2013年のプレイリスト、アルバム編 —ポスト「アルバム」時代にアルバムを出す意義—

確か、《海の Yeah!!》が出た頃のインタビューだったと思うんですけど、桑田佳祐が、「もうオリジナル・アルバムは関心がない」みたいな、そういう話をしてて。

その頃はまだまだ「アルバム信者」、アルバムこそ全てだ、と思ってたんで、その発言に全く共感できてなかったんですけど。で、そっから10年以上経って、わたしも音楽を発表する形式のそもそも多様なことをちょっとは知って、で、技術の変化とともに、CD ていうのがどんどん重要でないものになっていって。そういった中で、「アルバム」ていうものの「取るに足らなさ」みたいなのも、理解はできてきて、要するに、特定の時代の特定に地域の、商品流通と技術の制約に沿った音楽の経験形式のうちの一つ、みたいな。そういうのが分かってきてはいたんですが、でも何となくやっぱりその、初めて買った CD がアルバムだった、てのももしかしたらあったかもしれないんですが、アルバムってのにどっか執着しているところがあって。あったんですけど、もう、今年は本当に、それすらなくなってしまいましたね。遂に。アルバム、むしろダサいぞ、と。アルバムっていう形式、むしろカッコよくないぞ、と。ようやくか、という感じなんですが。

で、逆に「アルバム」ていう形式が、逆にちょっとまた愛おしくなったりですね(笑)  こんーな自由に録音音楽を発表することのできる現代において、わざわざアルバムを作る、ていう、そのことが逆にちょっとかっこいいかも、なんて思ったりするわけですよ。で、多分もう、来年からはこうしてアルバム・ランキングみたいなのを自分で作る、てのもないと思うんですけど。初めて『snoozer』を手にしたその年から、毎年、個人サイトとかブログとか mixi とかで書いてきたんですが(笑)  まあ、自分のなかで、こういうのがカッコいいアルバムだ、ていう理想像みたいなのがあって、それに近いような、そういうのを基準に選んだ、て感じですかね。今回は。新しさとか、話題とか、流行った、とかじゃなくて。そもそももう、新しいのはそんーな追いかけてませんし。

えー、話があっちこっちしてますけど、要するに(要されないかもしれませんが)、この2013年において、わざわざ「オリジナル・アルバム」を発表することの一周回ったカッコよさと、あと、そのわざわざ出した「オリジナル・アルバム」がどれだけ自分にとっての理想のアルバムに近いか、みたいな。そういうのを考えながら選びました。

「理想のアルバム」というのもまた曲者で、人それぞれだと思うんですけど。まあ、自分としてはあれですね、やっぱ、音楽を意識的に聴き始めたくらいに聴いた、ミスチルの《DISCOVERY》、これが1つの基準ですね。

アルバムの中間に核になる楽曲が1つあって、1曲目は割と大人しい感じで、2曲目盛り上がって、最後の2曲はスローテンポの壮大なの、みたいな。バランスいい、みたいな。

まあ、これはほんの一例で、いままで聴いたなかでいちばん好きなアルバムとかは、また別なんですが。

とにかく、「わざわざ作られたアルバム」、ていうのが、今年のランク基準です。

あ、あとはオルタナ、あるいはグランジみたいな。個人的に盛り上がったジャンルですね。その辺、今年っぽかったです、自分の中で。自分の中で。ちょっとエラそうな言い方すれば、こう、ゼロ年代からずーっと続いてる80年代をアップグレードしたエレクトロとかEDMとかそういうのがもうそろそろ飽きられてきて、改めてギター一本、みたいな。そういうのがそろそろ来るんちゃうかな、若い人にも。みたいな。そういうのを感じましたね。というか King Krule だけですが、それいうと(笑)  ただ彼はもちろん、そんーなオルタナ、て感じしなくて、アルバムの1曲目以外は。Colleen Green なんかは、モロにオルタナというかグランジでびっくりしたんですが。あと Daft Punk ね。今でこそ、《Human After All》がゼロ年代的なエレクトロとか、そっから行き着いた先の最近のシンセぎゃんぎゃん鳴ってるやつのブレイクスルーの1つみたいな言われ方しますが (その前にエレクトロ・クラッシュ【Wikipedia】ていうのもあったんですが。あと全くいまの話題と関係ないけど、Alter Ego 〈Rocker〉て、いまの人が聴くとどう思うんだろう、て思ったり)、まさかのね、新譜は生音がしっかり鳴ってる。すんごい良い音。それから Eminem、まさかのオールドスクールっぽい感じ、あとは、て、もうほとんどオルタナ関係なくなったけど、新興ヒップホップ・レーベル、Pro Era の中心人物の1人、 Joey Bada$$ とかも、どれくらいかな、90年代っぽいというか、しっかり生音っぽいサンプリングのトラックだったりして。

