『Dilla Time』が解き明かす J Dilla の音楽革命

今年 2 月に出版された Dan Charnas『Dilla Time』Amazon】。ヒップホップ史にその名を刻む伝説的なビートメイカー、J Dilla の生涯や音楽的革新について詳しく解説した一冊です。この書籍では、彼の短いキャリアの中で音楽界に残した大きな影響、特にリズムにおける革新性に焦点を当てています。また、J Dilla の業績を音楽学的に掘り下げ、「Dilla Time」と呼ばれる独自のリズム概念を詳しく分析しています。

今回の記事では、『Dilla Time』の冒頭部分であり「はじめに」にあたる「Go」の内容を紹介します。

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ミュージシャンズ・ミュージシャンズ・ミュージシャン

J・Dilla(本名:ジェームス・デウィット・ヤンシー、James Dewitt Yancey)は、わずか32年の生涯で音楽界に革命をもたらしました。彼の作品は、チャートの上位にランクインすることは少なかったものの、その音楽性は同時代のアーティストから高く評価されました。

The Roots の Ahmir “Questlove” Thompson は、彼を「ミュージシャンズ・ミュージシャンズ・ミュージシャン」と評し、J Dilla の音楽がいかに多くのアーティストにインスピレーションを与えたかを強調しています。また、彼が生み出した「Dilla Time」というリズム感覚は、音楽学者やアーティストによって研究され続けており、現在では大学の講義や研究対象としても取り上げられています。

J Dilla のリズム革命「Dilla Time」とは?

『Dilla Time』という書籍のタイトルにもなっている通り、本書の核心である「Dilla Time」というリズム概念は、ポピュラー音楽における新しい時間感覚を定義したものです。著者によると、従来の音楽が「ストレートタイム(均等なリズム)」か「スウィングタイム(不均等なリズム)」のいずれかに基づいています。しかし、J Dilla はこれらを組み合わせ、均等と不均等が共存する新しいリズムを創出しました。このリズムは、聞き手に心地よい違和感と新鮮さをもたらすのです。

彼が使用した主なツールは MPC というドラムマシンで、これを駆使して微妙なズレやリズムの変化を作り出しました。これにより、J Dilla の音楽は直感的でありながら計算されたものとなり、感性と技術が融合した独特のスタイルを確立しました。

生前と死後の評価

『Dilla Time』によれば、J Dilla の作品は生前には広く知られることがなかったものの、彼の死後、その評価は急激に高まりました。世界中で「Dilla Day」と呼ばれるイベントが開催され、彼の音楽と影響を称える催しが行われています。また、彼の母親や兄弟もその遺産を守り、J Dilla の名前を広める活動を続けています。

一方で、J Dilla の遺産を巡る争いや商業化の是非についても触れられています。例えば、彼のフィギュアや関連グッズが販売される一方で、一部のファンや関係者からは、そのような神格化への批判も見られます。

J Dilla の人間性と音楽的革新

『Dilla Time』では、J・ディラの人物像についても言及されています。彼は音楽的に非常に才能豊かでありながら、人間関係や自己管理においては不完全な部分も持つ、一人の「複雑な人間」として描かれています。そのリアルな姿を通して、彼の音楽がいかに生み出されたかを理解することができます。

まとめ: J Dilla の音楽的意義

『Dilla Time』の「はじめに」の部分だけからでも、J・ディラが音楽においていかに独自の道を切り開き、その影響が現在も続いているかがよく分かります。彼の「Dilla Time」というリズムの革新は、音楽界に新しい視点をもたらし、彼の遺産は次世代のアーティストにも大きな影響を与えています。

本ブログでは引き続き、『Dilla Time』の内容を紹介していきます。

参考文献

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