音楽美学、音楽の哲学入門書ガイド (2013 年版)

本当は今年、このサイトで1ヶ月に1回くらいのペースで、新刊書を紹介していきたかったんですが、紹介するほど自分の関心のある分野の本が多くなく(笑)、来年は、4半期に1回くらいのペースで紹介していこうかなあ、と思ってます。どうなるかは分かりませんが。

で、このエントリーなんですが、全部2013年に出版された本、というわけではなく、2013年にわたしが買った・読んだ本のリストになってます。

この記事を書こうと思ったきっかけは、まあ、サイトがこういうタイトルなので、たまに「音楽 哲学」とかで検索かけてアクセスしてくれる人がいるんですけど、本当は、そういう記事をばんばん載せたいんですが、なかなか筆が進まず。そういう人のために、ちょろっと、日本語で読める本を紹介しておきたいな、と。

あと、自分のためのデータベースというか。個人的な「音楽と哲学」ていう問題との付き合いを申し上げますと。実は音楽学とか、音楽美学とかを読み始めたのは割と最近、ここ1、2年くらいでして。音楽学という言葉を知ったのも去年ですし、音楽美学と音楽の哲学との違いとか、そういうのを知ったのは今年なんで。ですので、あんーま去年とかは、音楽美学関連の文献は知らなくて、で、今年は、二次文献とか、解説書みたいなのをひたすら集めていた、資料収集していた、感じですね。で、もちろんその資料収集には、去年以前の本とかも含まれてます。それも今回、整理のついでにちょっとブログに書こうかな、と。来年以降は、まあ、大体、主な解説書は揃ったので、一次文献を(といってももちろん翻訳ですが(笑))をがりがり集めて読んでいきたいなあ、と思ってます。

ですので、ここまでお読みいただければお分かりになるかと思いますが、こんーなエラそうなブログのタイトルをつけておきながら、わたし、美学を専攻していたとか現に専攻しているとか、そういうわけじゃないです。完全にアマチュアです。哲学は専攻していましたが。ということですみません、タイトルはほとんど「釣り」です…!

なお、全部読めてるわけじゃないです。しっかり読んだのもあれば、さっと読んだもの、拾い読みしたもの、そして積ん読、ていう。あ、たまに買ってないのも含まれてるかもですが(笑) そういうのがいろいろ混ざってます。

ではでは、まず2013年に出版されたものから。

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2013年 出版(音楽学・美学・批評)

  • 福中冬子訳・解説『ニュー・ミュージコロジー  音楽作品を「読む」批評理論』(慶應義塾大学出版会)
  • ロバート・ステッカー『分析美学入門』(勁草書房)
  • 林浩平『ブリティッシュ・ロック 思想・魂・哲学』(講談社)
  • アタナシウス・キルヒャー『普遍音樂 調和と不調和の大いなる術』(工作舎)
  • ジャン・ジャック・ナティエ『レヴィ・ストロースと音楽』(アルテス・パブリッシング)
  • 近藤譲『聴く人』(アルテス・パブリッシング)

2013年 出版(音楽理論)

  • ルイージ・ケルビーニ『ケルビーニ 対位法とフーガ講座』(アルテス・パブリッシング)
  • アレン・キャドウォーラダー他『調性音楽のシェンカー分析』(音楽之友社)
  • 濱瀬元彦『チャーリー・パーカーの技法』(岩波書店)

2013年 出版(音楽の科学)

  • 伊東乾『なぜ猫は鏡を見ないか?―音楽と心の進化誌』(NHKブックス)

あれ? これは…、思ったより少ない(笑) もっと出版されてた気がしてるんですが(笑) ダメですね、これでは来年も定期的に紹介とかできません(笑) 新刊が出たらそれを紹介、みたいな感じで、不定期でします。買えてないので気になったのは、美学だと今道友信『音楽のカロノロジー 哲学的思索としての音楽美学』(日美学園)、理論書だとクヌート・イェッペセン『イェッペセン 対位法: パレストリーナ様式の歴史と実習』(音楽之友社)、小鍛冶邦隆 他『バッハ様式によるコラール技法: 課題集と60の範例付き』(音楽之友社)、音楽の科学だと、バーニー・クラウス『野生のオーケストラが聴こえる―― サウンドスケープ生態学と音楽の起源』(みすず書房)くらいですかね。また、「これ入ってないやんけ」みたいな、そういう、情報提供もお待ちしております。

面白かったのは、ステッカー『分析美学入門』と、濱瀬『チャーリー・パーカーの技法』ですね。こう書くと他のが面白くなかったみたいな感じですが、そういう意味じゃなくて、特に面白かった本です。『分析美学〜』は、音楽美学じゃなくて、音楽の哲学の方で参考になるか、日本語で読める最初の文献なんじゃないんでしょうか。多分。論文レベルではいろいろあると思いますが。濱瀬の方はまだ読んでるところです。こう、PC に向かって、MIDI で打ち込みながら(わたし、楽器があまり得意ではないので)、パーカーをちょっとずつ学んでいます(笑) 買ってはいけないのは、林『ブリティッシュ・ロック〜』です(笑)。

では続いて、2012年以前に出版の、買った・読んだもの。順番は割とテキトーです。

2012年以前 出版(美学)

  • ヘーゲル『美学講義(上)(中)(下)』(作品社、1995〜6)
  • ディルタイ『近代美学史 近代美学の三期と現代美学の課題』(岩波書店、1960)
  • ウーティッツ『美学史』(東京大学出版会、1979)
  • 渡邊二郎『芸術の哲学』(筑摩書房、1998)

