音楽関連の書籍を専門的に扱う出版社, アルテス・パブリッシングから, 『音楽を考える人のための基本文献 34』っていうけっこう気になるタイトルの新刊書が発売されました (タイトルが本サイトのサブタイトルと被ってるんですけどねぇ… こっちがパクってるみたいな感じになるんですけどねぇ… (笑)). 編著者は『音楽的時間の変容』(現代思潮新社),『狂気の西洋音楽史』などの著書のある音楽学者の椎名亮輔 (同志社女子大学). 続きを読む
「 書評 」一覧
『ユリイカ』の「日本語ラップ」特集にはガッカリです
こういう前置きをするのは好みではないのですが, いちおう, なんか怖そうな ( めんどくさそうな ) 界隈に向けての文章になるかもしれないので, いちおうしときます.
これから書かれる文章は, 喩えるなら,「ちょっと美味しい味噌ラーメン食べたくて, こだわってそうな昔ながらそうなラーメン屋に入ったら, 味噌ラーメンがおいてなくて, 仕方なくしょうゆラーメンとか, 餃子とかチャーハンとか頼んだけど, 腹減ってたから. 不味かった. かろうじて餃子の盛りつけ方が面白かった」ていう感じです. しかもこのラーメン屋 =『ユリイカ』はけっこう評判がいい. 続きを読む
ロック史を聴くために読んだ 7 冊: 音楽の良さをなんとなくわかるために
先日, 「「音楽の良さ」は分からないけど, 誤魔化して納得する方法はある」という記事を投稿して,
これに関連したジャズ史を聴くためにはどういう文献がいいのか, ていう記事も公開しましたが,
ジャズ史を聴くために読んだ 13 冊: 音楽の良さをなんとなくわかるために
先日, 「「音楽の良さ」は分からないけど, 誤魔化して納得する方法はある」という記事を投稿しました
だらだらと書きましたが, めちゃくちゃ凝縮して言うと, 音楽の良さをなんーとなく知るためには, 音楽史を順番に聴けばいいよ. いまはインターネットが発達してるから, 定額ストリーミングサービスで, 音楽史の本に載ってる名前を検索して 1 ページ目から聴けばいいよ. どのジャンルの音楽史を聴くかは, なんでもいいけど, クラシックがオススメだよ, ていうところです. 続きを読む
音楽美学、音楽の哲学入門書ガイド (2013 年版)
本当は今年、このサイトで1ヶ月に1回くらいのペースで、新刊書を紹介していきたかったんですが、紹介するほど自分の関心のある分野の本が多くなく(笑)、来年は、4半期に1回くらいのペースで紹介していこうかなあ、と思ってます。どうなるかは分かりませんが。
田村和紀夫『音楽とは何か ミューズの扉を開く七つの鍵』
著者の理想とする音楽というものがあって、各章で事例を挙げながら、それを正当化しているだけなのではないか(もちろん、ほとんどすべての「~とは何か」という問いにたいする記述は、このような性格を有するのだが)。だから、著者の理想から漏れる音現象は、議 論 の 余 地 が あ る として音楽として認められない傾向がある。しかし、議論の余地がある時点で、音楽として認められているという事実を、見過ごしてはならないだろう。ということは、(おそらく著者が「音楽とは何か」という問いの前提としている) 万 人 に 音 楽 と し て 認 め ら れ る のではなく、 或 る 者 に と っ て 音 楽 と し て 認 め ら れ て い る と こ ろ の そ れ とは何であるか、という問いから始めなければならないのではないだろうか。
セルジュ・チェリビダッケ『音楽の現象学』
音楽の 現 象 学 というタイトルに偽りない、中身の濃い、私の読んできた中で最も音楽の本質を衝いている本のうちの1つです。ページ数が短いからと言って、しかもその1/3程度がコンサート記録や、誰 得 の セ ル ジ ュ お じ い ち ゃ ん モ ノ ク ロ グ ラ ビ ア (本当に誰が得するんだよ! 要らねえよ! 本の値段高くするために無駄なページ作ってんじゃねえよ!)であるからと言って、侮ることはできません。チェリビダッケの一言一言は、膨大な注釈が必要でしょう。つまり、チェリビダッケが何を言おうとしているのかを、単語ごとに、文節ごとに、文ごとに・・・、確認しながら読まなければなりません(つまり、かなり読み難い。これは翻訳にも原因があるのかもしれません)。
クリストファー・スモール著『ミュージッキング 音楽は〈行為である〉』(水声社)書評
本書は、1998年のスモールの著作の邦訳である。
1.動機
本書は以前から気になってはいて積読状態だったのだが、キェルケゴール『キリスト教の修練』における芸術非難を受けて、この非難から芸術を(おおげさでおこがましいが)〈救う〉考え方はないか、と読み始めたのが本書である。 続きを読む
キェルケゴール著、井上 良雄訳『キリスト教の修練』(新教出版社) -宗教と芸術について-
『キリスト教の修練』第3部6では、「キリスト教芸術」非難が行われている。いわく、キリスト教芸術はキリスト教の讃美であり、信従ではないため、真のキリスト教ではない、というのである。
ここでこの著作が分からなくなった。というか、もともとついていけなかったのが、もっとついていけなくなった。
では、われわれが現代親しんでいるキリスト教芸術は、すべて真ではないキリスト教であり、したがってこれを通じてキリスト教の、もっと言えば、キリストの何であるかを理解することなどできない、ということであろうか。そう言って良いのだろうか。 続きを読む
雑誌『アルテス Vol.01』(アルテスパブリッシング 2011)
誤解を恐れずに言えば、「初めてロッキングオンジャパンを読んだ中2以来の興奮」を、音楽誌において覚えた。
テーマが「3.11と音楽」、ということで、最初からガリガリ読んでいくと、そのほとんどが音楽〈そのもの〉(この点に関しては、私は ” musicking ” について、今一度考えてみなければならぬ)と関係のないように思えた。 続きを読む