【追悼 A$AP Yams】Yams が提示したテン年代のヒップホップの在り方、A$AP Mob の軌跡

A photo posted by PRETTY FLACKO (@asvpxrocky) on

本当はこういう特集は、ミクステやアルバムが発表されたタイミングでするもので、創設者の訃報のタイミングですることになるとは、本当に不本意です。わたしは彼らを去年知ったばかりのただのニワカなので、偉そうに語る口は持っていません。が、わずか26歳で亡くなった、若く偉大なヒップホップ・ビジネスマンにして A$AP Mob の創設者、A$AP Yams の功績を讃えるために、これまでの A$AP Mob の軌跡を振り返ることとします。


そもそもA$AP Mob を聞いたことがない方に簡単に説明すると。

A$AP Mob は、2007年、ニューヨークのハーレムで、メンバーである A$AP Yams、A$AP Bari、そして A$AP Illz によって結成された、ラッパーやプロデューサー、映像作家、ファッションデザイナーのなどによる音楽グループ。最も有力なメンバーは、A$AP Rocky でしょう。

彼らはニューヨークをベースに活躍しているラッパーで結成されていて、メンバーの名前をみれば分かる通り(たとえば、A$AP Rocky、A$AP FergA$AP TwelvyyA$AP NastA$AP Ant などなど)ほとんどのメンバーの活動名義に「A$AP」がついています(ただ、Jayz – Z 元マネージャーかつビジネス・パートナーであった、のDame Dash の甥もメンバーにいるんですが、彼だけは Da$h 名義で、A$AP がついていません)。 

レジデント・プロデューサーは、A$AP Ty Beats。A$AP Rocky のデビュー・シングル「Peso」をはじめ、メンバーの楽曲をプロデュースしています。

では、A$AP Mob のこれまでの活動を順番に振り返っていきましょう。

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結成から黎明期

2007年、のちに A$AP Yams として知られることとなる Steven Rodrigues が、友人の A$AP Bari 、A$AP Ills とともにニューヨークで A$AP Mob を結成します。A$AP Mob のなかでもっとも有力なメンバーである、ハーレム生まれの A$AP Rocky は、A$AP Bari の紹介でメンバーの一員に。2011年の夏、A$AP Rocky のシングル「Pesoと「Purple Swag」のミュージック・ビデオが Youtube で話題となり、注目を集めました。

A$AP Rocky はつづいて、同年10月にミックステープ、『Live. Love. ASAP』を発表。このミックステープは、評論家やファンから高い評価を得ます。

また、同じ10月に A$AP Rocky はソニー・ミュージック・エンターテイメントと300万ドルで契約。うち$170万ドルは彼のソロ作品の資金に、そして残りの¥130万ドルは、A$AP Yams が A&R とエグゼクティブ・プロデューサーであるレーベル、A$AP Worldwide の資金になりました。

この配分について A$AP Rocky は、彼自身および A$AP Mob のための「より大きなプラットフォーム」を得るためだ、と語っています。

同じ2011年には、デザイナーである A$AP Dom が、新たな挑戦と「自分自身の仕事」のために脱退。名義を Dominic Lord に変え、現在はソングライター、プロデューサーとして活躍しています。

ミックステープと、デビューアルバム

2012年8月、A$AP Mob としてのデビュー・プロジェクトであるミックステープ『Lords Never Worry』がフリーダウンロードでリリース。

9月から11月にかけては、A$AP Rocky が計40日にわたりアメリカ国内外でのツアー「LONGLIVEA$AP Tour」を行いました。オープニング・アクトとして、Schoolboy Q Danny Brown、そして A$AP Mob のメンバーが出演。

2013年1月には、A$AP Ferg が、メンバーとして2人目となるメジャー・レーベルとの契約を獲得。シングル「Work」を、iTunes で配信。

A$AP Rocky のデビュー・アルバム『Long. Live. A$AP』がリリースされたのも同年の1月。発売初週にアメリカで139,000ユニットの売上を記録しビルボードチャートで1位を記録し、評論家から幅広い支持を獲得しました



A$AP Ferg は、自身のソロ・デビュー・アルバム『Trap Lord』リリース後に、A$SAP Mob としてのデビュー・アルバムがリリースされるだろうとアナウンス。



後に A$AP Mob のアルバムは2013年10月にリリース予定と発表されました。が、これは延期になってしまいます。

同年7月には、メンバーの1人の Da$H が、Ab-SoulAction BronsonVince Staples、A$AP Ferg そして A$AP Nast をフィーチャーしたミックステープ『V.I.C.E.S.』をリリース。

8月には、A$AP Ferg がソロ・デビューアルバム『Trap Lord』をリリース。このアルバムはビルボード・チャートで最高9位、同 R&B・ヒップホップ・チャートで4位を記録。アメリカで初週に32,000ユニットを売り上げました。

11月には、A$AP Mob のデビュー・アルバムのタイトルは『Lord』になるだろうと、A$AP Rocky がアナウンス。12月に、リリース予定日は翌2014年の3月になるとアナウンスされました。

同じく12月、アルバムからの1stシングルとなる「Trillmatic」が、ミュージック・ビデオとともにリリース。Nas の『Illmatic』をタイトルの元ネタにしたこの楽曲は、A$AP Ty Beats プロデュース、A$AP Mob と Wu-Tang Clan から Method Man がフィーチャーされ、90年代ヒップホップを讃える内容になっています。

そののち、リリース予定のアルバムのタイトルが『L. O. R. D』に変更。2014年1月には、アルバムからの楽曲「See Me」が発表されました。

しかし2014年9月、A$AP Yams が『L. O. R. D』をボツにしたことを明らかにします。

2015年の1月18日、創設者であった A$AP Yams が他界しました。1月1日に A$AP Rocky が新曲「Lord Pretty Flacko Jodye 2 (LPFJ2)」を発表したばかりでした。

A$AP Yams のに R. I. P を表明するとともに、A$AP Mob のメンバーがいままで以上にすばらしいヒップホップをわたしたちに届けてくれることを信じてやみません。

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