クラブ・ジャズ、あるいはそれに通じるジャズ・クラシックを発掘するレーベル、Schema が2007年にリリースしたV.A.盤。
“Psycho Mellow”というタイトル通りである。
この V.A.盤は、ポップスの範囲内での律動と音響の両者へのアプローチを見事に成立させている、希有な曲集である。
ジャズはコード感、モード感、つまりは音律で勝負する。サイケはコードもモードもない。サイケで得られる音律的浮遊感は、あくまでプレイヤーの手癖に起因する結果であって、理性的・意志的に音律を崩そうとはしない。サイケの聴き所は音響であり、律動である。
クラブ系のラテンジャズに、
サイケデリックな音響処理が施されている。
つまり、
テンションコードが多用されたジャズのコード感と、
南米系ダンスミュージック特有の高音が強調されけたたましく鳴らされるスネアおよびパーカッション、
と、
例えばエレキギターのフィードバックノイズであるとか、
徐々にBPMからずれて16の3連で刻まれるソロとか、
と、
そういったものが混然一体となっているのだ。