2012年以前 出版(音楽美学)

  • 野村良雄『音楽美学』(音楽之友社、1971)
  • 国安洋一『音楽美学入門』(春秋社、1981)
  • ハンス・エッゲブレヒト他『音楽美学 新しいモデルを求めて』(勁草書房、1987)
  • ジャンケレヴィッチ『音楽と筆舌に尽くせないもの』(国文社、1991)

2012年以前 出版(音楽美学史)

  • 海老沢敏『音楽の思想 西洋音楽思想の流れ』(音楽之友社、1972)
  • 今道友信『精神と音楽の交響 西洋音楽美学の流れ』(音楽之友社、1997)
  • 三浦信一郎『西洋音楽思想の近代 西洋近代音楽思想の研究』(三元社、2005)
  • 神前尚生『音楽美学と一般思想史』(近代文藝社、2011)

2012年以前 出版(音楽理論)

  • ロバート・コーガン、ポッチィ・エスコット『ソニック・デザイン 音と音楽の特質』(朔北社、2009)
  • アレン・フォート『無調音楽の構造 ピッチクラス・セットの基本的な概念とその考察』(音楽之友社、2011)

2012年以前 出版(音楽史)

  • ウォレン・ドワイド・アレン『音楽史の哲学 1600-1960』(音楽之友社、1968)
  • キャサリン・チャールトン『ロック・ミュージックの歴史 スタイル&アーティスト(上)(下)』(音楽之友社、1996)
  • 中村とうよう『大衆音楽の真実』(ミュージック・マガジン、1985)
  • 石田一志『モダニズム変奏曲 東アジアの近代音楽史』(朔北社、2005)
  • 大和田俊之『アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』(講談社、2011)

2012年以前 出版(音楽の科学)

  • フィリップ・ボール『音楽の科学 音楽の何に魅せられるのか?』(河出書房新社、2011)
  • エレナ・マレス『音楽と人間と宇宙 世界の共鳴を科学する』(ヤマハミュージックメディア、2012)

2012年以前 出版(事典・辞書)

  • 竹内敏雄『美学事典』(弘文堂、1975)
  • 佐々木健一『美学辞典』(東京大学出版会、1995)
  • ウルリヒ・ミヒェルス『カラー図解音楽事典』(白水社、1989)
  • 『バッハ事典』(音楽之友社、1993)
  • ディビッド・コープ『現代音楽キーワード事典』(春秋社、2011)

体系的に揃えてたわけじゃなくて、もちろん参考文献をさかのぼって揃えてたのもありますが、古本屋でたまたま目が止まって買ったりとか、そういうのもあります。他に音楽関連で何か役に立つんじゃないかと思って記号論とかの本も読んだりとかしてたんですが、それは入れてません。

それで、この中から、「音楽 哲学 本」で検索かけて来ていただいた方に、とりあえず、音楽美学に関連した入門書を選ぶ、となると、

  • 野村良雄『音楽美学』(音楽之友社、1971)
  • 国安洋一『音楽美学入門』(春秋社、1981)
  • 海老沢敏『音楽の思想 西洋音楽思想の流れ』(音楽之友社、1972)
  • 今道友信『精神と音楽の交響 西洋音楽美学の流れ』(音楽之友社、1997)

になると思います。野村良雄と国安洋一のは、やっぱちょっと話題がクラシックよりになるんですが、日本語で入門となると、これがページ数も多くなく、古本でそんな値段もしないので、いいかと。海老沢敏と今道友信のは、西洋哲学をある程度知ってたら、めちゃくちゃ面白いです。知らなくても面白いと思います。ただでもやっぱ、「音楽を主題的に扱ったことのある哲学者」「音楽美学者」が中心ですので、例えば、カントとかライプニッツとか、ヴィトゲンシュタインとかみたいなのはない、つまり、音楽を主題的にあまり取り上げなかった哲学者の音楽への意見、みたいなのはないです。そういうのを扱った、「音楽と哲学史」みたいな本、ないですかね? あ、似たようなタイトルの、神前『音楽美学と一般思想史』、これはわたしでも分かるくらいめちゃくちゃですので、買ってはいけません(笑) 特に哲学の説明の方ね、学部生のノートレベル。あとは、やっぱ、手始めに、上のリストには入ってませんが、話のついでに、

  • 根岸一美、三浦信一郎(編)『音楽学を学ぶ人のために』(世界思想社、2004)

だと思います。念のためもう一度言っておきますが、わたしは音楽美学に関しては素人ですので(笑) 参考になるかどうかは知りません。

あと、音楽の哲学っていうのが、音楽美学とはまた別にあって、その変の区別とかは、また、もうちょい勉強してから、ブログに書こうかなと思ってるんですが。音楽の哲学に関しては、邦訳の文献はないんじゃないですかね、確か。今年翻訳が出版された『分析美学入門』に、一部載ってる、あとは、インターネットでちょいちょいブログとかで取り上げられてる。

上記のリンク先なんかを参考にすると、英語の文献の入門、といってもクソ分厚いですが、でしたら、Theodore Gracyk、Andrew Kania(編)『The Routledge Companion to Philosophy and Music』になるんでしょうか。というかこれ以外知りません。上記のリンク先を参考にして下さい。この『〜Philosophy and Music』、廉価版(と言っても5,000円くらいするんですが、)が今年出ましたので、ようやく私も入手しました。ちょいちょい読んでます。

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