2015年 ポピュラー音楽 10 選

2 年前に, 「もうなんか今年のベストアルバムみたいなヤツはやらない. 今年いちばんよかったのは奥田民生」「アルバムはもう意味がない」みたいな感じでやらないつもりになっていましたが, 去年から今年にかけて, 音楽を聴くツールがついにストリーミング主体になりまして, いやもう, それからというもの, 毎日, すげえな, これ, みたいなのを聴くようになってちょっとまた今年, こういうのをまとめたくなりました.

ストリーミングでずっと聴いてるんですけど, やっぱどのアーティストも基本, ちゃんと「アルバム」を出してる. 不思議なことに.「アルバムはもう意味がない」なんてことはない. なんでなんでしょうね.

あと, わたしの予想としては, 配信やストリーミングが主体になって, CD やレコードといった物理媒体の制約から解放されたら, いわゆるクラシックのような, 2 時間, 3 時間, それ以上な時間の長い作品が, ポピュラー音楽でもどんどんでてくるんじゃないか, ていうのがあった. けど実際は, ここ 2, 3 年の 1 曲の時間の長さの傾向って逆じゃないですか? DJ ミックスなんかは, soundcloud や mixcloud に 2 時間のヤツとかけっこうあるけど. そうじゃないのって, 1 曲がけっこう, 3 分半とか, 下手したら 1 分ちょっとなんていうのもある. これは憶測ですけど, CD やレコードといった物理媒体が主流だったころは, CD  だったら 74 分とか 80 分をいかに効率よく使うか, みたいな制約があって, そんなかで 10 曲とか 15 曲とか収録する, てなったときに, じゃあ 1 曲 5 分, 6 分みたいなのが, 非意図的に働いていたのかもしれない. ところが, 74 分とか 80 分ていう制約がなくなった結果, そういった, いかに効率よく時間を使うか, みたいなのがなくなって, ポピュラー音楽において, 1 曲を聴くのにガマンできる時間, 1 曲を作るのにガマンできる時間, みたいな. そういうのが, 2 分とか 3 分なのかもしれない.

ていう憶測です.

それで. 話を元に戻せば. リスニングのツールについてのつづき.

いまは Bandcamp, audiomack, soundcloud を中心に垂れ流しています. バンキャンとサンクラは, 玉石混交のなかから最高のトラックを見つけ出すため. audiomack は, ヒップホップを中心に, いまの「流行り」を確認するためです. あとはアーカイヴ聴き的に Google PlayMusic ( AppleMusic の方が好きな楽曲があるけど, 同期がめんどくさい. iTunes で DTM 用のサンプルを管理しているので, iCloud で同期すると, 例えば, 単音のドンッ! みたいなキックの音が大量に iPhone にコピーされてですね笑 ちょっとリスニングに向かないもので. そうなると. ) . 2 年くらい前までは意地でも CD やアナログ盤を買っていたんですが, もう使い方が分かってからはストリーミング一辺倒ですね. たまにデータをダウンロードするくらい. アナログ盤は出ているヤツは買う, みたいな.

その辺のどういうツールで聴くか, ていうのを 1 回ブログでまとめようとずっと思っているんですけど, 思ってるだけですね笑 実行に移さず.

意外とアリだったのが, Bandcamp と PlayMusic の組み合わせ. Bandcamp で聴いてよかったのを, PlayMusic で検索, あったらライブラリに追加, ていう聴き方. あったりなかったりですけど. んー, でもまあ, ちょっと話ズレますけど, 定額ストリーミングサービスはぶっちゃけ期待外れですかね, やっぱ. 聴きたい楽曲がない.

ということで, 音楽を聴くツールがけっこう保守的なわたしでもついに変わってしまった今年. の音楽作品 10 選です. アルバムとかシングルとか EP とかミクステとか, 流通形態はいろいろありますし, また, 洋楽邦楽なんちゃらかんちゃらといったジャンルもいろいろありますが, その辺ぜんぶ無視して並べてあります. そのほとんどがストリーミングで聴ける. Bandcamp や Soundcloud である日偶然みつけた作品です.

