音楽の哲学史シリーズの「近世の音楽思想」。今回はジャン=ジャック・ルソー Jean-Jacques Rousseau の音楽に対する見解と、彼の思想が当時の音楽界に与えた影響について詳しく見ていきます。前回は、近世における音楽思想として、デカルトやライプニッツの思想、そして音楽における模倣と表現の対立に焦点を当てました。今回は、ルソーの音楽へのアプローチと、彼が生涯を通じて追求した音楽の表現力と哲学について深掘りします。参考は Stanford Encyclopedia of Philosophy の「History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800」の項目です。
音楽は時として私たちの心を動かし、感情を揺さぶり、思考を刺激します。しかし、この強力な影響力はどこから来るのでしょうか? これまで「音楽の哲学史」シリーズでは、古代ギリシアの音楽思想から中世の音楽哲学に至るまで、音楽が持つ意味や役割について考察してきました。今回は、その続きとして、近世 (early modern) における音楽哲学の展開に焦点を当てます。近世において音楽思想は、音楽と感覚的快楽、そして表現の力が探求されるようになりました。では 15 世紀からの音楽に関する思考の変化を追いかけましょう(参考: History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800)。