ルネサンス音楽(1)音楽史上でのルネサンス

前回までで中世音楽について概観してきました.

中世音楽(6)まとめ
西洋音楽史、特に中世の音楽についてのまとめです。目次として使用していただければと思います。

今回からルネサンス期の西洋音楽を取り上げます。

「ルネサンス」 Renaissance とはそもそもどのような意味でしょうか。教科書的には、14世紀にイタリアで起こった運動を表す用語です。美術史上では既に、16世紀中頃から古代美術の復興を指す用語として使われていたとのことです。では、音楽史におけるルネサンスは、どのような時代だったのでしょうか。

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1.音楽史上でのルネサンス

実は音楽史上でのルネサンスは、「存在しなかった」という見方があります。というのも、ルネサンスは「古代」の「復興」という意味ですが、ルネサンス期当時の人々は未だ、古代の音楽を知らなかったからです。

ただ、ルネサンスは、復興という意味よりももっと広く使用される場合があります。つまり、中世とは異なる新しい人文主義的な文化の動き全般、という意味でのルネサンスです。このような意味でのルネサンス音楽は存在したと言われています。ルネサンス時代には、音楽を独立した芸術とみなす姿勢が強まり、自由で豊かな表現力に満ちあふれた世俗音楽が多くなり、宗教音楽においても人間性を直視する姿勢がみられるようになったためです。

このようなルネサンス音楽の特徴がはっきりと見てとれるようになったのは、15、16世紀です。ということで教科書的には、この2つの世紀の西洋音楽を指して「ルネサンス」音楽と呼んでいます。

ルネサンス期の音楽家、楽曲については次回以降取り上げます。今回は、15、16世紀に起こった音楽史上のトピックを2つ、取り上げたいと思います。つまり、「記譜法の変化」「機能和声の萌芽」です。

※和声・機能和声: 西洋音楽の音楽理論の用語のひとつ。和音(高さが異なる複数の音が同時に響く音のこと)の進行、声部の導き方および配置の組み合わせのこと。狭義には、16世紀ヨーロッパに始まる機能和声です。機能和声とは、個々の和音には、その根音と調の主音との関係に従って、役割があるという考え方です。

2.記譜法の変化



ルネサンス期には記譜法において重要な変化が起こりました。1450年頃から、黒符定量記法に代わり、白譜定量記譜法が使用されるようになりました。つまり、白抜きの音符を中心とした、現在の楽譜にかなり近いものが使われるようになったのです。拍子記号に近いリズム記号も付されるようになりました。ただ、小節線は未だありませんでした。また、タブラチュアという器楽用の楽譜がありました。

15世紀後半、楽譜の印刷が開始されます。しかし世間に流通していた楽譜のほとんどは、手書きの写本でした。そのため15世紀までは楽譜はまだまだ高価なものでした。

16世紀になると、イタリアのヴェネツィアで音楽史上の画期的な出来事が起こりました。1501年に、ペトルッチ Ottaviano Petrucci が活版印刷による史上初の多声音楽の楽譜を出版したのです。

印刷された楽譜が流通するようになると、音楽作品の普及は急激に進みました。楽譜は、各声部別の、いわゆるパート・ブック形式で印刷されました。総譜 = スコアが印刷されるようになるのは、16世紀後半からです。

3.機能和声の萌芽

1547年、グラレアーヌス Henricus Glareanus が音楽理論書『ドデカルドンDodecachordon を発表します。

この理論書では、従来の8種類の教会旋法に、さらに「エオリア」と「イオニア」およびそれぞれの正格・変格という、4種類の旋法を追加して12種類とし、ルネサンス期における旋法理論の体系化を試みました。

しかし、15世紀から16世紀に創作された実際の音楽作品においては、次第に長調・短調の傾向が強まっていきます。そして機能和声の萌芽も明確にみられるようになるのです。

次回から具体的にルネサンス音楽について説明していきます. ますはブルゴーニュ楽派です.

【参考文献】

  • 片桐功 他『はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』
  • 田村和紀夫『アナリーゼで解き明かす 新 名曲が語る音楽史 グレゴリオ聖歌からポピュラー音楽まで』
  • 岡田暁生『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏』
  • 山根銀ニ『音楽の歴史』
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