ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2011 、5月5日C-34c公演、『シェーンベルク:月に憑かれたピエロ op.21』(ダンス:勅使河原三郎、ソプラノ:マリアンヌ・スプール)を鑑賞。
(俺は演奏者のことについては罔いので、演奏の善し悪しは解らなかった。以下は単純に、作品を聴いた後の雑感である)
観てはいけないものを観てしまった、聴いてはいけないものを聴いてしまった。CDを何回も聴いたことのある東洋人がこう思うのだから、初演されたときは相当の衝撃だったであろう。
観てはいけないもの、聴いていはいけないもの、それは狂気である。しかしただの狂気ではない。『月に憑かれた~』から観え、聴こえてきたのは、〈徹底的に管理された〉狂気である。中心を持たぬ音律と、それに合わせて踊る身体は、ともに自由であるが、自由であるが故の狂気を聴衆/観衆へ向けて表現する。つまりーーー、管理と自由は両立するのである。
対象(今回の場合は、音楽である)を管理をすればするほど、われわれはそれを自由に操ることができるのだ。