「グルーヴの秘密」に迫る: J Dilla の音楽とミクロリズム

A horizontal, bright, and abstract design capturing the essence of rhythm and motion in music. The image includes colorful flowing lines and dynamic wave-like patterns that symbolize sound vibrations and rhythm. There are no musical instruments or notes, focusing purely on the abstraction of musical flow and creativity. The overall aesthetic is clean, modern, and inviting, with a vibrant yet minimalist style.

音楽を聴いていると、思わず身体が動き出すような「グルーヴ」を感じる瞬間があります。それは一体どのようにして生まれるのでしょうか?また、あるリズムが「気持ち良い」と感じる背景には、どのような音楽的、文化的な仕組みが隠されているのでしょうか?

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近代の音楽思想 (3): シェリングとヘーゲル

本ブログでは「音楽の哲学史」というシリーズを通して、音楽に対する哲学者たちの見解を探求しています。前回の記事では、ショーペンハウアーの音楽思想について詳しく解説しました。今回は、その続きとして、シェリングとヘーゲルという二人の哲学者の音楽観について詳しく見ていきます。シェリングとヘーゲルはそれぞれどのように音楽を捉え、その哲学体系に組み込んだのでしょうか?彼らの見解を探ることで、音楽の本質についての理解が深まることでしょう。

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J Dilla 遺作『Donuts』の影響

J Dilla は、デトロイト出身のヒップホッププロデューサーであり、彼の音楽は多くのアーティストやファンに影響を与え続けています。そのなかでも音楽的功績を語る上で欠かせないのが、遺作となったアルバム『Donuts』です。このアルバムは、病床で制作されたとされ、彼の最後の作品としてファンや音楽仲間から特別な意味を持つものとなっています。『Donuts』には、彼自身の人生や家族、音楽への愛情が詰め込まれており、まるで彼の「別れの手紙」として多くの人々に受け取られています。

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近代の音楽思想(2) 形而上学の響き: ショーペンハウアーが探究した音楽の本質

音楽は単なる音の配列以上のものです。それは感情、思想、さらには宇宙の根本原理を映し出す鏡とも言えるでしょう。では、音楽がこのように多層的な意味を持つようになった背景には何があるのでしょうか? 19世紀のドイツの哲学者、アルトゥール・ショーペンハウアー Arthur Schopenhauer は、音楽を中心に据えた独自の哲学体系を築き上げ、音楽が持つ深い形而上学的な意義に光を当てました。今回の記事では、ショーペンハウアーの音楽哲学に焦点を当て、彼の思想が今日の私たちの音楽観にどのような影響を与えているのかを探ります。

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伝説のビートメーカー J Dilla、その壮絶な闘病生活と音楽への情熱

ヒップホップ界において「Dilla Time」と称される独特なリズム感とサンプリング技術で知られるJ Dilla。彼の音楽は、ジャズ、ソウル、ヒップホップを新たな形で融合させ、後世に多大な影響を与えたことはよく知られています。しかし、彼の人生には壮絶な闘病生活という側面があったことをご存じでしょうか?

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近代の音楽思想(1)ロマン主義の音楽美学

本ブログの「音楽の哲学史」シリーズでは、これまでにデカルトやライプニッツ、ルソー、カントといった近世の思想家たちが音楽に対してどのような観点を持っていたかを見てきました。それらは、形式と感情の間で音楽美学を展開する試みとして重要です。しかし、歴史は流れ、近代とみなされる時代に入ると音楽思想において一つの大きな転換期を迎えます。この記事では、「近代の音楽思想」として、ロマン主義の音楽美学の台頭とその影響に焦点を当て、「ロマン主義の音楽美学とは何か?」「それが音楽にどのような影響をもたらしたのか?」について、具体的に解説していきます。参考は Stanford Encyclopedia of Philosophy の「History of Western Philosophy of Music: since 1800」 の項目です。

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Warp Time: J Dilla における音楽的時間の再定義

音楽制作において、時間の扱い方がどのように進化してきたのか、そしてその中心に J Dilla がどのように存在していたのか。J Dilla の音楽的遺産は、単なる技術革新にとどまらず、音楽における「時間」の概念そのものを再定義だったとも言えます。この記事では、J Dillaの革新的なアプローチやその影響について、Dan Charnas『Dilla Time』(2022)Amazon】の「Warp Time」を参考に解説します。

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近世の音楽思想(6) カントの音楽美学

音楽を聴くとき、私たちは何を感じ、どのようにその美しさを理解するのでしょうか? 音楽の哲学史シリーズ「近世の音楽思想」の今回の記事では、Stanford Encyclopedia of Philosophy の「History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800」の項目を参考に、イマヌエル・カント Immanuel Kant (1724-1804) の音楽に対する考え方を探ります。デカルト René Descartes 、ライプニッツ Gottfried Wilhelm Leibniz 、ルソー Jean-Jacques Rousseau といった哲学者たちに続いて、著作『判断力批判』Kritik der Urteilskraft (1790) および『実用的見知における人間学』Anthropologie in pragmatischer Hinsicht (1798) を通じて、音楽の美学においてカントがどのような位置を占めるのかを見ていきましょう。

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『Welcome 2 Detroit』『Ruff Draft』の J Dilla におけるキャリア的意義

J Dilla の音楽を初めて耳にした人が驚くのは、そのリズムの独特な揺らぎや意図的な「不完全さ」によって生み出される新鮮さです。音楽史において多くのアーティストが「正確さ」を追求する中で、J Dillaはあえてそれに逆らい、音楽の「生っぽさ」を追求しました。彼が残した作品は、ヒップホップ、Neo-Soul、さらにはジャズや現代音楽の領域にまで深く浸透しており、現在でも多くのアーティストやリスナーに影響を与え続けています。

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近世の音楽思想 (5)ルソー、和声、模倣

音楽の哲学史シリーズの「近世の音楽思想」。今回はジャン=ジャック・ルソー Jean-Jacques Rousseau の音楽に対する見解と、彼の思想が当時の音楽界に与えた影響について詳しく見ていきます。前回は、近世における音楽思想として、デカルトやライプニッツの思想、そして音楽における模倣と表現の対立に焦点を当てました。今回は、ルソーの音楽へのアプローチと、彼が生涯を通じて追求した音楽の表現力と哲学について深掘りします。参考は Stanford Encyclopedia of Philosophy の「History of Western Philosophy of Music: Antiquity to 1800」の項目です。

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