20世紀前半の音楽(8)新古典主義

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1918年に第1次世界大戦が終わると、新しい音楽の動向が生まれました。大きく分けると、新古典主義 Neoclassicism と十二音技法 Twelve-Tone music です。今回は、新古典主義を取り上げます。

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1.新古典主義

新古典主義は、第1次世界大戦直前の、危機的な風潮を嫌い、その反動として生まれました。ここで言う「危機的な風潮」とは、例えば表現主義ですが、漠然とした印象主義や、象徴主義 symbolisme も含まれます。

新古典主義の音楽理念は、簡素な旋律、簡素な形式による明朗な音楽を標榜することにありました。その第一歩としてストラヴィンスキー И́горь Фёдорович Страви́нский が《プルチネッラ》Pulcinella を発表します。

《プルチネッラ》は、18世紀イタリア音楽を発掘して素材とした作品です。旋律とバスの輪郭をくっきり残しながら、ホモフォニックな和声付けがされていて、《春の祭典》 Le sacre du printemps に代表される原始主義からの大転換でした。

2.六人組

1920年のパリでは、サティを精神的なモデルとする「六人組」Les Six が結成されました。

メンバーは、

  • オーリック Louis Durey
  • デュレー Louis Durey
  • オネゲル Arthur Honegger
  • ミヨー Darius Milhaud
  • プーランク Francis Poulenc
  • タイユフェール Germaine Tilleferre

です。

彼らはバッハ Johann Sebastian Bach やラモー Jean-Philippe Rameau といったバロック音楽の復活を目指していました。

複調や多調によって調性を確保しながら、バランスのとれた形式の作品が書かれました。代表例として、ミヨー《フランス組曲》Suite Française が挙げられます。

3.表現主義への反動

ドイツでも、表現主義への反動が起こりました。

例えばブゾーニ Ferruccio Busoni は、

表現主義から新古典主義への転向を宣言しました。

また、ヒンデミット Paul Hindemith は初期、表現主義的な歌劇(3部作《殺人者、女の望み》Mörder, Hoffnung der Frauen《ヌシュ・ヌシ》Das Nusch-Nuschi《聖スザンナ》Sancta Susanna)を作っていましたが、古典的な音楽へと方向転換します。

次回は十二音技法について取り上げます。

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【参考文献】

  • 片桐功 他『はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』
  • 田村和紀夫『アナリーゼで解き明かす 新 名曲が語る音楽史 グレゴリオ聖歌からポピュラー音楽まで』
  • 岡田暁生『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏』
  • 山根銀ニ『音楽の歴史』


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