【2022 年 8 月 3 日 追記】
フジロックに 1 日参加した結果、陽性接触者時間が 8 時間になりました。
この点を踏まえ、本記事をお読みください。
はっきり言って最高だった。断言しよう。このあとどんなアクトが出ても、今年のフジロックベストは jpegmafia だ。いままで観たどのフジのステージよりも良かった。いや、人生で最高のステージだったかもしれない。
生演奏かパソコンのオケかといった問題はもうどこかに消え去ってしまった。完全に生音を凌駕している。緻密かつ荒々しく組み立てられたビート。果たしてそのインストの荒々しさ以上に荒々しいパフォーマンスだった。
ヤバい。カッコいい。そしてありがとう。
といった言葉が頭を駆け巡る中、急にフロアに降りてきて観客の中に飛び込んだ jpegmafia。
ソーシャルディスタンスの時間は終わりだ。
命か音楽か? わたしたちリスナーはこの 3 年間、常にそう問われてきた。そしてその答えがいま分かったのだ。「命より音楽」。
ぐちゃぐちゃにもみくちゃになって最高の気分になれる、この感覚。野外で、外タレで、森の中で、雨の中で。
これがフジロックで、これがいつものフジロックなのだ。
THE HU のときも KIKAGAKUMOYOH のときも感じていたもどかしさを、jpegmafia は完全に破壊した。これが音楽の、ヒップホップの聴き方なんだ。
新しいもどかしさもそれはそれで去来する。クソ真面目な日本人、こんなソーシャルディスタンス・ゼロで大丈夫なのだろうか? フジから帰って誰かに迷惑かけないだろうか? まだフジは初日、フジ期間中に迷惑をかけないだろうか?
それを「あーあ」で片付けてしまうのがヒップホップだ。そうなったら自由だ。「いつも以上のフジロック」。GREEN STAGE の開演前に司会がそう言ってたろ? やっと始まったんだよ、フジロックが。
jepegmafia のパフォーマンスは今まで見たフジのどのステージよりも自由だった。MC をいちいち日本人スタッフに翻訳させるラッパーなんていたか? 今まで?
凶暴で、自由で、笑えて、そして緻密ゆえに芸術点が高い。意味が分からない。
音楽の良さとは矛盾だ。音楽には根本的に矛盾がひそんでいる。音楽性が高まれば高まるほど、その矛盾は現象の薄氷を切り裂いて場を支配する。
分かるだろうか? それが jpegmafia だ。
とまあ、ちょっと興奮気味に書いてしまったんですが、良い音楽を聴くと、なんかいろいろモヤッとしたものが解消されますね。なんというかフジに 8 年ぶり? くらいに来て、年齢層高いな~、とか、子ども嫌がってんな~、とか、2、3 のステージ見て「こんなもんか~?」とか思ったりしてたんだけど、そういうの全部吹っ飛んだ。
好きなミュージシャンが来て最高の音楽を演る、それだけで良い。それだけで高い交通費とチケット代を払った甲斐があったわ。
好きなミュージシャンが来なくてもフジロックに行く、みたいな、かつての 20 代のマインドはもうないけど、カッコいいミュージシャンが来るんだったらね、これからも行きますよ、フェス。