音楽は何を表現するのか

音楽は表現なのだけれども、では何を表現するのか、という問題があります。

例えば、個人的にはさっと思い付くのは 感 情 とか 気 持 ち です。

ただ、音楽家のインタビューなんかを読んでみると「まず風景が思い浮かんで」「その風景を音楽にする」みたいな発言もちょいちょい見かけます。この場合は、一般的に言って、心の内面だけではなく、心に関係した心以外の世界を表現しようとしていると言えるでしょう(いや、そう言うと、感情だってあんた、心の外面と関係しているし、うんぬんという反論が出てきますが、とりあえず脇においておきます)。

また、もっと言うと、 感 情 とか 風 景 だけではなくて、例えば、数学を音楽にするとか、思想を音楽にするとか、そういうことは可能なのでしょうか、といった問題もあるでしょう。たまに「数学を音楽にしてみた」とか、「この音楽はこういった思想を表現している」といった音楽作品を見聞きすることがありますが、しかし、こういった前情報なしにその音楽を聴いた場合、 数 学 とか 思 想 とかいったものを、その音楽作品から聴き取ることはできるのでしょうか。

こういった、音楽における表現について、田村和紀夫『音楽とは何か ミューズの扉を開く七つの鍵』には、次のような説明があります。

「よく言われるように、「音楽は歌詞の世界を表す」のではなく、「歌詞が音楽を説明する」のです」

「音楽の描写力はやはり不確定なのであり、「それが何であるか」を示すには、言葉を必要とする、ということです」(田村和紀夫(2012) 『音楽とは何か ミューズの扉を開く七つの鍵』講談社p. 77)

断言してますね(笑) 引用したのは「第三章 音楽は表現である」からで、この章の最後には、「音楽の描写力」が「不確定」であることにこそ、音楽の最大の魅力がある、みたいなことが結論づけられるのですが、音楽作品の無限の可能性みたいなのを信じている方々にとってみては、なんじゃそりゃ、という印象です。

なお、前述の、「前情報なしにその音楽を聴いた場合、 数 学 とか 思 想 とかいったものを、その音楽作品から聴き取ることはできるのでしょうか」という私の疑問ですが、これに対しては、次の部分を引用することで、回答になるかと思います。

「歌詞はちょうど標題音楽のプログラムのような役割を果たします」(同書 同ページ)

またも断言されました(笑) 数学とか思想とか、いわゆる抽象的なものは、音楽作品だけでは読み取ることはできない、「標題音楽」で言えば「プログラム」があって初めて、それが数学とか思想を表していると分かる。ということでしょうか。

 


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