ある日偶然みつけたのがほとんど, と言いながら, やっぱいちばん今年当たりだったのが, 頑張って流行を追ってたヒップホップですね. 1 月の Rae Sremmurd に始まり,

 

5 月〜7月にかけて, Joey Bada$$, A$AP Rocky, Chance The Rapper ( のアルバムと長らくアナウンスされてたけど実は Donnie Trumpet だった ) そして Migos .

どれもカッコよすぎて, けっこうもうヒップホップはお腹いっぱいというか笑 これ以上何か近々新しいサウンドは出てくるんでしょうか. しばらくはいま挙げたアーティストの路線が流行りとして続きそうですけど, いやまあ, 音楽に関するテクノロジーは日進月歩ですからね. またすぐ新しい潮流が生まれると思います.

そしてそのなかでも群を抜いていたのが, Chance の所属するヒップホップ集団, Save Money の一員である Towkio が 4 月にリリースしたミックステープ,『.Wav Theory』です. 今年聴いたなかでいちばんよかった. 1 位です!

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1. Towkio『.Wav Theory』

正直, Donnie Trumpet のアルバムとどっちかな〜, って迷ったんですけど. 別に 1 位だ 2 位だって決めなくていいんですけど. こういう記事なので笑, いちおうね, ランキング形式で, ということで.

Towkio の楽曲をはじめて知ったのは, 今年 4 月 7 日に公開された「Heaven Only Knows ft. Chance The Rapper」.

これがもう最高で, Juke っぽいビートにタメのグルーヴ感あるグラニューシンセ, そしてソウルフルな John Legend のサンプリング, なトラックに, Chance のあのフリーキーなラップがすごく気持ち良い 1 曲. 今年聴いたなかで最高の 1 曲だったんだけど, その「Heaven Only Knows」公開ほとんど直後の 4 月 28 日に公開されたのが, このミクステ『.Wav Theory』. 全体的にエレクトリックな雰囲気で, 各曲では主に Save Money メンバーからラッパーをフィーチャー ( Donnie をフィーチャーしたインスト曲もあり ).

ここ 2 年ほど, US のメジャーヒップホップを追いかけているんですけど, きっかけは Joey Bada$$ ( 彼のアルバムもすごくよかった ) で. Alowha を初めて聴いたときに衝撃を受けたのは,

ビートに貼り付かない, スムースなラップ. そしてそれから 2 年経って現れたのは, 貼り付かないビートに張り付かないラップという, ビートもラップもスムースなヒップホップ・ミュージック. だったらめちゃくちゃになるんじゃないか, て思うんだけど, 拍をしっかりとっていけばちゃんと 4 で割れるようになっているし, 貼り付いていないように聴こえてもよく分析してみれば, 細かくどこかにグリッドされている. それが落ち着かないけど実際は落ち着いているというグルーヴを生む.

Towkio のミクステは本当に全体的にそんな感じで. ラップとの絡みからリズムが複雑に聴こえるところもあるけど, しっかり身体に訴えかけるグルーヴになっている. もう, 本当に「今」「流行り」て感じがします.

ポピュラー音楽畑のエレクトリック・ミュージックの文法は, 常に書き換えられてる. サウンドクラウドの片隅で.

そのサンクラで頻繁に楽曲をアップロードしている Chance . 彼のページに「Surf」と名付けられたプレイリストがあって, 去年, ヒップホップ・ファンの多くは, きっとこのプレイリストが Chance の「デビュー」アルバムになるに違いない, て思っていた. はず. 少なくとも, Social Experience ft. Chance とか, あるいはその逆とか. 安室奈美恵 with スーパーモンキーズみたいになるのかもしれない, みたいな. けど夏が始まる直前, 6 月の下旬に突然, 本当に突然, iTunes でフリーダウンロードで発表されたアルバム『Surf』は, Donnie Trumpet 名義でした.

2. Donnie Trumpet『Surf』

「Miracle」に続き Busta Rhymes と B.o.B をフィーチャーした夏にぴったりの「Slip Slide」で幕を明けるこのアルバムは, リラックスしたジャズ, でもそのジャズがフリー特有のヒリヒリ感ある, ていう, そういうヒップホップ 作品. ゲストは, Busta Rhymes , B.o.B だけでなく, Migos から Quavo や, J. Cole, Big Sean, そして Erykaj Badu などなどと本当に多彩で, でも全体的な統一感から, これがアルバムだと, Donnie のアルバムだということがわかる.

