『ユリイカ』の「日本語ラップ」特集にはガッカリです

こういう前置きをするのは好みではないのですが, いちおう, なんか怖そうな ( めんどくさそうな ) 界隈に向けての文章になるかもしれないので, いちおうしときます.

これから書かれる文章は, 喩えるなら,「ちょっと美味しい味噌ラーメン食べたくて, こだわってそうな昔ながらそうなラーメン屋に入ったら, 味噌ラーメンがおいてなくて, 仕方なくしょうゆラーメンとか, 餃子とかチャーハンとか頼んだけど, 腹減ってたから. 不味かった. かろうじて餃子の盛りつけ方が面白かった」ていう感じです. しかもこのラーメン屋 =『ユリイカ』はけっこう評判がいい.

まあ, 要するに, 食べたいラーメンなかったから代わりのラーメン頼んだら美味しくなかった, 残念だ, というのを表している文章なんですが. そういうのは, 消費者側の理不尽な都合であって, 味噌ラーメン置いていないラーメン屋に入って味噌ラーメン置いてないのなんでや! てキレるのは的が外れていると言われたらそれまでなんですけど. そういう性格のヤツが書いた文章だと思って下さい.

本当は, もう 1 つだらだら更新している「Xtra etc」というのがあって,

農業のこと, 高知のことなどなど. ゆるゆる更新する雑記ブログ

そちらに書こうと思ってたんですけど, こっちはクリーンにいきたいし. ですけど, こんな記事を書いている時点で,

2015 年反安保デモのシュプレヒコールは Migos 的か?: 日本語とラップのリズムについてちょっとした考察
タイトルに「考察」なんてつけてしまったので, 少し大げさ感がありますが, そんながっつり日本語とラップのリズムについて考察するような記事では...

すでにクリーンではなくなってしまっているので, まあ, いいや, こちらに書こう, と.

前置きを書くのがめんどくさくなったので, 本題にいきましょう. 本題の前に, ここまで書いたのはいわば「前置きの前置き」で, 本当の, 本題の前の「前置き」を書いておきましょう.

わたしがいまからテーマにしようとしている『ユリイカ』「日本語ラップ」特集で, 菊地成孔が座談会で発言しているように,「フリースタイルダンジョン」をきっかけにした, 『ユリイカ』「日本語ラップ」特集. まあ, 正直ね, 菊地成孔がけっこう勘違いしているのは,『ユリイカ』はぜんぜんアカデミックな雑誌ではなくて, どちらかっていうとアカデミックよりなのかもしれないですけど, 実際は, たとえば『ユリイカ』を出版している青土社が同じく出版している『現代思想』なんかがどういう位置づけなのかというと,

岩波『思想』「『現代思想』がやられたようだな」
理想社『理想』「フフフ … ヤツは n 天王のなかでも最弱 …」

ていう, ね, まあちょっと最近, 哲学・思想系の動向をぜんぜん追えていないので, うまくパロディできてないんですけど, そういう感じです.『ユリイカ』とか『現代思想』とか, アカデミックというより, 息抜きに読む週刊誌みたいな, NAVER まとめみたいなもんですね. 話はだいぶそれましたけど,『現代思想』がいくら哲学・思想界のまとめサイトみたいなもんだと言っても, 思弁的実在論の翻訳をいちはやく掲載したりしていて, みたいな雑誌を出版している青土社が出版している『ユリイカ』. が特集した「日本語ラップ」. ということで, 正直けっこう期待するじゃないですか. 四天王のなかで最弱とは言え. だから買いました. で, 読みました. そんながっつりじゃないですけどね. 読みました雑感. つまり, ざーっと目を通して思ったこと, しっかり隅々までは読んでませんが, とりあえずざーっと読んでみて,「あ, やっぱ『ユリイカ』だったわ …」ていう. そういうのを, ちょろっと書いています. この記事では. 体系的に書いているのではなく, 隅々まで読んだ訳でもなく, ざーっと読んでいくなかで思い浮かんだことの記録みたいなものです.

では本題に行きましょう.

