「古楽」といっても、イメージが掴み難い。渋谷タワーレコードのクラシックフロアには、古楽コーナーが設けられており、その棚の CD 数は膨大だ。一体どれから聴いて良いのか分からない。というのも、おそらく、古楽の定義が次のように定められているからだと思われる。金沢正剛の『古楽のすすめ』によると、古楽とは・・・、
「文字通り「古い音楽」である」(金沢正剛(2010)『新版 古楽のすすめ』音楽之友社p. 23)
これでは分からない(笑)。続けて、こう述べている。
「音楽史のどの時点で、「古い音楽」と「新しい音楽」は区別されるのか」(同書 同ページ)
これによると、「一七五〇年」ということです。その理由は、「音楽史上最大の音楽家」である「ヨハン・セバスティアン・バッハ」が亡くなった年だからだそうです。
もちろん、ここでの「音楽史」であるとか、「古い音楽」「新しい音楽」と言った場合の「音楽」というのは、「ヨーロッパの」音楽です。「そしてヨーロッパの音楽史」は、
「「バッハ以前」と「バッハ以後」に分けることが至極当然であるように思われる」(同書 同ページ)
のだそうです。
ちょっと、音楽 = ヨーロッパの音楽と無条件に述べられるのは違和感がありますが(笑)、いちいち音楽の前に「ヨーロッパの」とか 西 洋 の とかを付けていると大変なので省略している(笑)、という事情を汲まないといけませんね。まあ、ポピュラー音楽愛好家のぼやきです(このポピュラー音楽というのも、音楽 = ヨーロッパの音楽というのが当然だから、ポピュラー音楽にはポピュラー音楽という名前をつけなければならない、という音楽学者の思惑が見え隠れしますが(笑))。
「古楽とは何か、古楽の定義 (2)」へ続きます。