20 世紀を聴き比べる (8)「1908 年:  無調の大地」

よく歴史の本で、ある年に世界と日本それぞれ何が起きたか比べられる年表がありますよね。ある同じ年にどういった出来事が起きたか世界と日本で比べられる年表の、音楽版というのがあれば面白いなと思いつきまして。ただし、日本の音楽と世界の音楽を比べるのではなく、同じ年に発表されたクラシック (現代音楽) とジャズ、ポップス、ロック、ヒップホップを比べる、みたいな。

それを年表にしてしまうと、インターネット上で見るのは厳しいものがありますので、1 つの記事につき、1 年ずつ、同じ年に発表された音楽を、ちょっとまとめて、聴き比べられるようにしてみようではないかと。

というのを思いつきまして、現在、「20世紀を聴き比べる」と題して、1 記事につき 1 年ずつ、ある年に発表された音楽を聴き比べることのできるシリーズを公開しています。

今回は第 8 回、1908 年です。

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1908 年のクラシック音楽

まずはクラシック。クラシック曲において「この年にはこの楽曲!」と断言するのは難しいのですが、この点に関しては、初回の記事のクラシックの項目を参考にしてください。

では、1908 年のクラシック曲を聴いてみましょう。

1908 年のクラシック音楽として最も注目するべきは、シェーンベルクでしょう。シェーンベルクは、妻マチルデが若い画家と駆け落ちした挙句、相手のゲルストルが自殺してしまうといった陰惨な体験をはさんで、『2 つの歌曲』から無調の作品を書き始めますが、それが 1908 年でした。

  • シェーンベルク『2 つの歌曲』(1908)

また同時期、『弦楽四重奏曲 第 2 番』が作曲され、第 4 楽章に無調の部分があります。『弦楽四重奏曲 第 2 番』は第 3 楽章と第 4 楽章に象徴主義の詩人、ゲオルゲのテキストによる歌が入っているのですが、このことから、シェーベルクは当初、機能和声や調性から解放された音楽を歌の言葉を手掛かりに組み当てていたことが分かります。

また、初演は 1911 年ですが、マーラーの代表作『大地の歌』が作曲された時期も、同時期 (参考資料によってまちまち (1907 年 〜 1909 年)ですが、1908 年の本項に入れておきます。

  • マーラー『大地の歌』(1907 〜 08、初演 1911) 

『大地の歌』は、あると (またはバリトン)、テノールと管弦楽のための連作歌曲 (交響曲) です。歌詞は、李白、孟浩然、王維らの歌詞を H. ベートグが翻訳した『中国の笛』が元になっています。第 9 番の交響曲として書かれましたが、ベーtーヴェンとブルックナーが交響曲を第 9 番まで書いて夜を去っているため、マーラーは「9」という番号を嫌い、交響曲とはしませんでした。

スクリャービンの特徴的な作品『法悦の詩』が書かれたのも同時期です。

  • スクリャービン『法悦の詩』

管弦楽曲である『法悦の詩』は、神秘主義思想 (神智学) への傾倒が顕著で、神と人間との合一テーマになっています。ソナタ形式による単一楽章構成で、4 度の重積による神秘和音の多用など、スクリャービンの個性が際立った作品です。

神秘和音は、スクリャービンによって用いられた特徴的な和音で、たとえば「ド」を根音にした場合、「ド – ファ♯ – シ♭ – ミ – ラ – レ」となります。

そのほか、ベルクの次の以下の作品も、1908 年です。

  • 『ピアノ・ソナタ』作品 1
  • 『パッサカリア』(管弦楽のための)
  • 『小船に乗って逃れよ』(ア・カッペラ合唱のための)
  • 『5 つの歌曲』

また、バルトークによる

  • 『ヴァイオリン協奏曲第1番』
  • 『バガテル』
  • 『弦楽四重奏曲第1番』

も 1908 年の作品。

ラヴェルは、

  • 『夜のガスパール』
  • 『スペイン狂詩曲』

を作曲しました。

1908 年のポピュラー音楽については、また後日追記します。


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