アナログレコードは音楽ファン ( ) の所有欲を満たすためのモノじゃないよ

アナログレコードは音楽ファン ( ) の所有欲を満たすためのじゃないよ

月並みな枕で始めますけれども, 今年に入って, いよいよ日本でも音楽の消費の仕方が変わるのではないか, という話題が盛り上がっています. AppleMusic とか, LINE とか, AWA とか.

定額配信ってヤツですね. 定額ストリーミングサービスでもいいと思いますが, なんか知らない間にぜんぜん違う横文字になっていて, サブスなんとかかんとか, みたいな. 覚えられんわ! みたいな. 個人的には, Spotify なんで日本で聴けるようにならんかったんや, ていうか Tidal 聴けるようにしろや, いま 21 世紀やぞ, ていうのが正直なところで.

日本で今年に入って鳴り物入りでスタートした定額配信については, どのサービスもミスチルを配信していない時点で, どの層にアピールしたいのかが不明. そういうライトな層を取り込みたかったんちゃうん? ぜんぶオルゴールやん. てなって, なんか「音楽はプラスチックの箱から解放されるときがきた」的なうろ覚えですけれども, そういうブログ記事なんかが読まれていたりしているようで, いやー, 音楽はプラスチックの箱から解放された代わりにオルゴール箱に閉じ込められたんじゃないのか,

「どうやら, 「ようやく音楽が「プラスチック製の円盤」から解き放たれ」た結果, こんどはオルゴールの箱に閉じ込められてしまったらしい

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( https://twitter.com/yzxng/status/616021460075724800 )

誰も聴かないでしょ, キュウソネコカミのオルゴールバージョンなんて. てほくそ笑んでたりしていて, 案の定, いや, 予想外に, LINE MUSIC 無料期間終了に対するシビアな意見がでつつ.

それで, ちょっとずつ本題に入っていくんですが, こういう音楽というか「楽曲の消費の仕方」のツールが変化している, そういう状況も踏まえたうえでの web インタビュー記事を読みまして. 1 つが初音ミクの生みの親の人, もう 1 つがライムスターの人. 両者とも, 定額配信っていう今年からいよいよ本格的に話題になっている楽曲消費手段について言及していて, まあ, どう発言しても現場で第一線で活躍していらっしゃる方の意見なんであがめたてまつられるんでしょうけど,

1 つだけ, それは絶対に違う. ていうのがあったんで, そこはちゃんと言っておきたいな, ていう. それはこの点なんですけれども.

「所有する喜びはあったわけです。CDなりレコードなりを買ってくるという。その行為がなくなっちゃうのは寂しいかなと思ってるんですよね。」(
RHYMESTERインタビュー:サブスクリプションによって“超過渡期”にある「ポップミュージック」の今、新作に込めたメッセージとは? )

「この時代に、なぜかレコードが売れていたり、DLカードにカセットテープが付いて売られていたりしますよね? この場合、楽曲自体はDLするから、カセットテープは音楽を示すアイコンにしか過ぎないわけですが、ジャケットを伴ったレコードとか四角い形を持ったカセットテープとか、モノに対する欲求が今なお少なからずあることを示していると言えないでしょうか」( 初音ミク生みの親が語る、定額ストリーミングの先にある世界~カギを握るのは「共感を呼ぶストーリー」だ【特集:音楽とITと私】 )

ギズモードの方はインタビュアーの方の発言なんですが. 両者ともね, 面白いのが, ていうかほとんどこういう系のインタビューや web 記事に共通して書かれていることなんですけれども, わたしが目を通した限り. アナログレコードとか, カセットテープとか, あるいは CD もなんですけど, 「所有欲」で済まされてしまっている. 所有欲の問題なんだと. いま現在, スマホを開けば YouTube で楽曲を聴けるのに, 一方で海外でアナログレコードの売上枚数が伸びていたり,

インディーレーベルがカセットテープを流通させたりしているんだけど,

( てかいまよく思い出すと, 00 年代初頭くらいまでに DJ 文化にコミットした人にとって, レコードとかカセットってふつーだったし, 高速道路の PA には演歌のカセットテープ売ってたし, むしろレコードとかカセットが ( その誕生以来 ) 注目されなかった時期の方が短いんじゃないの …,  もしかして … ) それは「モノ」としての「所有欲」を満たしたいというニーズに応えているのだ, ストリーミングやダウンロードでは満たすことのできない所有欲を, アナログレコードやカセットテープ, そして CD は満たしてくれる, と. まずここで「モノ」ってなんやねん, て話なんですが ( 笑 )

いやいやいや, 待ってください, となるわけですよ. それ違うんじゃないか, って. だって音楽ですよ ?  音楽って音と音の組み合わせを楽しむものですよね ( いやそこは語源的にちゃうやろみたいなのはとりあえずほっといて ) ? ていうことはですよ, ていうことはですよとかいう前に当たり前の当たり前なんですけど, 同じ楽曲でも, ストリーミングで聴くのと, ダウンロードで聴くのと, CD で聴くのと, カセットテープで聴くのと, アナログレコードで聴くのと…, ぜんぜん違うわけですよ. もちろん, アンプやスピーカー, 部屋, 気候などなどによっても異なってくるわけですけれども, アナログレコードで聴く場合は針によっても違うんですが, そういう細かいところはいったん置いといて. 何が言いたいかというと結局, アナログレコードで買う人は, デカいジャケットを所有することの満足を得るために買うのではなくて, アナログレコードの音質が好きだから買うんですよ.

アナログレコードを買う人は, 所有欲を満たすために買うのではない. アナログレコードの音質が好きだから買うんですよ.

カセットテープもそうだし, もしかして CD を買っている人のなかにもいるかもしれません. いや少なくともわたしはそうですよ. iPhone で, 全くアナログレコードと全く同じの音質の楽曲を再生することができれば, もう即アナログなんてかうのやめますよ. だって邪魔だし, 不便だし.

でもね, 同じ楽曲で, アナログレコードで聴けるんなら, そりゃアナログレコードを買いますよ. だって好きなんだもの. そっちの方が ( 音質が「いい」「悪い」じゃないです. 単に好きか嫌いかの話です. あとわたしは別に音質厨みたいなオーマニみたいなのでもありません ) .

そこを見逃してると思います. 最近の, 定額配信本格化したけど, フィジカル媒体どうなる ? みたいな話って.

定額配信がおそらく今後主流になって, わたしもいまほとんどダウンロードかストリーミングかでしか楽曲を聴いてなくて, 楽曲販売商売どうなる, 的な, そっから音楽の消費スタイルどうなる, 的な, そういうでっかい話につながりますし, その点についてはまた, 2, 3 思うことがあって, また酔っ払ったら書こうと思いますが, 「それ」でしか聴けない音がある. CD  でしか, カセットテープでしか, アナログレコードでしか聴けない音がある. ここにもっと消費者生産者問わず音楽愛好家全体が注目すれば, いまよりもっと音楽を楽しむ幅が広がる. もっと楽しくなるんじゃないでしょうか.


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