YouTube でオススメされた動画で、グラフ理論の面白さを知りました。
この動画では、グラフ理論を生物学へ応用してているのですが、エッヂとノードの構成からある対象を解析するという手法は、音楽にも応用できるのではないか、と思いつきました。つまり、音楽のネットワーク分析ですね。
音楽のネットワーク分析
検索してみると、ミュージシャン同士の関係性や、ジャンルの影響関係についてネットワーク分析を試みた論文がたくさんありました。
- Musical Influence Network Analysis and Rank of Sample-Based Music.(2011)
- Music as Collective Invention: A Social Network Analysis of Composers(2014)
日本語でも、バッハの楽曲や、ヒップホップのコラボ関係について、ネットワーク分析した論文・web 記事などがありましたね。
- 小田淳一「旋律を見る」(2010)
- 音楽をネットワーク分析してみた (2020)
- HIP HOPでわかるネットワーク分析 (2018)
- 音楽と数学(グラフ理論) その1(2018)
メロディー、リズム、ハーモニーのネットワーク分析
音楽をグラフ化する場合、何をノードにして何をエッヂにするのか、が問題になります。たとえばこの記事の場合は、 2 音間の水平関係をノードにしています。
音符をノードにしたネットワーク分析としては、シェーンベルクを対象にした論文もありました。
こちらも音符をノードにしてます。
リズムもグラフによる視覚化が試みられています。
コード進行解析もグラフ理論で解析したら、何か新しい知見が得られるかもしれません。
こちらも検索すると、論文が出てきます。
- Harmony Graph, a Social-Network-Like Structure, and Its Applications to Music Corpus Visualization, Distinguishing and Music Generation (2010)
- BIG CHORD DATA EXTRACTION AND MINING (2014)
- Network Analysis of Chord Progressions in Rock and Jazz Music (2018)
- Analyzing and visualizing chord sequences in music (2018)
- Tonal harmony and the topology of dynamical score networks (2020)
グラフ理論以外での音楽の可視化
ネットワーク分析ではありませんが、R 言語を使用したコード進行分析も興味深いですね。コード進行のデータサイエンスといったところでしょうか。
ネットワーク分析ではない音楽の視覚化は、R 言語以外でも試みられています。
こうしたネットワーク分析を通じて、いままで把握しにくかった特定の音楽家の音楽的特徴や、ジャンルの特徴などを得ることができれば、再現音楽やジャンル習得をより効率的に行えるようになりそうです。
また、過去の楽曲を分析することで、その分析結果にない手法で音楽を構築できれば、いままでにない新しい音楽を生み出すことができるかもしれませんね。
ライミングとネットワーク分析
音楽とネットワーク分析でもう 1 つ、取り組んだら面白いだろうなと思ったのが、ライミングのネットワーク分析です。
要するにラップの「韻を踏む」ことを、ネットワーク分析したら興味深い知見を得られるのではないか、ということですね。
こちらの方はまとまった論文を見つけることはできませんでした。漢詩や、ドイツ語詩のライミングのネットワーク分析を試みている論文・記事はありましたね。
- Vowel purity and rhyme evidence in Old Chinese reconstruction (2017)
- Constructing rhyme networks (From rhymes to networks 5)
同じようなことを日本語ラップで試みて、たとえば「K ダブのライミングの系統発生分析」みたいにまとめれば、客観的な議論のできる結果を得られるかもしれませんね。