西洋音楽史、20 世紀後半の第 1 回目です。
前回までで 20 世紀前半の音楽ついて紹介しました。
なお, 西洋音楽史の目次はコチラになります。
さて、「20世紀前半」でも触れましたが、20世紀の西洋音楽は、それまでにない独特の展開があるため、19世紀までの西洋音楽のように、「古典派」「ロマン主義」といった様式で特徴づけられません。
もちろん、20世紀に創作された諸音楽作品に、共通の音楽様式が全くない、というわけではありません。ただ、20世紀では19世紀以前に比べれば、目まぐるしい速度で古びていきました。19世紀以前は、数十年から百年単位で生じていた音楽様式の変化が、20世紀では数年から10年程の短期間に起こったのです。
そして、他の芸術、学術などに共通して言えることなのですが、2つの世界大戦が20世紀の西洋音楽にもたらした影響も多大です。
と、いうことで本サイトでは、以前のエントリーでも触れた通り、第2次世界大戦を1つの区分とし、20世紀の音楽を「前半」「後半」の2部に分けて、取り上げます。
「現代音楽」という言葉の2つの意味
さて、第2次大戦以降の音楽を具体的に取り上げる前に、「現代音楽」と呼ばれる音楽のジャンルについて取り上げることにします。
現代音楽という術語は、大きく2つの種類に分かれます。
- コンテンポラリー・ミュージック(同時代音楽)と言い換えることのできる「現代音楽」
- 「モダニズム」を意識して書かれた音楽、「モダン・ミュージック」=「近代の音楽」と言い換えることができる
です。
コンテンポラリー・ミュージック
コンテンポラリー・ミュージックとは、単純な「時代区分」としての現代音楽です。要するに、「現代音楽」という術語を使用した人が、自分と同じ時代の音楽だ! と意識している音楽のことです。教科書的には、20世紀以降の音楽、もしくは、第2次世界大戦以降の音楽を指す場合が多いですが、最近では、「第2次世界大戦以降の音楽」を指している場合が多いようです。
モダン・ミュージック
モダン・ミュージックとしての現代音楽は、モダニズム modernism を意識して創作されています。そして、モダニズムの一形態として、アヴァンギャルド avant-garde = 前衛芸術が現れます。
アヴァンギャルド
アヴァンギャルドは、つねに新しいものを発明しつづけてきた結果、1960年代後半から70年代にかけて、極限状態に陥ってしまいます。要するに、完成したばかりの技法やスタイルが、完成するや否や古び、過去のものになってしまう。そして、全く新しいものを作り出すのが非常に困難になったのです。その結果、「新しいもの」を作り出そうという推進力が衰えてしまいました。
70年代・80年代には、「前衛は終わった」と言われるようになり、「表現」への回帰がおおらかに謳われるポストモダン Postmodern の芸術思潮が、音楽の世界のも広がっていきます。
今回は 20 世紀後半の音楽について概観しました. 次回は 20 世紀後半の音楽へ大きな影響を与えた, 2 つの世界大戦についてみていきます.
参考文献
- 片桐功 他『はじめての音楽史 古代ギリシアの音楽から日本の現代音楽まで』
- 田村和紀夫『アナリーゼで解き明かす 新 名曲が語る音楽史 グレゴリオ聖歌からポピュラー音楽まで』
- 岡田暁生『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏』
- 山根銀ニ『音楽の歴史』