そういうのがけっこう、耳に入ってきましたね。まあ、ぶっちゃけシンセをギンギン鳴らして、ボーカルにオートチューンかけて、コンプで潰して、みたいなの、ていうのがもともとあんま好きじゃないんですよね(笑)、テクノ大好きですけど、やっぱどちらかというと生音系のサンプルとか、ビートだけみたいなのが好きですし。

そういう、個人的なところ、で言えば、けっこう、自分にとってうれしい音楽に出会えたかな、というのはあります。しかも若い人ので。

そんなん、お前の聴いたなかで、たまたま何か好きなのが印象に残っただけだろwwwww」とか、「シーン全体とか、そういうの関係ないだろwwwwww」とか、そういう意見がありそうですが、まあ、わたしも確かに、そんーな新譜を逐一チェックしているわけではないので、結果的にはそうかもしれないんですけれども。ただ、「そんーな新譜を逐一チェックしているわけではない」わたしに、オルタナっぽいのとか、ヒップホップで言えば90年代っぽいのとか、そいうのが聴こえてきたのって、けっこうもしかしてこれからそういう感じになるんじゃないか、みたいな。そういう期待があってもいいじゃないですか!

で、もう1つ最後に、ランキングにいく前に、やっぱ洋楽。洋楽はスゴいな、と、改めて思ったというか。まあ、その、メジャーの、売れてるところで。日本の売れてるにと、洋楽で売れてるの比べたら、洋楽で売れてるやつの方がずーっとジャンル幅広いし、エッヂなのあるし。例えば、Eminem 〈Berzerk〉とか、メジャーで日本であんなんできませんよね。できても売れないでしょ。それがやれちゃう、まあ、日本には日本の良さ、てのがあると思うんですけど、改めて、洋楽スゴいな、と思いましたね。

では、ランキングです。今年は昇順じゃなくて降順でいきます! 構成としては、「No. 20〜11」、そっから「次点」、「圏外」、そんで「No. 10〜1」みたいな感じです。ホントは1作品毎にコメントをつけたくて、実際つけてたんですけど、ちょっとキリないな、という感じなんで、「圏外」と「No. 5〜 6」はガッツリ書いて、それ以外はまとめて。ていう、そういう感じです。ではでは、いきます!

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2013年のプレイリスト、アルバム編、No. 20 〜 11

20. V.A.《TVアニメ「たまこまーけっと」キャラクターソングアルバム twinkle ride CD》
19. V.A.《YURUYURI♪1st.Series Best Album ゆるゆりずむ♪》
18. Nightmare Air《High In The Lasers》
17. V.A.《ゆるゆりのうたあるばむ2》
16. Eminem《Marshall Mathers LP 2》
15. M.I.A.《MATANGI》
14. King Krule《6 Feet Beneath the Moon》
13. Daft Punk《Random Access Memories》
12.V.A.《TVアニメ「きんいろモザイク」サウンドブック いつまでも一緒だよ。》
11. V.A.《きんいろモザイク サウンドブック はじめまして よろしくね。》

えー、この、「No. 20〜16」と、「No. 15〜11」ではまた、カベがあるんですが。先ず、『たまこマ』のキャラソンなんですが。

何か、こう、後でまた書きますけど、キャラソンの良さ、てのと、音楽的な良さ、てやっぱ別で、音楽的な良さで言えばかなりかっこよくて、あんこちゃんのキャラソンとか分かりやすく、最近(?)自分がよく Twitter とかサンクラとかで目にするようになったチップ・チューンをポップに・萌えに昇華した、すんごいカッコいいトラックだと思うんですけど…、

あんこちゃんはそんな楽曲好きじゃないはずだろ! みたいな(笑) そういうのがあってですね。微妙でしたね。史織さんのキャラソンはすんーごい良かったです! これについてはまた別途書こうかな、と思ってます。