まあ, 正直. 『Surf』が Donnie Trumpet 名義でリリースされても, 『Surf』が Donnie Trumpet の作品だということを受け入れるのに長らく時間がかかった. 前述の通り, 『Surf』は長らく, Chance のデビュー・アルバムだと目されていたから. 自分もそう思っていたし. けど何回も聴くにつれ, 海外の web サイトで情報をたくさん読むにつれ, これは Chance The Rapper のアルバムではなく, Donnie Trumpet のアルバムだということが受け入れられるようになった.

というのも, 人懐こいフレーズを不安定な音程的・リズム的うねりで鳴らすことでグルーヴを産む演奏は, 聴いた瞬間はっきりと Donnie だと分かる演奏だから. そしてこの演奏が, 多彩なゲストを迎えながらも統一感がある理由だと思う.

ついでいうと, なぜ Donnie はあそこまで不安定に演奏したがるのか. それは, グラニュラーシンセっぽい雰囲気を, 生で再現したかったんじゃないんだろうか, とは憶測している. サンクラで日々アップロードされる, 流行りの. グラニューシンセを使ったふわふわでぐにゃぐにゃしたトラックを, 生演奏で, ポップに再現しようとすればどうなるのか. その解答が, このアルバムなんだろう.

もちろん, ふわふわでぐにゃぐにゃぐにゃした, これは別にグラニューシンセを使っているトラックにだけ特有ではないけど, まあ, その, ビートを細かく ( 16 分音符より細かく ) , 2 拍子系と 3 拍子系にグリッドすることで生まれるグルーヴ, そういうグルーヴは, サンクラ以外でも, 電子音楽以外でも, ジャズ以外でも, 聴くことができる. たとえば, Jacob Collier「PYT」.

3. Jacob Collier「PYT」

あの, マイケル・ジャクソンの 1982 年の代表作 (「あの」とか, 「代表作」とか不要ですね笑 ) ,『スリラー』収録の同曲をカバーした Jacob Collier の「PYT」. 彼を初めて知ったのは, やっぱカバーで, Carpenters の「Close to You」の. 去年の暮れに公開されたヤツで.

これがね, スッゴいなんというか, 怪グルーヴ笑 しかもこれ, いわゆる打ち込みじゃなくて, 多重録音によるもの. 1 人で. ヤバくないですか!?!??!??? しかも「PYT」はこの「Close to You」を超える, 垂直方向の構成の複雑さ, でも踊れる! ていう.

1 人で, 多重録音でどんどんビートの, そして楽式の文法を書き換えていく Jacob Collier くん. どのトラックも, エレクトリックでオーガニック, ソウルフルでクール, こういったどこか 2面性のある, 土着的だけどどこにも属さない雰囲気があります. これが UK 産ってことなんでしょうか. テキトーですけど.

ということで, Jacob Collier は Bandcamp で知ったんですけど, 同じく Bandcamp で偶然見つけたレーベル, Sunnyside Records.

知ることができたレーベル, ていう点では, Sunnyside がいちばん収穫だったかも. 今年, 27 枚のアルバムをリリースしていて, まあ, レーベルだし, そんなもんだろうけど, おっつかねえ笑 おっつかねえなりになんとか聴いて, いちばんぐっときたのが,

4. John Hollenbeck『Songs We Like A Lot』

これですね. ニューヨーク出身のジャズドラマーで作曲家. 彼の関心領域はジャズだけでなく, いわゆるクラシックにも広がっていて, また, フリージャズや前衛にも精通しています. The Claudia Quintet の活動で有名な Hollenbeck ですが, このアルバムはカバーアルバム. ていうかカバーアルバムだからこそ, ジャズの可能性を改めて聴いた 1 枚. 掴みきれない拍子に, つかみきれない伴奏のメロディー, そこにつかみきれないアドリブの歌唱が合わさり, ところどころ聴き覚えのある素朴な歌が表れる. これを聴いたあと, ひさしぶりに, あー, ジャズ聴いたな! て気持ちになれました.



