先日, 「「音楽の良さ」は分からないけど, 誤魔化して納得する方法はある」という記事を投稿して,
これに関連したジャズ史を聴くためにはどういう文献がいいのか, ていう記事も公開しましたが,
その続きとして, ロック史を聴くための文献の個人的なセレクトです. 個人的セレクトうんぬんとかいう言い訳は, うえの 2 つの記事を読んでいただければと思います.
ジャズに比べると少ないですが, もともとわたしはロック少年でしたので, ロッキングオンとかスヌーザーとか, あと, まあ, 忘れましたけどクロスビートとかですかね? そういう雑誌の特集から, ロック史をかいつまんで聴いてきた, というのがありますので, 改めて書籍で, ていうのがあんまりなかった, ていう理由があります.
はじめてのロック史のためにオススメの書籍
ではさっそく紹介します.
- キャサリン・チャールトン『ロック・ミュージックの歴史 ( 上 )』『 ( 下 )』( 音楽之友社, 1997 )
翻訳出版時, アメリカで実際に使用されていたロック史の教科書. これが非常によくまとまっていて,よくある歌詞の分析や社会・政治的な関連? 思想? みたいなのとのつながりで語るに終わらず, けっこうしっかり楽曲の分析もされています. 90 年代初頭のオルタナまでのロック史を聴くには, この上・下 2 冊が最適かもしれません.
- 広田寛治『ロック・クロニクル: 現代史のなかのロックンロール』( 河出書房新社, 2012 )
こちらは社会や政治的な文脈におけるロックの役割みたいなヤツ. 1952 年から, 1 年ずつ, 1 枚以上その年の代表作が紹介されていて, ロック史とディスクガイドの中間のような形式です. 少しでも音楽的な分析がほしい方には物足りないかもしれませんが, 単に時系列的に並べられたディスクガイドとして使用するなら, 問題ないと思います. 2011 年のロックの歴史まで載ってますので, けっこう新しいとこまで聴けます.
- 福屋 利信『ロックンロールからロックへ: その文化変容の軌跡』( 近代文藝社, 2012 )
あんまりロックと社会がどうとかそういうのは興味ないんですが, これを買った理由としては, 広田2012 と間違ってポチった, ていう. あまり時系列順になってないし, ただ「聴く」という目的には適していません.
ということで, ロックに限ればコレだけです. しかもオススメできるのが 3 冊, そのうち 2 冊は同じ書籍の上・下巻なので, 実質 2 冊, みたいなことになっているんですが, それでは寂しいので,ロック以外にもポップスの歴史もざっくりわかる文献をあと 3 冊ほどご紹介します.
- ジュリア・ウィンターソン『ヒット曲でわかる! ROCK&POPの音楽理論 コンパクト・ガイド』( 音楽之友社, 2015 )
ちょっとこれも間違って買ってしまった感があるんですが, もうちょっと楽曲ごとの深い分析みたいなのがあるのかと思ったら, すごく初歩的な音楽理論と, それに関する曲例, という内容です. 第 9 章に, ポピュラー音楽史が非常にコンパクトにまとめられています. ポップス, ジャズ, ロックだけでなく, ラップやハウス, そして最近ではグライム ( ! ) まで紹介されています. あ, なんかスゴいオススメの本に思えてきた.
- 大和田俊之『アメリカ音楽史: ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』( 講談社選書メチエ, 2011 )
著者は文学研究者で, 主に, 音楽と社会, 音楽と政治的な, そういう内容です. ロック史, ポピュラー音楽史を聴くための作品ガイド兼歴史, という目的には適さないかもしれません. が, アメリカのポピュラー音楽史みたいなのをざっくり知るためにはいいかもしれません. ただ, ちょっとそれはどうなの,みたいなのけっこうありますね … モードジャズの説明とか, ラップの説明とか.
- 林 浩平『ブリティッシュ・ロック: 思想・魂・哲学』( 講談社選書メチエ, 2013 )
これは, UK ロックの歴史をまとめている章がなかなかコンパクトで分かりやすい, という以外は, ぜんぶ笑いながら読めばイイと思います. ギャグですね, 完全に.
もっとこういういい本があるよ! という方は, 教えていただけるとさいわいです.