『ゆるゆり』関連の CD は、先ず、《〜ゆるゆりずむ♪》は、コレこそ「カネ返せ」というか(笑) 確かに、全部のキャラソンをシングルで揃えたらそれくらいの値段以上にはいきますけど、初回限定の話ですけど、たった1曲ついてるだけでそんーな値段違うのかと(笑) でも、その1曲がまた、いいんですよね…。イイジマケンの作ってる曲って、たまに、ルーツがしっかりしててはっとさせられるのがたまにあるんですけど、今回、〈じゃんぷ!〉はパンクですよ、コレ。

The Clash のカバーした、〈I Fought The Law〉と、ラモーンズの〈Blitzkrieg Bop〉が2次元で融合して、萌え声によって無味無臭にされたみたいな(笑) 逆に匂って仕方ないみたいな(笑) そういう、スゴい楽曲です。《ゆるゆるりのうた 2》の方は、生徒会も含めた主要キャスト全員集合の〈え~る♪ ゆるゆりライブすたぁ~ず!〉もいいんですけど、聴いてると、ごらく部とカラオケに行ったような疑似体験が出来る、ていう。特にボーナストラックな! この、配信全盛期にボーナストラックっていうのもビックリですが!

そんで、Nightmare Air。コレは、この記事の枕にも書きましたけど、グランジとか、オルタナとか、そういう感じですね。ウィスパーな女性 Vo. と、声を張った男性 Vo. のツインで、ちょっと日本っぽい、凛として時雨みたいな感じ、かなあ、と思ったんですけど、凛として時雨、聴いたことないんですけど。いや、いま聴いたら全然似てないですね、すみません(笑)

で、Eminem は、シングルの〈Berzerk〉、この記事の枕にも書いたんですけど、めっっっっっちゃカッコよくて、アルバムも期待して、予想通り相当ヤバかった、「2013年に敢てこの音鳴らすかな!?」て感じだったんですけど、長い(笑)

M.I.A は、中東っぽい(?)あんまこう、聴こえてこない旋律が印象的だったんですが、前作の、〈Born Free〉の方が好き過ぎて、ちょっとちょっと、ていう。

King Krule! リード・シングル、〈Easy Easy〉はかなーりカッコよくてドストライクだった。んだけど、アルバムは、まあ、普通だった(笑) 特に4曲目以降は、まあ、よくあるよね、こういうの、みたいな。良い意味でも悪い意味でも、「そもそも物心ついた頃から、「何でも聴く」「ジャンルレス」な環境だった」、多様すぎるルーツから「好き/嫌い」で、センスでぐんぐん選ぶことを強いられた世代のアルバムなんじゃないかな、と。この辺、ハマるとすんごい面白いんですけど、ハマらなかったらフツーみたいな。聴き手の「好き/嫌い」にも左右される、シビアな世代だと思います。カネも払わないし(笑)

えー、カネのことはどうでもいいとして(笑)、Daft Punk! 良いですよね、この記事の枕にも書きましたが、今でこそ、エレクトロとか、そういうシンセをぎゃんぎゃん鳴らすようなトラック作りの源流の一つ、みたいな祭り上げられ方をされたりしますが、今作、生音。がすんごい大々的にフィーチャーされてて、音質もすんごい聴きやすい。老害に(笑) メロディもシンプルだし。《Human After All》がそうだったように、こういう感じの音作り、これからどんどん流行っていくと思います(というか流行ってほしい。頼む)。で、

あとの2作はアニメ『きんいろモザイク』のサントラなんですが。《はじめましてよろしくね》の方は、アニメ1話目の、あのほとんど伝説的な超・良い話の劇伴、あと最後2曲のキャラソンの狂気具合(笑) 《いつまでもいっしょだよ》は、最後の、〈忍の創作劇〉ですね(笑) まさかコレが収録されてるとは思わなかった(笑)

と、言うことで、大急ぎでコメントしたんですが、続いて、次点。次点にいきたいと思います。

次点

  • 豊崎愛生《Loveletters》
  • 悠木碧《メリバ》

えー、声優さんの「2nd アルバム」が2枚並びましたが。後で、後で「圏外」のときにまた改めて書きますけど、声優さんのアルバムについての私の考えを。先ず、あいなまさんの方は、処女膜から声が出てないいま、一体どんな声を聴かせてくれるのか、しかも Rie fu 、つじあやの、安藤裕子、クラムボンみたいな、豪華な作曲提供のなかで…! ということで期待して聴いたんですが。端的に言えば、「豊崎愛生」の名前がジャマというか(笑) 豊崎愛生の名前がついてなかったら、すんーごい自分好みの、何の変哲もない、普通の、無味無臭の、単にポップな、生音主体の、Afternoon Tea とか行ってそうな女が歌ってそうな、そういうアルバム。で良いんですけど、

