いやー, これ, 2017 年のメジャー作品で現時点で優勝でしょう.
2, 3 回通しで聴いたんですが, 全く飽きないんですが, 現時点でのざっくりとした感想を.
ヒップホップへのジャズからの応答が 2010 年代の, これまでのトレンドだとしたら, The JuJu のデビュー作は, ガチのヒップホップ・コミュニティー出身による, 昨今のクラブミュージック(Trap, Juke とか, future bass とかまあ, そのへんのヤツ) のトレンドへの応答, ていう感じかもしれませんね.
DAW ソフトの高機能化に伴って, いわゆる「打ち込み」であっても複雑なビートパターンを組むことが簡単にできるようになったんですけど, その結果が, 複雑なビートでも踊れる, ていう面白いダンスミュージックなんですが, それをジャズでやったらどうなるか, みたいなね. そういう感じがします.
基本, やっぱ, 踊るための音楽って, ぱっと聴いた感じは単純なんですよね.
分かりやすく複雑にすると, そう, プログレとか, なるべく意図性を排除しないフリー・ジャズとか, そういう複雑な感じになると, 踊りにくくなる. 騒いだり暴れたりすることはできるけど, 踊る, ていうのからはちょっと違うんじゃないかな, てなる.
けど…, The Juju のデビュー作は違う. これで踊れる. これで踊りたい. ていうジャズ. なかなかないですね, こういうのは. 個人的には, ジャズっていう点以外は全く共通点ありませんが, Family Atlantica 聴いたときの「なんかすげー!」感に近いですね.
音色的にちょっとラテンっぽい要素もありますね.
あとは, 旋律があまりジャズっぽくない, どちらかっていうと, 後期ロマン派のような感じがする. 感じがするだけですよ, 感じがするだけです. 違うかもしれません. でも, リズムが楽器のパートごとにばらばらだったりして, それがフロウになっていて, ちゃんとジャズしている.
それから, エフェクト. ていうかダブ処理. ヒップホップの枠に収まらない, 昨今のクラブミュージックのトレンドをジャズに落とし込んだかのようだ, ていうのは既に述べた通りなんですけど, そういう感じは, ダブ処理からも聴き取れますね.
音楽面以外では, 白人のトランペット奏者が, こういった最高のジャズ作品を産んだバンドの中心人物だ, ていうのも重要かもしれません.
ちなみに, サンクラで聴けます. もちろん無料ですね (ヤバッ!)
アルバム情報
- タイトル: Exchange
- アーティスト: The JuJu
- リリース: 4 月 22 日
念のため, いわゆるメタ情報も.
Nico Segal は, もともと Donnie Trumpet 名義で活動していた US のトランペッター. 自分の名前のスペルの一部に「Trump」の文字が入っているのがイヤで, 活動名義を Nico Segal に. 2015 年, Donnie Trumpet 名義でリリースした『Surf』で, 日本でも一気に名前が知れ渡ることに. で, この『Surf』は, 最高のジャズとヒップホップの融合のアルバムなんですが, ちゃんとラップも入ってて, B.o.B, BJ the Chicago Kid, Busta Rhymes Big Sean らの. そしてラッパーではないんですが, Erykah Badu も参加してて, ていう. で, こうしたそうそうたるメンバーを集めたのが, 昨年「1 枚も CD を売らずに」グラミーを受賞した Chance The Rapper.
『Surf』の収録曲は, Chano の名曲のうちの 1 つに数え上げられる「Sunday Candy」.
ですので, 早い話が, Nico Segal は, Chance The Rapper の盟友ということです. で, そんな Chance の盟友, Nico Segal が, 新バンドを結成した, ていうアナウンスを知ることができたのが, なんと昨日.
で, その日のうちに, TV 番組で新曲を披露して,
アルバム・リリースもアナウンスして, で, いまに至っています. そしてそのアルバムが今のところ, 2017 年の優勝ということです.
メタ情報について, 詳しいことはもしかしてまた後日何か更新するかもしれません.
The JuJu, きっと多くの人にとって素晴らしい音楽ですので, 聴きましょう.