金澤正剛『新版 古楽のすすめ』「第十二章 即興演奏について」についてのノートです。なお、当エントリーにおける引用は、特に断りのない限り、金澤正剛『新版 古楽のすすめ』(2010年、音楽之友社)からになります(くどいよ)。古楽については、以下を参考にしてください。
第十二章については、以下もご参考下さい。
さて、『~ 古楽のすすめ』によると、即興演奏は、「ひとつの作品を楽譜を用いずにその場で即興的に創作し、そのまま演奏してしまう」「全体的即興演奏」と、「一応基礎となる楽譜があり、それにもとづいて演奏をする」「部分的即興演奏」に分かれます。
それで、「部分的即興演奏」についての説明のなかで、「楽譜の役割」について次のように述べられています。
「楽譜は音楽演奏の出発点であって、作品の最終的な創作段階ではない。それを生かすか、殺すかは、演奏者の腕前にかかっている」(p. 240)
そうですよね。私もつい最近までこういった誤解をしていました。ただ、楽譜は或る種の音楽分野においては絶対的権力を有している(実は、「かのように見える」だけでしょうけれども)ことも確かです。しかし。(←この句点はタイプミスではないですよ!) 音楽は、それが実際に鳴っている時間・空間に存在する。決して、西洋の伝統的な五線譜に系譜をもつ 紙 の 楽 譜 は音楽ではありません。
楽譜は、音楽活動における き っ か け なのです。
ただ、このことで以って楽譜の音楽における役割が貶められるとか、そういったことではないのですけれども。