でも、どうしても、豊崎愛生の名前が出てきてしまうんですよね。そんで、豊崎愛生はこんな歌い方なのか、俺の知ってる豊崎愛生はあくまで平沢唯だ! とか、池田千鶴だ! じゃなかった、池田千歳だ! とか、お前の自然体なんて誰も聴きたくないんじゃ! みたいな、「相変わらずアニヲタきもいな」て思われて当然な、そういうのがこみ上げてくるんですよね。それが何とも。ジャマ。

で、悠木碧の方は、あんま、まあ、声かわいいなあ、くらいですかね(笑) 〈ポポン…ポン!〉の PV とか、なんか飼い猫の体内をイメージしたセットみたいなんですが、のどちんこゆらゆらしてたり、ピンクでひだひだだったりで、体内というか「胎内」なんちゃうん、そんでタイトルが〈ポポン…ポン!〉でしょ? 完全に「妊娠」「出産」願望を隠しきれてないですよね、ただね、鹿目まどかはそうじゃないだろ! みたいなですね、これもまた、「お前の好みでむちゃくちゃやな、」と言われるような感想をどうしても持ってしまう。あと、アルバムの構成的には、前回の方がカッコよかったですね。

2013年のプレイリスト、アルバム編、No. 10 〜 6

10. Diane Birch《Speak A Little Louder》【Amazon】
9. V.A.《20th》
8. V.A.《Cut Chemist Presents Funk Off Featuring Vox Populi! and Pacific 231》
7. Kanye West《Yeezus》
6. Razika《På vei hjem》

さて、「圏外」に行く前に、No. 10 〜 6 ですが。先ず、Diane Birch ! 前作ほどの名作感はないんですけど、前作の生音主体としたアレンジの面での雰囲気を踏襲しつつ、全体的にダンサンブルな雰囲気になってて、で、ちょいダブ的な音響処理もされつつ、そして歌声、全てを浄化するかのような、ゴスペル的な。そういう。良いです。待った甲斐がありました。何でコレを聴かないのか、お前ら、ていう。聴け! Diane Birch をいま直ぐ聴け!

No. 9 は、コレだけ書いてあっても何が何だか分からないと思うんですが(笑) 田中フミヤの主催するレーベル、とれまの20周年企画盤ですね。20周年企画盤とか言って、全部90年代の楽曲なんですが!なるほど、これは郷愁的な感じありますね。ミニマル聴いてノスタルジーに浸れる。初めての経験かもしれません。しかもちゃんと DJ ミックスされてるていう。しかもそのミックスのされ方もなんか古い! この PCDJ 全盛期に、ただ繋げただけ! ていう。いや、こういうのの方が安心して聴けるんですが。こう、この20年でいかに DTM が進化したか、DJ が進化したか、そういうのが分かりますね。歴史を記録したような、そういう、ドキュメンタリー的な意味合いもありますよね、多分、ないか、ないな(笑) 具体的には、いまどき、シンセをぎゃんぎゃん鳴らして、ていうのがフツーなんですけど、そういう感じじゃなくて、まあ、ぶっちゃしょぼい。「なんでコレ!?」ていう、「お前、よくコレを CD で、流通させようと思ったな!?」ていうくらい。こういうすっかすかの、ベース全然聴こえないみたいなミニマル、あと3年たったらリバイバル起こります(願望) あと何か全体的に雑ですよね、そしその雑さがいい。で、意味なくバイナルノイズ入ってるし。何か褒めてるのか褒めてないのかよく分からない感じですが、コレ、褒めてます。めっちゃいいです。人にはオススメしませんが。

で、Cut Chemist プレゼンツの V.A 盤。まだ物理媒体で入手できてなくて、Bandcamp からダウンロードしたやつしか聴けてないんですが、何ですか、コレは。安っぽいビートに割れんばかりのベース、ぐっちゃぐちゃなスクラッチ、全体的にノイジー! カオス! こういうの、大好きです。こう、パンクと DJ が融合したような、パンクとヒップホップかな? そういう、有り得ない雰囲気ですね。

カニエのニュー・アルバムは、ほうぼうのブログでも軒並み高評価で、私も例外なく。コレはいわゆるシンセをぎゃんぎゃん鳴らしてる系ですけど、カニエの鬼気迫るようなラップとか、声へのエフェクトとか、全体的にぶっきらぼうな感じが。たまりませんでした。

そしてRazika ! コレをオルタナでくくっちゃうと怒られそうですが、オルタナっぽい雰囲気を感じます。形式的には、ヘタウマ系ガールズ・スカ、て感じで、ものすんごい可愛い。たまにギターのノイズを印象的に音割れっぽくさせたりして、そういうダブ的アプローチとか、あと、ギターソロがないのもいい(笑)

はい、んじゃ、「圏外」行きます!

