現在進行形のジャズと言うと、日本のリスナーからしてみると、やはりどこか、テン年代以降は、Robert Glasperとの距離感、あるいは、Kamasi Washingtonとの距離感という観点からなかなか逃れられないでいるのではないでしょうか。
特にやはり、今の日本で現在進行形ジャズを聴いていると、どうしても、「グラスパー以降」というタームが頭にチラついてしまいます。同時に、ジャズの新譜情報を目にする度に、「「グラスパー以降」以降」への強い期待を常に抱いてしまいます。『Black Radio』はもう何年も前です。もちろん、本当に新しくて素晴らしい音楽がそうそう出現しないことは承知しています。
長年、コラボ作品を発表してきたCarlos Niño と Miguel Atwood-Ferguson による新譜『Chicago Wave』は、2人の過去作の延長線上にありながら、ジャズの新しい形のうちの1つを指し示しているのではないでしょうか。Glasper 未前へ先祖帰りは決してしない形で。ジャズにおける新しさと言うのは非常に難しく、新規的な表現を追求しても、相当うまくやらなければ、フリージャズのゾンビを蘇らせるだけになってしまいます。
『Chicago Wave』にゾンビや先祖の影は見当たりません。何か、新しく、明るい音楽がただ存在しています。身を委ねればいいだけの… アンビエント・ジャズとでも形容していいよな。
アルバム情報
- タイトル:『Chicago Waves』
- アーティスト:
- リリース: 2020年6月26日
トラックリスト
- Part I
- Part II
- Part III
- Part IV
- Part V
- Part VI
- Part VII
- Part VIII – Chicago Waves
- Parts I-IV (continuous)
- Parts V-VIII (continuous)
こういった音楽性が主流になることはないと思いますが、新しいジャズの可能性の1つとして、充分に魅力のある音楽性だと思います。