまり、ひとつのストーリーを描きながらドラマを演じていくことに疑問が投げかけられました。例えばブーレーズ Pierre Boulez は、「オペラ劇場破壊論」を唱えました。

またベリオ Luciano Berio は、サンギネッティ Edoardo Sanguineti の協力を得、一貫したストーリーを持たない実験的なオペラを創作しました。

カーゲル Mauricio Kagel やシュネーベル Dieter Schnebel は、「音楽劇」の試みに取り組みました。「音楽劇」は、ストーリーや意味を剥ぎ取ることで、舞台に登場する人物の身体そのものに注意を惹きつけました。

またケージ John Milton Cage Jr. も、伝統的なオペラの在り方に対し、実験的なオペラを創作しました。その代表例として、《シアター・ピース》 Theater Piece が挙げられます。

2.伝統的なオペラの可能性

一方ヨーロッパでは、伝統的なオペラの可能性を追究する音楽家もいました。ヘンツェ Hans Werner Henze やツィンマーマン Bernd Alois Zimmermann らの作品がそうです。

70年代後半になると、前衛作曲家たちがオペラに再び取り組むようになりました。

  • リゲティ György Ligeti《ル・グラン・マカーブル》Le Grand Macabre
  • シュトックハウゼン Stockhausen《リヒト》 Licht
  • グラス Philip Glass《浜辺のアインシュタイン》Einstein On The Beach
  • ライヒ Steve Reich《ザ・ケイヴ》The Cave

などが挙げられます。

次回は引用の音楽について取り上げます。

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