圏外

  • VA《TVアニメ「ゆゆ式」キャラクターソングアルバム いちげんめ!》

まあ、圏外にカネ返せ系のクソアルバムにランキングもなんもないんですが、コレはですね、今年、2013年、最もカネ返せと思ったアルバム、ベスト・オブ・カネ返せアルバムですね。キャラソンの評価って、非常に明確なんですよね。自分のなかのアニメの印象とか、それこそキャラクターの印象とか、そういうのと楽曲が合致してるかどうか。この点につきると思うんですよ。そんで、それプラス、キャラクター云々おいといてそもそも楽曲がカッコイイか、ていう。『ゆるゆり』のキャラソンのほとんどは、その両方を満たしてるんですよね。ただ、たーだー、この『ゆゆ式』のキャラソン集、楽曲は割と凝ってると思いますよ、リミクスを除くと。好きな感じではないですが(笑) でも、例えば、ゆずこはそんな楽曲は歌わないだろう、とか、ゆずこはそんな楽曲は聴かないだろう、イメージに合ってないやん! まあ、ゆずこのキャラソン、Aメロはいいとしよう、なんでサビがハードロックやねん。ちゃうやろ! とかね。まあ、制作者がなんかこう、「俺、スゴイだろ? 細かいだろ!?」みたいな、そういうのを延々と聴かされてる感じですね、本当にキャラのこと考えてるの? ていう。考えてるとは思うけど、そうじゃないだろ。ちゃうやろ、お前のトラック制作の技術は分かったよ、でもそうじゃないだろ、という、腹立たしさしかない! 音質も悪いし。 『ゆゆ式』、すんごいいいアニメだったし、マンガだし、何よりサントラ! サントラがめっっっっちゃくちゃいいんですよ、だから、だからこそ、何でキャラソンこんなんやねん、てのがデカい。リミクスもさぁ、何か一時期流行ったような J – POP のサイバートランスみたいなのあったりしてさ、ブチ壊しですよね。まあ、いいです。まあ、いいや、次、次いきましょう。

  • 花澤香菜《claire》

なんか、まあ、普通ですよね、なんかちょっと評価高かったりもしてますけど、何で? て感じですね。まあ、その、理想のね、「声優さんのアルバム」てのがあると思うんですけど、各々のなかに。声優さんが自分の名前でアルバムを出す、てなったときに、自分が演じてるアニメっぽい世界観みたいなものを打ち出すか、あるいは、何かこう、そういうの全然関係ない、アニメっぽさを漂白剤にかけて無臭にして、みたいな。わたしはそういうの、後者を「Afternoon Tea 化」した声優さんのアルバム、て言ってるんですけど。前者の理想は、自分が聴いた中では、悠木碧の《プティパ》で。悠木碧の《プティパ》はアニメっぽい雰囲気をそのまま声優さんの世界観に落とし込んだ素晴らしいアルバムだと思うんですが。で、後者の、「Afternoon Tea 化」した声優さんの理想のアルバムは豊崎愛生の 1st 。で、ですよ。満を持して発表された、本当に、花澤香菜のアルバム、て、正に「満を持して」、だと思うんですが、そのアルバム。何だコレはと。どっちなんだと。お前は、というか、制作陣は、花澤香菜の声優っぽい雰囲気を出したかったのか、「Afternoon Tea 化」したかったのか、どっちなんだい、と。まあ何ッとも中途半端な。1曲目のセリフとか、え、何ですかコレ、ウケ狙いにいってるの? 全ッ然面白くないよ、むしろちょっとスベってるよ、みたいな。まあ、そういう感じです。

と、毒づいたところで、箸にも棒にもかからなかった「真の圏外」

  • Atoms For Peace《AMOK》
  • Devendra Banhart 《MALA》
  • Priscilla Ahn《This Is Where We Are》
  • Dido《Girl Who Got Away》
  • Claris《Second Story》

AFPは、一応、惰性で買って、でもなんーか聴く気にならなくて今さっき聴いたんですけど、こういうのは飽きましたね、感しかない。いや、何年か前に聴いたフジのライブは最高でしたよ。2曲目以降寝てましたけど。デヴェンドラ、テン年代のトロピカリズモっぽい、そういう、嫌いな雰囲気じゃないんですけど、これももう飽きたというか、6曲目の後半にシンセ入ってダンスミュージックっぽい展開になるんですけど、練り切れてない感がパないですね。プリシラはやんなくていいことやってる気がする。Dido と Claris は、まあ、ふつう過ぎて全く言うことないですね。

ではでは、ようやく! ベスト 5 です!

