Lil Yachty がヒップホップである理由: Lil Yachty『Teenage Emotions』

2015 年 8 月に発表した「One Night」がインターネットを中心にカルト的な人気を集め, 続く昨年 3 月に発表したミックステープ『Lil Boat』で, 新世代のラッパーとして人気に火が着いた Lil Yachty.

Yachty の魅力は, どこまでもリラックスできそうな, 眠た気〜な感じ, で, 変に中毒性がある, メロウなラップ. Yachty は自身のスタイルを「バブルガム・トラップ」と呼んでいます.

なんじゃそりゃ (笑). なのですが, 昨今, ラップの新たな中心地とまで言われるまでになったアトランタ出身であるにも関わらず, 地域性が重視されるヒップホップにおいてネットを中心に知名度が広がったという点にも, 注目が集まりました.

『Lil Boat』ですでに, Migos の Quavo を客演に迎えるなど, 大物ラッパー (Migos に大物という形容を着ける日が来るとは・・・!) との共同作業が実現していた Lil Yachty でしたが, 『Lil Boat』以降も, Chance The Rapper 『Coloring Book』へ客演するなど, 着実にラッパーとしての知名度を上げてきていました. ホントかどうか分かりませんが, Kanye West のアルバムへも参加予定だとか. ホントか? (笑)

一方で, 旧来のヒップホップからすると,Yachty のラップは, かなりヘンテコなスタイルですので, 批難も的にもなってしまいます.

と, まあ, 昨年以降, 良くも悪くも注目されている Yachty. 個人的にも最初出てきた当初は「なんでこんなんが流行ってるんだ…」て感じでしたが, いまでは絶対支持! で, 昨年 7 月の『Summer Songs 2』以降の, 新作のミックステープかアルバムかのリリースが待たれていました.

それで,  5 月 26 日に iTunes をはじめとする主要なストリーミング・サイトで, アナウンス通りついにリリースされたデビュー・アルバム『Teenage Emotions』. 1 月にタイトルが公開されて以来, 首を長くして待っていたファンも多かったのではないでしょうか.

リードシングル「Peek-A-Boo」,「Bring It Back」「X-Men」を含む全 21 曲収録. 客演として YG や Migos, Diplo, Kamaiyah, Evander Grim らが参加. また, Ricky Racks, Diplo, K Swisha, 30 Roc, Wondagurl, Pierre Bourne らといった面々がプロデューサーとして名前を連ねています.

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アルバム情報

  • タイトル:『Teenage Emotions』
  • アーティスト: Lil Yachty
  • リリース: 5 月 26 日

もしかして, 日本だと SALU とか好きな人には受けるんじゃないんですかね. いや, どうかな (笑) 共通点はメロウ, ていうだけですし.

Lil Yachty のラップは, たぶん, Migos 以降だと思うんですけど, ミニマルなフレーズをしつこくしつこく繰り返すことで, 中毒性を生む, ていうスタイルの 1 つだと思うんです. それで, Lil Yachty の場合は, はっきり, メロディーとして, 鍵盤でかなりなぞりやすい, ていうのが, 特徴的.

それだと, フロウしにくい, 要するに, ループ性の強いトラックに, ループ性の弱い「喋り」を乗せるのがラップで, そのループ性の弱さがフロウになるんですけど, ふつうの, 慣行ラップ (笑) だと. でも, Lil Yachty のラップは, リズムもメロディーもループ性が強いので, ラップらしくないんじゃないか, と.

そこは分かるんですけど, ただ, よく聴くと, ラップ, あるいはトラックへのエフェクト, もしくは, もしかしてダブ処理と言ってもいいかもしれませんが, そういったものがループ性, つまり繰り返しが少なくてですね, それで「飽き」が来ない. そういうふうになってると思います.

「そんなエフェクトなんかに頼るとかじゃくラップで勝負せんかい!」という意見もあるかと思いますが, まずは, ヒップホップしてればなんでもいいじゃん, ていう反論と, あと, Lil Yachty 実はけっこうラップ上手い, てのも言っておきたいです.

たとえば今回のアルバムの 2 曲目の「DN Freestyle」なんか, ラップがシャッフルになってたり, 1 拍目シンコペーションしたり, それでリズムとってたら小節の頭からになったりなどなど, けっこう巧みにインストに乗っています. で, インストに対する, リズム的なアプローチはけっこう細かいのに, ラップの音程がほとんど一緒なので, あれ, 単純なのかな? となりますが, 実はそこまで単純でもない. 単純さを隠している, て感じですかね.

昔から〜のラップ・リスナーには, ちょっととっつきにくいところはあるかもしれませんが, そもそもラップ自体が, 昔からの音楽の否定の上に成立していますからね. ビートに乗せて喋るのが音楽だなんて! しかもそれが流行ってるだなんて! ありえない! ていう. だから, ていうわけでもないですが, Lil Yachty をヒップホップとして楽しめばいいんじゃないんっすかね! 面白いのは間違いないですから!

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