こんなにも心をかき乱される: 映画『キリエのうた』(ネタバレあり感想)

映画『キリエのうた』を観て、その直後に書いています。

正直、なんと言っていいのか・・・。無理やり何かを言わなければいけないわけではないのですが。

いや、面白くなかったわけではなく、すごくですね、見応えのある映画だったと思います。

「キリエ」。

その意味だけ、映画を見終わった後に調べました。

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「キリエ」の意味

讃美歌が挿入歌として印象的だったのですが、そのなかのフレーズで聴こえてきたからですね。

「主よ、憐れみたまえ」。

そうか・・・。

物語が進むにつれて、だんだん、この物語は震災に関連することが明らかになります。

わたしは岩井俊二のファンで、それだけで観に来たので、前情報はキャストに関すること、あと小林武史が音楽を務めていることくらいしか知らなかったのですが。

劇中、先生役の黒木華が、少女時代のキリエを保護したあと、キリエのランドセルから見つけたぼろぼろの薬局の袋に書かれてあった市外局番を調べたシーンくらいから、「ああ、キリエは震災孤児だったのだな・・・」ということに気付きました。

そこから物語は一気に、現実味を帯びてくるのですが。

都会のファンタジー

最初は、どこかファンタジーめいた雰囲気がありました。

現代の、都会の、ファンタジー。

その裏に隠された、登場人物たちの背景が明らかにされていく・・・、というかたちで物語が進んでいく。

のですが、もちろん、最初は、少女時代のキリエがなぜ、一人でいるのか、ちょっと非現実的で、それから、広瀬すずの髪の色も。

ですので、物語の序盤は、けっこうファンタジーというか、非現実的な雰囲気があるな、と思ってたのですが、出自不明のキリエがどんどん、路上ライブで人を集めていって・・・。それが石巻の文字を見た瞬間、一気に物語が現実になりましたね。

震災孤児なのか。

東日本大震災がテーマなのか。

憐れみが深すぎる

そうなると、一気に、もうこれは悪い癖で、震災がテーマとなると、何かメッセージがありそうとか、身構えてしまうのですよね。

そうか、キリエの姉は津波に巻き込まれる、ということは、そういうシーンも出てくるのだな・・・。

と、ずっとそれから「身構えモード」で鑑賞してしまったのですが、観終わった後、キリエが「主よ、憐れみたまえ」という意味だと知ったとき、確かに、この映画は震災を描いているし、震災が大きな意味を持っていると思うのですが。

ただ、ここに描かれている「憐れみ」は、震災映画という括りでは収まりきらない、人間における根源的な憐れみなだったのだ、と。

で、すみません、松村北斗が SiXTones のメンバーだったと全然知らなかったのですが、「なっちゃん」役の松村北斗、最初は広瀬すずの家庭教師役ということで、どの程度物語に絡んでくるのか、端役なのではないか、と思っていたのですが。

もうがっつり、正直、私がいちばん感情移入してしまったのは松村北斗ですね。

こう書いたら SiXTones ファンに○されそうですが。

夏彦の気持ち、ものスゴく分かります・・・。

震災で孤児になった少女が、さまざまな人と出逢いながら、歌手の道を進んでいく・・・。こう書くと、まとまってない話だとは思わないのですが、しかし、あまりにも、登場人物 1 人 1 人の「憐れみ」が深すぎる。

もう本当に、心をかき乱されました。

そう、心をかき乱されましたね。

正直、キツいです。

映画の構造

でも、最後の最後、エンドロールで、キリエの東京での生活 (簡易宿泊所? での生活)が描かれていて、また、駅のホームに降り立って都会に消えていく・・・。

シーンで、またファンタジーに回帰してくような。

そうですね、ファンタジーから始まって、現実が展開して、またファンタジーへと帰っていく。

ふつう、映画は、現実から始まってファンタジーが展開して、また現実へ戻っていくのですが、この映画は逆というか。

路上ミュージシャンのキリエと、青髪の広瀬すずが都会で出会う、というファンタジーから始まり、東日本大震災という現実が展開し、また、路上ミュージシャンが都会へ消えていく、というファンタジーで終わっていく。

構造的にはそういう映画ですね。

そこは興味深いですね。

でもやっぱり、現実パートが重すぎる。

ということで、万人にオススメできる映画ではないかもしれません。

でも、すごく観るごたえがあります。

覚悟がある人だけ、観てみてください。

岩井俊二映画ファン的視点

ここからは、もっと気楽に、岩井俊二ファンとして、この映画のざっくばらんな感想を述べたいと思います。

ガール・ミーツ・ガール

岩井俊二、ガール・ミーツ・ガールもの好きだな・・・と。相変わらず・・・。

広瀬すず、かわいすぎる

広瀬すずが割とエキセントリックな役なのですが、青髪でも可愛いのですが・・・。広瀬すず、どないなっとんねん・・・。

アイナ・ジ・エンド、確かに好きそう

アイナ・ジ・エンドに関しては、Chara ぽくもあるし、しかし力強さは Salyu ぽくもあるし。両者の良いところをが前面に押し出されていたような。

岩井俊二、好きそうですね。アイナ・ジ・エンド。

広瀬すずの母親役

まず、広瀬すずの母親役が奥菜恵。そうきたか! と。

岩井俊二の出世作のヒロインが、スレた母親役になって最新作に起用された、というのはなんとも感慨深いものです。

コバタケ感は薄め?

音楽からコバタケ臭はあまり感じませんでしたね。

ふつうに J-POP のカバーなんかがけっこうあって、意外というか、同時代性があって、まさに「今!」を切り取った映画だな、と思いました。

ちょい役が面白い!

『リリィ・シュシュ』での稲森いずみしかり、ちょい役が楽しみなのも岩井俊二映画の嗜みなのですが、今回は本当に、いろいろ出ていましたね。

ひとつひとつひろうことはしませんが、エンドロールで「え!? この人も!?」というのは多かったですね。

といったところでしょうか。

また何か思い出しましたら追記します!

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