5. μ’s《μ’s Best Album Best Live! collection》

アニメが始まる前までのベスト盤、ということで、あんま今年っぽさはないんですが、でもアニメがあったのは今年だし、やっぱ今年のアルバムに数え上げるべきというか。このベスト盤よりも、このベスト盤に収録されていない楽曲、アニメの OP、ED、劇中歌の方が好きだったりするんですけれども。そういうのを差し引いても、このアルバムは素晴らしいです。シングル曲を中心に、楽曲がやっぱりしっかりしてます。「あ、こういうところを参考にしたかったんだろうな」みたいなのが、割と分かる楽曲が多いというか。例えば、「もぎゅっとラブで接近中!」なんかは、EDM を1000倍くらいアニソンで希釈したような、とか。あとは、やっぱ、1 stシングルの《僕らのLIVE 君とのLIFE》ですね。この楽曲は、「こういうところを参考にしたかったんだろうな」ていう、ルーツ的な部分と、あとはその各々のルーツを楽曲の構成毎にぶっこんでいわば「キメラ」みたいに(「折衷」て言ってる人もいますが)、ていうのを確認して説明するために先ほど、Yotube の動画を観たんですけど、ヤバい、それどころではないぞ、と(笑) そんなんじゃないんですよ、μ’s の魅力は、アニメとか、楽曲とかもそうですけど、「声優」、9人の声優にそれぞれストーリーがあって、例えばわたしはことりちゃんの次に花陽ちゃんが好きなんですけど、その中の人はほとんど着エロまがいの DVD 出してるんだけど、そういう彼女がさいたまスーパーアリーナで歌うまで上り詰めたみたいな、そういうのが一気に押し寄せるのを聴き取れる、そういうアルバムです!

4. Joey Bada$$《Summer Knights》

今年に入って、Trap ていう、ヒップホップの亜ジャンルを知って、Trap て、自分の中では、聴いた感触だと、やっぱちょっとシンセぎゃんぎゃん鳴らして系で、面白いか面白くないかで言えば面白いし、ただ、好きか好きじゃないかで言えば非常に微妙、ていう(笑)、だから、あんーま積極的に聴こうとか、DJ でモノにしてやる! みたいなのを思えない。ダブステとかもそうなんですけど。積極的に聴こうとあんま思えなくて。カッコいいとは思うんですけど、他の人の DJ で充分。みたいな。で、そういう、Trap みたいなのが、やっぱ、日本でも流行ってるのかなあ、若い人の間では。て思ってて、オールドスクールな感じてもう、新しいのないのかなあ、若い人で。と、ちょっと寂しくなってたところに、コレですよ。〈Summer Knight〉に完全にヤられましたね。微妙にヨレてるビートにこれまた微妙にヨレてるエレピっぽい、しかもそのエレピっぽいのがまた、埃っぽい、ヴァイナルのノイズが良い感じにかかってるんですよ。こんーなスムースでスイートなトラック、久しく聴いてなかったな、ていう。ラップも甘〜い感じの低い声で。で、ビックリしたのが、Bada$$、19歳なんですよね、何だこの落ち着きは! しかもリリースしたレーベル、Pro Era もこの4年目くらいの、割と新興レーベルらしく。来年には Bada$$ の1st アルバムが出るみたいで、非常に楽しみです!(あ、コレはミックス CD で、アルバム、ていう体ではありません)