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全体的に思ったこと

全体的なざっくりとした感想としては, 半分予想して半分期待してたけど, やっぱ『ユリイカ』でした, ていう. それはもう前述しまくってるけれども. ライター, 批評家, 専門家, 呼び方はなんでもいいけどとりあえず以下評論家に統一するとしてその評論家はだれひとりとして音楽を分析しようとしないし, 当事者にインタビューしてはい, これがリアル, で終わらす, みたいな. そのインタビューもだいたい思い出話. 思い出話に今後の展望をちょろっとのっけただけ. んー, まあ, 参考にはなるけどね, ていう感じですかね.

それで, 全体的にざっくりと目を通して, US  のラッパーでよくでてきてたのが Migos なんですけど, だいたい 2016 年に Migos は厳しいですよ笑 この特集の記事がいつ書かれたかはわかりませんが, 最近は Lil Yachty みたいな, より メロウなのが流行ってるし. まあ, Migos とLil Yachty は通じるところありますけど.

Zeebra のインタビュー

『フリースタイルダンジョン』始まるまでの経緯とか, ジブラのラッパーとしてのキャリアとか, そういう思い出話が中心. いっしゅんフロウの話になってそこは参考になったかもしれない.

ラッパーのねえ, インタビューはねえ, 仕方ないんですよ, 突っ込み入れても. 彼らはラップの専門家であって, ラップを分析する, ポピュラー音楽学の専門家ではないからね.

例えば Zeebra が,「俺の場合は, はじめから譜割り大前提で歌詞を書いていく」「思った言葉をふわっと書くとかは一回もやったことない」て言ったその直後に同じページで 「実は最近まで全然考えたことがなかったんだけど, それって譜面に起こすと休符になるってことにようやく気づいて」て言ってて笑 お, おう, 譜割大前提で歌詞を書くことと, 譜面に起こすこと, って違うんだな… てなるけどそれはラッパーの言ってることだから仕方ないというか, そこツッコミ入れても仕方ない, ていう. まあ, もうちょっとあとで, 「たとえば頭からケツまで譜割りが全部決まっているわけじゃなくて」とも言ってて, 結局「空気読め」的な感じなんだろうけど. その辺を整理するのが評論家だと思うんだけどね. 違うんだろうね.

KOHH 論

ここにきて, いちいち言葉をオブラートに包んでも仕方ないので, はっきり言うけど, こういうのいちばん苦手な文章ですね. A であると同時に非 A である, て言っとけば深い, みたいな. 弁証法的な言い回しをうすーく伸ばしただけ, ていう. モワレの説明の画像が Wikipedia なのもなんとかした方がいいと思うんだけど. いや別に Wikipedia 使っちゃダメ, ていうんじゃないけど笑

大和田俊之と磯部涼の対談

両者ともけっこう苦手なんですけど, いきなり, 「SEALDs = ラップっていうのは言いがかりに近いのかもしれない」とか磯部が言ってて, おいおいおいおい笑 っていう笑 なんだったんだよ, あの, 去年の夏くらいからのあの SEALDs のシュプレヒコールに対する高評価は笑 ていう.

まあ, シュプレヒコールとしては, 新しいかもしれない. ですね. でも日本のデモのシュプレヒコール史をまとめないとなかなか新しいとは断言できないだろうけど, シュプレヒコール史なんて興味ないけど.

あと, ヒップホップとは言わずにラップと言った方がしっくりくる感は, わたしもツイッターなんかでけっこう言ってて,

これは単に, いままでヒップホップという言葉でぼんやりと指されていた総体が, ラップに置き換わっただけの話だと思うんですよね. もちろん, ヒップホップ・ダンスやグラフィティーを「ラップ」と呼ぶことはないですけど, 少なくとも, これまでのヒップホップの流れにある, あの, 言葉にはできないけどヒップホップらしいトラックに乗って喋るという音楽表現, それがいままでは「ヒップホップ」と呼ばれていたけど, いまでは「ラップ」と呼ばれるようになった. これは「ヒップホップ」というカルチャーが浸透した証拠だと思うんですよね. いままで, ヒップホップといえば, 実はダンスもグラフィティーもファッションも, アティテュードなんかも含めてヒップホップなんだけど, なんだけど, 音楽だけを指すことが多かった. それが, ちゃんとラップという言葉で指されるようになった. ていう点で.