ジャズは, いわゆる「ロバート・グラスパー以降」みたいな, そういうのがこの 2, 3 年でバスってますけど, John Hollenbeck のは違いますけど, ああいうビートは非常にイマっぽいと. それで, いろいろバンキャンを漁っていると, ああいうビートは, ジャズ畑だけでなく, どんどん広がっていて, そんなかで面白いしカッコいいな, と思ったのが, UK の R&B バンド, Trope のデビュー EP です.

5. Trope『Butterflies & Dragons』

R&B バンドと書きましたが, それはボーカルの歌声が R&B ぽいだけであって, 1 曲目, イントロのストリングスやピアノからは, 現代音楽らしい旋律が聞き取れますし ( そしてそれはこの EP をずっと貫いていて ) , つづく本編のギターの音色はロックだし, 掴み難い拍子はプログレのようで, でも踊れないわけではなくて, しっかりとしたファンクネスがある. それでいて全体を支えるベースとドラムは, いまっぽいジャズ. と, ここまで書くとどこか不思議な感じがしますが, 不思議な感じなんですが, どっしりとした安定感のあり, ポップで聴き易い 1 枚です.



と, まあ, ここまで 5 枚, かなり気に入ったのが並んだので, まあ, まだまだ気に入ったのはあるんですけど, こっからはけっこうゆるい感じでいきたと思います. ということで. アニソン.

6. 庶民部「イチズレシピ」

今年もわりとアニメを観て, オタクと呼ばれるには程遠いけど. 毎クール 7, 8 本くらいは観たと思います. だから同じくらいアニソンを聴ききまして, 相変わらずアニソンはしっちゃかめっちゃかなのがあって面白い. たとえば, 今年, しっちゃかめっちゃか度で言えば. うまるちゃんの OP が群を抜いていると思います. うまるちゃんかわいかったし. うまる〜ん. でもしるふぃ〜んの方が好き. いちばんかわいいのはきりえちゃん.

と, なかなかですね, オーソドックスなアニソン ( オーソドックスなアニソンってなんだよ ) っぽさあるアレンジをベースに, チップチューン, クラシック風ワルツと, めまぐるしく曲風が変わるのに合わせて田中あいみさんの歌い方もまたアニメから出てきたかのようで, 本当に聞きごたえがあります.

そんななかで 1 曲選ぶとしたらコレだ, ていうので, 候補になったのが, わかばガールズの「初めてガールズ!」. メタルっぽいのかハードロックぽいのかそういうギターの音色, ドラミングに, ロックンロールなピアノ, そしてビッグバンドジャズっぽくなくもないブラスアレンジっていう, なかなかジャパニーズアニメーションの OP 曲らしい 1 曲. Ray の歌うバージョンと, アニメに出演した声優ヴァージョンがありますが, だんぜん声優ヴァージョン ですね, これは. ところどころ入るガヤが, さすが声優, ていう感じで安定感がある. なによりりえしょんのちょっと低めの素に近い歌声が聴けるのはこの楽曲ならではないでしょうか.

あと, 「ローリング☆ガールズ」の劇中歌, 「STONES」もよかった. ロック!

でもいちばんいいのは庶民サンプルの OP , 「イチズレシピ」の庶民部 ver. なんだけどね ( なお動画はアイドルカレッジのもの ) . なんとも言えない, この, ディスコのビートに, わかり易いメロディーに, アニメの世界観を大事にしたガヤ. 最高です. あんま言うことないです.

なんかもう書くのめんどくさくなってきた. あとは一言, 二言コメントにしよう. いや. あと 4 作品もどれも素晴らしいです.

7. Moe Shop『Pure Pure』

ジャパニーズ・オタク・カルチャーと, フレンチ・エレクトロの見事な融合.

8. Christina Pato 『Latina』

ラテンジャズ. バグパイプかっこいい.

9. Ghost-Note『Fortified』

ジャズ. でもビートだけ. ビートの嵐!

10. Dubb Nubb『It’s Weird In This World』

姉妹 2 人組フォーク. 調子外れで荒っぽいボーカル, 演奏が最高.

いかがでしたか?

いかがでしたか? じゃねえよ! 特に後半! て感じですが, 2016 年はどんな音楽が聴けるか楽しみです!

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