3. sakai asuka《ゆゆ式 オリジナルサウンドトラック Feeling good (nice) wind》

『ゆゆ式』関連の CD で、キャラソンと、OP と、あとコレがありまして、キャラソンについては先ほど申し上げました通りクソだった。で、OP 、OP 曲自体はいいんですけど、音質がクソ(リンク)。で、サントラ。このサントラ、めっっっちゃくちゃいいです。先ず、基本的に生演奏。アニメのサントラって、これを買ったのが初めてなんですけど、自分のイメージの中で、テキトーに打ち込みで、発現楽器だけ生演奏で、でもそれもアンプシュミレーションでやった、みたいな。そういうのがあったんですけど、そういうイメージをすべて覆されたというか。やっぱ、特筆すべきは、アニメ『ゆゆ式』でも印象的に使われてた、櫟井唯のテーマソング、〈TekiPaki (Yui’s Theme)〉、これがまたですね、ピアノのハネたような旋律とか、不完全な小節とか、そういう、そこまで変に聴こえないジャズ、みたいな感じで、とても良いです。全体的に良いですね、良いしか言ってないんですが(笑) あの、その、楽曲もいいんですけど、基本しっかりしてるんだけど、ちょっとところどころおかしいみたいな、そういう。そういう感じが、『ゆゆ式』に非常に合ってて。キャラソンなんかより、ずーっとこっちのほうが、『ゆゆ式』してましたね。いいサントラです。アニメのサントラ、てのを抜きにしても、良い感じに聴けます。

2. Colleen Green 《Sock It To Me》

奥田民生が徹底的に「古き良きロックの音の良さ」、非効率的なソロ・ロック、「そこまでやらんでもアルバム作れるよね…」「そこまでしてアルバム作りたかったんだ…」みたいなのを発表してしまったのと同じ年、この2013年に、Colleen Green はまた別のベクトルで、「え? 何でこのアルバムを作ったの!?」「CD で? え? 何で!?」みたいな、ゴミみたいなアルバムを出したんですが(笑) 何でいきなり奥田民生のハナシをしたのかと言うと、1位が奥田民生だからなんですが(笑) Colleen Green、このアルバムで初めて聴いたんですけど。めっちゃくちゃ自分好みですね。ゴミみたいな音質のギターに、鳴ってんのか鳴ってないのかよくわからんローが不自然にカットされたベースに、これまた全く加工されてないリズムマシーンの音そのまんまのビートみたいな、その上でブロンドのネエちゃんがダルそうに歌ってる、みたいな。「え? なんで? バンドキャンプで配信するだけでいいよね? これ。環境に悪いよ?」みたいなのが。まあ、グランジ、グランジなんですよ。ド直球のグランジ、正に自分が好きだった、あるいは、自分が探してて見つけられなかった理想のグランジ。てのがあった。しかもまだ20代前半てのがいいですよね。

1. 奥田民生《O. T. Come Home》

さて、長くなってしまいましたが、2013年、年間ベスト・アルバムの1位は。奥田民生です。この、年間ベストを選ぶ基準が今回なんなのか、というので、「2013年に「わざわざ」アルバムを作ることのカッコよさ」、と書きました。奥田民生のアルバムは正にそういう。奥田民生の活動からみて、ユニコーンやってるし、あとなんか地球三兄弟でしたっけ? そういうのもやったり、ツアーのバンドやったりとか、そういうののなかで、つまり、バンドバンドやってるなかで、じゃあ、ソロは? てなって、ソロのアルバムを作ろう、てなったとき、コレだった。1人で全部する。ドラムもベースも鍵盤も自分でする。インタビューなんか読むと、ドラムのチューニングはテクニカルサポートがいたみたいですが。クレジットにも書いてますけど。いやいや、それは前回の「ひとりカンタビーレ」もそうだっただろうと。でも前回のは、企画色強かったし、その、「スピード感」みたいな、そういうのが重視されてたから、作り込む、てところまではいってなかった。はず。で、今作ですよ。正直、あんーまこの4、5年くらいの、『Fantastic OT 7』くらいからの、ユニコーン再結成くらいからの、奥田民生ってあんまグッとこなくて、「自分もいろんな音楽を聴くようになったから、もう奥田民生に魅力を感じることってないのかなあ、」みたいなことを思ったりしてたんですが。今回は。今ッ回はドンピシャでしたね。何年か前のインタビューで、「自分の中でドラムとかのグルーヴがあって、それは他人には出せないから、自分でやりたいんだけど、自分でそのグルーヴ出せるくらいドラム上手くないし」みたいな、そういうのを読んだことがあるんですけど、ああ、ついに、このタイミングで、ついに実現されたのか、と。これが奥田民生か、これが全身ガチの奥田民生か、と。やっぱこう、ちょっとモタついてる感じですよね、例えば、イントロから A メロに入るときに、ちょっとどれかの楽器がモタついてる、んーだけど、だけぢ、そのモタつきが、たぁまらない! これはもうズレとかじゃなくて、「揺れ」。デジタルに「32分の1拍子だけズラす」とかじゃない、有機的なグルーヴ。てのが、全体を貫いている。あと、音質もめっっっちゃいい。いや、ロックに音質の良いも悪いもないんだけど、ちゃんと弾いてる、叩いてるのが分かる。音質が、録り音がそもそもいいから、大袈裟にリバーブかけたりとかも必要ない。全部の音が、そもそもシンプルな楽器編成なんだけど、それもシンプルで良くて、本当に良い意味で分離して聴こえるし、分離して聴こえるゆえにちゃんっと塊で聴こえる。