だからね, いやぜんぜんだからね, でつながらないんだけど, 磯部が「ラップという音楽ジャンルだけがどんどん進化している」からの大和田の「ラップを「アイドルに落とし込む」」「DAOKO」とか言い出す流れ, 大丈夫なのか, と笑 いまもう, ラップって言ったとき, いわゆる文化系ラップっていうのは, あれはもう文化系ラップっていう分類で, ラップですらない, ていう感じだと思うんですけど. そこを話に出すこと自体かなりズレてると思うんだけど.

だいたいヒップホップの, 日本語ラップの, ラップバトルのブーム受けての特集号なのに, 評論家同士の対談がお互い言ってることを「わかる〜」みたいな認め合って馴れ合ってみたいなのがそもそもどうなんだよ, ていうね笑

菊地成孔と OMSB と Moe の座談会

そういう点で菊地成孔の座談会, あれまあ主旨は面白くなかったけど, 最初の「『ユリイカ』はTV Bros」みたいなのがもっと他の記事にもほしかったし, あと「オムスがジャズやったらグラスパーと見分けつかない」(見た目が)とか面白かった笑

ただ, 菊地成孔が誤解しているのは,『ユリイカ』は別にそれほどアカデミックではない,『現代思想』しかり, まあ, あれは週刊誌みたいなもん, ていう点ですね. 前にも書いてありますけれども.

内容はともかく, 菊地成孔の小ネタは面白かったですね

読んで良かった点

『ユリイカ』の日本語ラップ特集で確認できてことは,「Grateful Days」がちゃんと歴史的に位置付けられているということを知れたことですね. あの曲, ほんとずーっと「ナシ」として扱われてましたからね. うれしいです.


やっぱね,1 曲を特定の視点から丁寧に分析していく,みたいなのがないとね,面白くないですよね.今回はラップバトルが特集のきっかけなんだから, なぜあの試合で彼が勝ったのか, みたいなのを解説してくれるような記事でもいいし. アーティスト名,レーベル名並べて社会の情勢か政治とかと絡めてちょっと思想界隈や物理学の言葉をちりばめて,で、アーティスト本人にインタビューして,音楽について語りました, て言われてもね, ていう.

そういう点で, このまとめを思い出したり.

『ユリイカ』4月号のデヴィッド・ボウイ特集への批判を受け、自身も記事を載せた思想史学者、田中純@tanajun009東京大学大学院総合文化研究科教授の抗議

あと, 最近読んだ, 岩波『思想』の「神経系人文学」特集に収録されている酒井泰宏「神経系人文学序説」の一節を思い出したり.



「一部で見られるような文献を適当に散りばめ, 修辞によって言葉巧みに仮説が説明されたかのように偽装する行為からは, いち早く脱却するべきである」

実はわたし日本語ラップ, トラックがツラいから聴かないからいいんだけどね. けどね, もっと音楽について書いてほしいよね, ていう.

ヒップホップとか, まあ, なんでも, ダンスミュージックとか, 楽譜にしてもあんまよさが分からないようなジャンルだからこそ, あえて, なんか特定のフォーマットに落とし込んで分析する面白さ, ていうのがあると思うんですよね.

マーク・コステロ, デイヴィッド・F・ウォーレス『ラップという現象』に掲載されている, Rakim の楽譜みたいなのね, ああいうのがほしかった.



KOHH の「It G Ma」なんてラップの入りが面白いところあるし,

音程もしっかりしてるから, 面白いと思うんだけどね. 採譜したら. 採譜したらね, みえてくるものがあるんですよ,「モワレ」とか言ってるのがアホらしくなるような音楽的特徴が.

なお最後に. わたしがどれくらいヒップホップ・カルチャーにコミットしていたかというと, ゼロ年代中盤に, 渋谷 GAME とか family , Shifty あたりでちょいちょい友だちに誘われて DJ  してた, ていうくらいの具合です. その当時はいまくらいヒップホップの良さ, ていうかラップの良さ, てのがわかってなかったけどね.


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