これがね、フツーだったんですよ(笑) で、ソロで、一人でやる利点て、効率性というか、1小節作ってそれループさせて切って貼って、みたいなのができるのがね、一人でやる利点だと思うんですけど、そんなん一切ない。正に、わざわざ、一人で全部演奏して作った、しかもフツーのオーソドックスなロックを。

ていうのが、年間ベスト・アルバムの理由ですかね。別にそれじれの楽曲はそんーなよくないんですけど(笑) ですので、純粋に音響の作品ですね。もうこういうの、奥田民生以外に作れないんじゃないですかね。スゴい。本当にスゴい「アルバム」です。


1. 奥田民生《OT Has Come Home》
2. Colleen Green 《Sock It To Me》
3. sakai asuka《ゆゆ式 オリジナルサウンドトラック Feeling good (nice) wind》
4. Joey Bada$$《Summer Knights》
5. μ’s《μ’s Best Album Best Live! collection》
6. Razika《På vei hjem》
7. Kanye West《Yeezus》
8. V.A.《Cut Chemist Presents Funk Off Featuring Vox Populi! and Pacific 231》
9. V.A.《20th》
10. Diane Birch《Speak A Little Louder》
11.V.A.《きんいろモザイク サウンドブック はじめまして よろしくね。》
12. V.A.《TVアニメ「きんいろモザイク」サウンドブック いつまでも一緒だよ。》
13. Daft Punk《Random Access Memories》
14. King Krule《6 Feet Beneath the Moon》
15. M.I.A.《MATANGI》
16. Eminem《Marshall Mathers LP 2》
17. V.A.《ゆるゆりのうたあるばむ2》
18. Nightmare Air《High In The Lasers》
19.  V.A.《YURUYURI♪1st.Series Best Album ゆるゆりずむ♪》
20.  V.A.《TVアニメ「たまこまーけっと」キャラクターソングアルバム twinkle ride CD》

はいー、ということで、かなーり駆け足でみてきましたが、さんざんいろいろ「アレがダメ、コレじゃダメ」とか言っておきながら、1位が奥田民生かよ! て感じではあるんですが、仕方ない。楽曲編、も近々アップします。楽曲編はもうコメントなしでガーッと挙げるだけ挙げる、みたいな感じで。

この記事の枕にも書いたんですが、たぶん、もう、「アルバム」ランキングみたいなのはしない、かなあ。繰り返しになりますけど、「アルバムの宣伝のためにシングル作る」みたいな、だから「何故このシングルはアルバムに収録されなかったのか」が批評メインになるような、そういう商業音楽とかポピュラー音楽の在り方って、これからどんどん縮小していくと思うし、何より、自分がいま聴いてる・出会ってる音楽っていうのが、そういう感じだし。見たら分かる通り、V.A. 盤とか、ミックス CD とか、ふつうなら「オリジナルアルバムのランキング」に入れないだろ、それ。みたいな、そういうのばかりですし。その辺についてはまた後日書こうと思いますが。逆によく、個人サイトとかブログとか mixi とかでここまでほとんど毎年やってきたな、と(笑)

んでは最後に、PC にログの残っている限りの、過去の年間ベスト1位のアルバムを挙げて終わりにかえさせていただきます。

  • 2012年 Of Monsters And Men《My Head Is An Animal》
  • 2011年 Matthew Herbert《One Pig》
  • 2010年 Corinne Bailey Rae《The Sea》
  • 2009年 Tyondai Braxton《Central Market》
  • 2008年 (記録なし)
  • 2007年 (記録なし)
  • 2006年 Cut Chemist《The Audience Is Listening》
  • 2005年 Prefuse 73《Surrounded by Silence》
  • 2004年 (記録なし)
  • 2003年 INDIVIDUAL ORCHESTRA《music from a view》
  • 2002年 山本精一《Crown Of Fuzzy Groove》
  • 2001年 Cornelius《Point》
  • 2000年 スーパーカー《Futurama》

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